3 / 12
3.恋って、なんだ?
フィリオはソムニの服を着て、クッションの山に埋もれるように座っていた。
その顔は相変わらず無表情……だが、視線はまっすぐソムニに向いている。
「さっきから思ってたんだけどさ。ソムニ、さっき『運命の人』って言ったろ?」
ソムニから呟かれる夢のような話。
「う、うん……!白馬に乗って現れて、僕だけを見つけてくれて、名前呼ぶ声が甘くて、夜の森で手を取り合ってキスして、そのままプロポーズされて……」
脳内で花が咲く。
周囲にバラの香りがした(気がした)。
「それって、恋?」
唐突なフィリオの問いに、ソムニは「ぴっ」と止まる。
「え、えええと、その、た、多分!恋だと思う!!……うんっ!!」
「ふーん?……変なの。誰かの声に胸をときめかせるとか、手を握られたいと思うとか、ぼくには、ちょっとわかんない」
「そ、それは……っ、フィリオはまだ、ちゃんと誰かを好きになったことが、ないから……」
「じゃあ、教えてよ。恋ってやつ」
「えっ」
「ソムニが教えて。ぼくに恋を」
――きらーん☆
脳内劇場、花びらが舞って照明が当たる。
「ぼくに恋を教えて」
「えええ!?ぼ、僕が教えるの!?!え、えっと、それは、その……っ、あの……!ほっぺに触れられて、心臓がトクンってなるのが恋で……その、目が合ったら、ふにゃって笑っちゃって……!!」
「ふにゃ?」
「そ、そういうの!!」
理解できないとフィリオは眉をひそめ、ソムニの顔をじぃっとのぞき込む。
「……じゃあ、今、こうして近くで顔を見て、ドキドキしてるって言ったら、ぼくは恋してることになるのか?」
「えええぇぇ!?!」
脳内、鐘が鳴る。
“契約から始まる禁断の恋、妖精王子編”が急ピッチで上映され始める。
「そ、それは……ぼ、僕には判断できないけど……!!あ、あああの……!!か、仮にそうなら、僕、責任なんて取れないよ!?」
黙って聞いていたチルドが突っ込む。
「は!?責任って何だよ責任って!!!」
フィリオは目を細めてチルドを見やる。
「……ずいぶん、感情的だね。人間の恋ってやつは、他人にも発火するものなの?」
ソムニとチルドのやり取りを見ていたフィリオは不思議そうに呟く。
「はあ!?何言ってんだコイツ……っつーか、するわけねぇだろバカか!」
「ふーん。怒鳴ったら、恋じゃない、ってことか。なるほど?」
もはや部屋の中はカオスであった。
あなたにおすすめの小説
happy dead end
瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」
シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)
かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。
はい?
自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが?
しかも、男なんですが?
BL初挑戦!
ヌルイです。
王子目線追加しました。
沢山の方に読んでいただき、感謝します!!
6月3日、BL部門日間1位になりました。
ありがとうございます!!!
来世はこの人と関りたくないと思ったのに。
ありま氷炎
BL
前世の記憶を持つ、いずる。
彼は前世で主人だった三日月と、来世で関わらない事を願った。
しかし願いは叶わず、幼馴染として生まれ変わってしまった。
楽な片恋
藍川 東
BL
蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。
ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。
それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……
早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。
ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。
平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。
高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。
優一朗のひとことさえなければ…………
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
【8話完結】ざまぁされて廃嫡されたバカ王子とは俺のことです。
キノア9g
BL
廃嫡され全てを失った元王子。地道に生きたいのにハイスペ幼馴染が逃がしてくれません。
あらすじ
「第二王子カイル、お前を廃嫡する」
傲慢な振る舞いを理由に、王位継承権も婚約者も失い、国外追放されたカイル。
絶望の最中、彼に蘇ったのは「ブラック企業で使い潰された前世の記憶」だった。
「もう二度と、他人任せにはしない」
前世の反省を活かし、隣国の冒険者ギルドで雑用係(清掃員)として地道にやり直そうとするカイル。しかし、そんな彼を追いかけてきたのは、隣国の貴族であり幼馴染のレオナードだった。
「君がどんな立場になろうと、僕にとっては君は君だ」
落ちぶれたカイルに変わらぬ愛を注ぎ、元婚約者の悪意ある噂からも守り抜くレオナード。
すべてを失った元バカ王子が、社畜根性と幼馴染の溺愛によって幸せを掴むまでの、再起と愛の物語。
全8話。
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。