平凡になりたい俺

ナポ

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(以下省略)
まぁこんな感じに至って平々凡々な男子高校生だった訳だが。

俺としての意識が目覚めた時には、異世界に生を受けていた。

姿見の前に立つと、ミルクティー色の髪に、優しい緑色の瞳をした憐な少年が写った。

俺は一体どんな人生を歩むのだろうか。

*

執務室に入ってきた男はアネス・ルーベントと名乗った。
その姿は前世を思い出させる、黒髪と黒い瞳をしていた。
しかし、顔立ちは外国寄りなのか、端正な顔立ちをしていてイケメンだった。以前の俺ならばイケメン爆ぜろとか思っていただろうが、今の俺は可憐な少年である。

そんな気持ちは少しも感じない。多分。

手を差し出され握手を求められたので、俺も名乗る。

「俺はリレフ・シーストンだ、よろしく」

挨拶を終えると丁度よく親父がやってきた。

「あぁ、もう来ていたのか。さ、座ってくれ」

親父に促され席に着いた。机には紅茶が用意されたが、飲む時間などあるのだろうか?

「アネスを呼んだのは、お前の友人候補としてどうかと思ってな」

本人を前に何を言っているんだろうか。そもそも俺はきちんと友達ならいる。家に呼ばないだけだ。

「父上お言葉ですが、私は学園とプライベートは分けたいだけです。学園では学園できちんと、友人との付き合いはこなしております」

眉毛をよせ困ったように親父は俺を見た。ムッと睨み返すと、やれやれと言った様子でため息をついた。

「こんな息子だがよろしく頼む」

「私でよければ是非、よろしくお願い致します」

親父はそういうと早々に退出した。

取り残された俺は一体何をすればいいのだろうか。
友人なんて学園だけで十分だ。

無言のまま手持ち無沙汰になった俺は、黙って紅茶を飲んだ。

観察するような視線をガン無視して、俺はひたすらに紅茶を飲み続けた。

尿意を催した俺は、サッと立ち上がり扉へと足を進めた。しかし、後ろから手首を捕まれ振り返る。

「なんだ」

「えっと……戻るの?」

「……そうだ」

まぁ、トイレに行ったらそのまま戻ってもいいかとは思っていたし、間違いではないので肯定する。

「私とは友人になれないかな?」

「別に、そういう訳じゃないが……俺と友人になりたいのか?」

「そうだね、君が良ければ、だけど」

「そうか、それじゃ」

「え、本当に戻るの?私を置いて?」

懐かしい黒い瞳は悲しそうに俺を見つめる。
なんだこいつ、面倒臭い。適当に相手をして帰らせよう。

「俺はトイレに行きたいんだ。手を離してくれないか?」

「なるほど、それは済まなかった」

ガチャリと扉を開けトイレへと向かった。

「それじゃ、私はここで待っているから」

「分かった……」

まるで逃がさないよ、とでも言うようにアネスはトイレまで着いてきた。

はぁ……面倒臭い。これから家でも誰かの相手をしないといけないと思うと憂鬱でしかない。こんな面白みもない俺に一体何が気に触ったのか不思議でたまらない。どうせ親父が無理やり呼びつけたと思っていたが…違うのか?
なんだか熱心に友人になりたいと言ってくるし。

俺の平穏な生活が、早々に終わりを迎えそうだ。

「……」

「お帰りなさい。良かった、本当にトイレだったんだね」

にっこりと笑顔を浮かべる黒髪の男。

「あぁ、お前俺の部屋に来るか?」
「良いの?」
「うん」

アネスはワクワクと言った様子で俺の後に続いた。

「どうぞ」
「わぁ、人形がたくさんあるんだね」
「そうだな」

俺は枕元にあったお気に入りのぬいぐるみを抱え、ベットに座り込んだ。

もふもふもと手触りの良い毛並みを撫でる。

アネスがそっと触ろうとしたので、ついつい叩き落とすよに手を払い除けてしまった。

「だ、駄目だ。これは、俺のお気に入りだ」
「ごめん」

ぎゅと抱きしめて腕の中に隠す。

別にぬいぐるみが好きなわけではない。ふと目についた新聞に載っていて、ついつい欲しくなって親父に買ってもらったのだ。それに、これ以外は親父が勝手に買ってきたものだ。俺の趣味じゃない。

おかっぱの様なショートヘアで肩まで伸びたミルクティー色の髪。こんな見た目だからなのか、親父は俺に可愛いものを買い与える傾向がある。確かに俺は12歳だが、幼女趣味ではない。

しょんぼりと落ち込むアネスに遠くに置いてあったぬいぐるみを渡す。

「これは?」
「3番目くらいにお気に入りのやつだ。これなら触ってもいいぞ」
「ありがとう!」

嬉しそうに笑うアネスにほっと胸を撫で下ろす。
泣かれたらたまらないからな。

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