Estrella

碧月 晶

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「失礼しましたー!」



こうして俺達は美術部を後にした。


「ふふふ♪」
「………………」


そして、隣を歩く薄茶色は美術部を出てから今に至るまで終始ご機嫌だった。


「後はどこ見るの?」
「さっきの所が最後。」
「ありゃ。 んー、困ったなぁ…。」
「?」


本当に困っているようなその様子に、


「美術部には入らないのか」


疑問を投げかけた。


さっきの反応からてっきり美術部に入るだろうと思っていたから、祭月のこの反応を疑問に思ったのだ。


「あー…、うん美術部ね…。うん良かったよ。良かったけどちょっとね…。」
「? 何が嫌なんだよ」
「……………人、かな」
「人?」
「そ、人。」


にこやかに、でもどこか自嘲的にも見える笑みで祭月は答えた。


「?」


よく分からないが、取りあえず特に入りたいと思う部活は無かったようだ。
それは俺もなのだけれども。


「あ。」


短く声を上げ、また何かを見つけたらしい祭月は、勧誘ポスターやらが貼ってある掲示板の前で止まった。
俺も気付いて、数歩戻った。


「何か見つけたのか。」
「那月君これこれ。」


そう言って祭月が楽しそうに指し示したのは、


「…『栽培部』?」


それは、不揃いな形状で色とりどりの勧誘ポスターが犇(ひし)めく掲示板の隅の隅の方に追いやられて貼られていた。
紙もボロく、色あせているが今年の生徒会の印が押してあるところを見ると
まだ存在はしているようだ。


「わー、女●蜘蛛の会みたいだ。ここ行ってみようよ那月君。」


どこに感動しているのか分からないが、祭月が行きたいというのなら特に俺に異論は無かった。
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