恋するソムニと白馬の幻

ナポ

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9.デート編〜これって恋の予習ですか!?


今日は朝からソムニの心がそわそわしていた。

「ふぅ……落ち着け、僕。今日はただの研究だから。あくまでお勉強……そう、恋の授業!えへ、なんて真面目な僕!」

鏡の前でくるくる回って、お気に入りのリボンを結ぶ。

「このピンクの細いリボン、チルドは『甘すぎる』って言ってたけど……ふふ、今日はチルドじゃないもんね!」

と、そこにフィリオ登場。

「準備、できた?」

「わっ、びっくりした!もっとノックして!?心の!!」

「無駄な儀式だろう?時間の浪費は避けたい」

「もう~!デートってのはね、待ち合わせからすでに戦場なんだから!」

「戦いなんだ?」

「ちがうっ、比喩っ!」

ソムニのツッコミを受けながら、ふたりは町へと歩き出した。


町の広場にて

「わぁ……今日は人が多いね!あっ、あそこのパン屋さん、チルドが好きだったお店だ!」

「パンは恋に関係あるのか?」

「ええと、恋人と一緒にパンを半分こすると、永遠に結ばれるっていう言い伝えが……うわっ!?ちょ、なんで半分こするの!?!?」

「君がそう言ったから」

「ちょ、違っ、ちがっ、そ、それは例えでぇ!」

フィリオは全く動じず、パンをもぐもぐと咀嚼する。

「うん、美味い。こうして共有する感情が、恋なのか?」

「こ、こいって、こいってぇぇ……!!(なんか……やばい……ほんとにこれ、恋の予習じゃなくて本番な気が……)」


お菓子屋にて

「わーっ!見てフィリオ、飴細工だよ!このハートの形のとか……可愛い~!」

「買えばいい」

「え、えええ!?それ買ってもらうとか、そういうの……!ほ、ほら、王子様に飴を買ってもらうなんて、シチュエーションとして最高すぎるじゃん!?!?」

「なら……これを君に」

「うわぁぁああっ!渡し方がっ!さらっとすぎて心の準備が……!」

その瞬間、脳内で鐘が鳴り響いた。

~脳内劇場:甘い恋の飴細工編~
「これは……僕の気持ち」 
「ありがとう……王子様……」



「そろそろ、本題に入っていい?」

「えっ?」

「……キス、ってどうするの?」

「……………………はい???」

顔面真っ赤にして俯くソムニ。

「恋って……そういうものだろう?接触、共有、感情の重なり、順を追っていくと……次は?」

「し、しし、しし、しんけんすぎてこわいぃぃぃ!!!!」


その頃のチルド(物陰)

「おまっ……何考えてやがる……」

物陰でこっそり尾行中のチルド。

双眼鏡越しに、飴を渡すフィリオの姿、パンを半分こする姿、至近距離のキスの話。

「おい、嘘だろ……!?どの辺が“恋の研究”だっつーの……!あれ、デートじゃねえか……!!」

ごりっ!とクッキーを噛み砕くチルドの手元には、完全に八つ当たりの焼き菓子袋。

そしてふたりは

「……それで結局、恋って、なんなの?」

帰り道。夕暮れの町を歩きながら、フィリオがふいに尋ねた。

ソムニはふと立ち止まり、考える。

「うーん……まだ僕も、分からない。でも、今日みたいに誰かと一緒に何かをして、心がぽかぽかして、ドキドキして……うまく言葉にできないけど、きっと、それが……」

「恋?」

「……たぶん、恋のはじまり。うん」

と、そこに──

「おーい!!!」

遠くから、チルドが駆け寄ってきた。

「おまえら!遅ぇよ!夕飯の支度も手伝えよ!」

「チルド!?どうしてここに」

「おまえらが昨日デートするって言ってただろ……途中で会って帰ろうと思ってたんだよ」

「そ、そっか……チルドも一緒に帰ろう。フィリオも、今日はありがとう。とっても楽しかった!」

「こちらこそ。恋は興味深い、もう少し観察したいところだ」

「か、観察て……」

そう呟きながら、ソムニはふと、フィリオではなく、チルドの方を見ていた。

ただの恋の予習じゃなくて、
本当は僕……誰と一緒にいたときが、一番楽しかった?

心の中に、小さな答えが浮かび始める。


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