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第一章 メス堕ち前夜

第十七話 洗脳(1)

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 目を覚ますと、ふかふかのベッドの上だった。
 ピンク色のベッドの上で、ウサギのぬいぐるみに囲まれていた。
 シーツから仄かにバラの香りが漂ってくる。
 窓からは朝日の木漏れ日が注ぎ込み、目の奥を優しく刺激する。

「うっ、うーーん。よく寝た」

 両手を上に向けて体を伸ばし、重い瞼をギュッと閉じる。
 体が不思議と軽い。
 長年溜まりに溜まった余計なものが、体から取り除かれた感じがする。

 なんだか変な夢を見ていたようだ。
 悪夢のような天国のようなおかしな夢だった。
 

 それにしても、ここはどこだろう。
 どうやってここまで来たんだろう。
 なぜベッドの上で寝ていたんだろう。
 どんなに周りを見ても、よく思い出せない。

 何はともあれ、情報が欲しい。
 今、自分に何が起こっているのか。
 誰にこの部屋に連れてこられたのか。
 それが分からないと、話が始まらない。
 とりあえずまずは、部屋から出ないと。
 
 起き上がって、部屋の扉へと向かっていく。

 ピンク基調の部屋の中はきれいに整頓されており、白い洋服ダンスや、複雑なデコレーションが施された三面鏡が置いてあった。
 どう見ても、大人の女性のお部屋だ。
 男の自分が、一人こんな可愛らしい部屋にいると思うだけで、罪悪感を覚える。

 扉の方を見ると、そこに女の子が立っていた。

(あれ? これ、誰? どうしてだろう。どこか見覚えが……)

 目の前の美少女は、戸惑いながらこちらを見返してくる。
 ピンクのブラとショーツをした、ショートヘアーの女の子だ。

 顔つきはかなり自分に似ているが、違うところもある。
 丸い輪郭、より大きな瞳、長いまつ毛、潤う唇は、自分が理想とする美少女の条件を全て満たしている。
 こんな女の子とデート出来たらなと、妄想してしまうくらいに可愛らしさで満ちている。

 少女はこちらの真似をして、小首をかしげたり、笑みを浮かべてみたり、しかめっ面をしたりしてくる。

 目が覚めて、頭がはっきりしてきて、受け入れがたい事実に気づく。

「この娘……もしかして、ぼく?」

 そう思った瞬間、記憶の断片が頭の中で蘇る。

 そして、思い出す。
 ショーツとブラをしぶしぶ付けたことを。
 胸を弄られて、満たされる快感と共におっぱいが出来てしまったときのことを。
 うねうねと動く触手に全身を犯されて、気持ちよくなってしまったことを。

「あっ……あれは夢じゃなかったの?」

 姿見の中の女の子ぼくは、顔を真っ赤にさせて、へなへなと床に座り込んでしまう。
 
(ねぇ、ママ。人間起きたみたいだよ。顔つきも、体つきもだいぶメスっぽくなってきたね。そろそろ「洗脳」っていうのをやるの?)

(そうよ。よく覚えていて、偉いわ。この人間はまだ自分のことをオスだってしているの。だから、洗脳で、心を修正してあげるの。あるべき形に変えてあげるの。「あたしは女の子」って自ら言えるように、みっちりとね)
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