恋するソムニと白馬の幻

ナポ

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3.恋って、なんだ?


フィリオはソムニの服を着て、クッションの山に埋もれるように座っていた。

その顔は相変わらず無表情……だが、視線はまっすぐソムニに向いている。

「さっきから思ってたんだけどさ。ソムニ、さっき『運命の人』って言ったろ?」

ソムニから呟かれる夢のような話。

「う、うん……!白馬に乗って現れて、僕だけを見つけてくれて、名前呼ぶ声が甘くて、夜の森で手を取り合ってキスして、そのままプロポーズされて……」

脳内で花が咲く。

周囲にバラの香りがした(気がした)。

「それって、恋?」

唐突なフィリオの問いに、ソムニは「ぴっ」と止まる。

「え、えええと、その、た、多分!恋だと思う!!……うんっ!!」

「ふーん?……変なの。誰かの声に胸をときめかせるとか、手を握られたいと思うとか、ぼくには、ちょっとわかんない」

「そ、それは……っ、フィリオはまだ、ちゃんと誰かを好きになったことが、ないから……」

「じゃあ、教えてよ。恋ってやつ」

「えっ」

「ソムニが教えて。ぼくに恋を」

――きらーん☆
脳内劇場、花びらが舞って照明が当たる。

「ぼくに恋を教えて」

「えええ!?ぼ、僕が教えるの!?!え、えっと、それは、その……っ、あの……!ほっぺに触れられて、心臓がトクンってなるのが恋で……その、目が合ったら、ふにゃって笑っちゃって……!!」

「ふにゃ?」

「そ、そういうの!!」

理解できないとフィリオは眉をひそめ、ソムニの顔をじぃっとのぞき込む。

「……じゃあ、今、こうして近くで顔を見て、ドキドキしてるって言ったら、ぼくは恋してることになるのか?」

「えええぇぇ!?!」

脳内、鐘が鳴る。

“契約から始まる禁断の恋、妖精王子編”が急ピッチで上映され始める。

「そ、それは……ぼ、僕には判断できないけど……!!あ、あああの……!!か、仮にそうなら、僕、責任なんて取れないよ!?」

黙って聞いていたチルドが突っ込む。

「は!?責任って何だよ責任って!!!」

フィリオは目を細めてチルドを見やる。

「……ずいぶん、感情的だね。人間の恋ってやつは、他人にも発火するものなの?」

ソムニとチルドのやり取りを見ていたフィリオは不思議そうに呟く。

「はあ!?何言ってんだコイツ……っつーか、するわけねぇだろバカか!」

「ふーん。怒鳴ったら、恋じゃない、ってことか。なるほど?」

もはや部屋の中はカオスであった。

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