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第一章
②廃品回収完了っと!
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やっとの思いでスディは疑問をぶつけたのだったが、ジャケットの女性は心底どうでもいいという様子で吐き捨てた。
「嘘つけよ。お前は禁忌を犯そうとした。その自覚もあるはずだ」
スディは首を横に振る。
「そこの紙束が証明してんだよ、アクマに身を売った事をな。ま、今回は未遂みてぇだが」
「あなたのせいでジャシンが産まれちゃ世界中が困るんですよスディさん」
やはりスディは首を振る。
「あれ?ジャック、どうしてアイツの名前知ってるワケ?」「じゃあお言葉ですけど彼が咎人であると何故知ってるワケです?」「なにっではまさかお前が名前から何から全て調べあげたというのか!」「いや僕の店によく食べに来てるからですよね?」
「「「……………………………………………………………………………………………………」」」
「ええと、それはそれ、これはこれです」
ロングコートの、ジャックと呼ばれた男がいった。
「おい何顔知られてんだ、お掃除屋の名が廃るぞ」
「だから、それはそれで、これはこれですから」
ジャックの戯れ言を理解しようとする者はいなかった。
「…………もう満足しました?しましたね。ではシエスタ、さっさと回収してずらかりますよ」
などと言ったジャックは部屋の戸という戸を開けていった。
スディは抵抗しようとしたものの、シエスタと呼ばれた女に羽交い締めにされたため、その強行を止めることは出来なかった。
「謎の引き戸にポツンと大かばん。あからさまに怪しいですね」「それ押し入れとボストンバッグって呼ぶんだよ」「怠け者のクセにうるさいですね」「ウチのどこが怠けてんだよく見ろ」
さて、と言ってジャックは鞄を開けた。
「………………」「……ワァオ」
狭い鞄の中には、黒髪の少女がこぢんまりと丸まっていた。肌はあまりに青白く、瞳は固く閉ざされていた。彼女が目覚めることはないとそれを見た誰もが理解した。
「スディさん。彼女を一体どうするつもりだったんですか」
口をも塞がれていたスディだったが、ジャックの問いかけに答えさせるためにそこだけは解放された。そして
「僕の大切な恋人なんだ!誰にだって奪わせないからな」
と啖呵を切った。しかしジャックは気に止めず、粛々と鞄の中身を取り出しにかかった。
「もし彼女に何かしてみろ、お前をただじゃおかないからな!!」
しかし尚彼の手は止まらない。
「あのさあ、自分から質問しといて無視するってどうなんだよ」
「まともに答えるつもりが無い人の話など耳を傾けるだけ無駄です」
「ちったぁ察してやんなよ、誰だって認めたくない事のひとつはあるもんだ」
「ボクたちには関係ないことでしょう。シエスタ、もう取り出しましたからあとは頼みますよ」
鞄の中のそれはもう床に放り出されていた。丸まったまま、伸ばすことは出来なかったようだ。
シエスタは抱えていたスディをそっと部屋の隅に置いた。
スディを縛るものは何も無くなったが、決して解放されたわけではなかった。
「はいはい、仕事だからな」
それの前に、彼女は手をかざす。するとそれは白い光を放ち、そして消えてしまった。
「……今日のところはこのくらいで良しとしましょう」「うっしお掃除完了~。ついでに金も回収してこうぜ」「それが主目的じゃないですか」「多分こっちの戸棚にある気がするぜ」「そーですか」「もうちょっと有り難いって態度を出しちゃくんねぇか?」
お掃除屋の二人は、また忙しなく話し・動きまわりながら、部屋を荒らし・片付けていった。
「あぶね、コイツも回収しとかねえと」
最後にガラス容器に入っていた砂状の金を持っていた袋に流し込んだ。
「ほい、廃品回収完了っと。スデー、邪魔したな」
「もう二度と変な気は起こさないでくださいね。次は無いですから、あなたの命が」
「あと、悪いがもうしばらくそこでじっとしといてくれよ、追いかけられても面倒だからな。時間が経てば動けるようになるからよ」
大荷物を持った二人は、玄関の、ドアがあったはずの場所から帰っていった。
「ドアは復元しておかないと流石にマズイですよ」「証拠隠滅てやつだな」ドアは閉められた。
残されたスディは、ただ部屋の隅で嘆く事しか出来なかった。
「ああ、マリー……マリー………………」
誰かの名前を、呼び続けていた。
「嘘つけよ。お前は禁忌を犯そうとした。その自覚もあるはずだ」
スディは首を横に振る。
「そこの紙束が証明してんだよ、アクマに身を売った事をな。ま、今回は未遂みてぇだが」
「あなたのせいでジャシンが産まれちゃ世界中が困るんですよスディさん」
やはりスディは首を振る。
「あれ?ジャック、どうしてアイツの名前知ってるワケ?」「じゃあお言葉ですけど彼が咎人であると何故知ってるワケです?」「なにっではまさかお前が名前から何から全て調べあげたというのか!」「いや僕の店によく食べに来てるからですよね?」
「「「……………………………………………………………………………………………………」」」
「ええと、それはそれ、これはこれです」
ロングコートの、ジャックと呼ばれた男がいった。
「おい何顔知られてんだ、お掃除屋の名が廃るぞ」
「だから、それはそれで、これはこれですから」
ジャックの戯れ言を理解しようとする者はいなかった。
「…………もう満足しました?しましたね。ではシエスタ、さっさと回収してずらかりますよ」
などと言ったジャックは部屋の戸という戸を開けていった。
スディは抵抗しようとしたものの、シエスタと呼ばれた女に羽交い締めにされたため、その強行を止めることは出来なかった。
「謎の引き戸にポツンと大かばん。あからさまに怪しいですね」「それ押し入れとボストンバッグって呼ぶんだよ」「怠け者のクセにうるさいですね」「ウチのどこが怠けてんだよく見ろ」
さて、と言ってジャックは鞄を開けた。
「………………」「……ワァオ」
狭い鞄の中には、黒髪の少女がこぢんまりと丸まっていた。肌はあまりに青白く、瞳は固く閉ざされていた。彼女が目覚めることはないとそれを見た誰もが理解した。
「スディさん。彼女を一体どうするつもりだったんですか」
口をも塞がれていたスディだったが、ジャックの問いかけに答えさせるためにそこだけは解放された。そして
「僕の大切な恋人なんだ!誰にだって奪わせないからな」
と啖呵を切った。しかしジャックは気に止めず、粛々と鞄の中身を取り出しにかかった。
「もし彼女に何かしてみろ、お前をただじゃおかないからな!!」
しかし尚彼の手は止まらない。
「あのさあ、自分から質問しといて無視するってどうなんだよ」
「まともに答えるつもりが無い人の話など耳を傾けるだけ無駄です」
「ちったぁ察してやんなよ、誰だって認めたくない事のひとつはあるもんだ」
「ボクたちには関係ないことでしょう。シエスタ、もう取り出しましたからあとは頼みますよ」
鞄の中のそれはもう床に放り出されていた。丸まったまま、伸ばすことは出来なかったようだ。
シエスタは抱えていたスディをそっと部屋の隅に置いた。
スディを縛るものは何も無くなったが、決して解放されたわけではなかった。
「はいはい、仕事だからな」
それの前に、彼女は手をかざす。するとそれは白い光を放ち、そして消えてしまった。
「……今日のところはこのくらいで良しとしましょう」「うっしお掃除完了~。ついでに金も回収してこうぜ」「それが主目的じゃないですか」「多分こっちの戸棚にある気がするぜ」「そーですか」「もうちょっと有り難いって態度を出しちゃくんねぇか?」
お掃除屋の二人は、また忙しなく話し・動きまわりながら、部屋を荒らし・片付けていった。
「あぶね、コイツも回収しとかねえと」
最後にガラス容器に入っていた砂状の金を持っていた袋に流し込んだ。
「ほい、廃品回収完了っと。スデー、邪魔したな」
「もう二度と変な気は起こさないでくださいね。次は無いですから、あなたの命が」
「あと、悪いがもうしばらくそこでじっとしといてくれよ、追いかけられても面倒だからな。時間が経てば動けるようになるからよ」
大荷物を持った二人は、玄関の、ドアがあったはずの場所から帰っていった。
「ドアは復元しておかないと流石にマズイですよ」「証拠隠滅てやつだな」ドアは閉められた。
残されたスディは、ただ部屋の隅で嘆く事しか出来なかった。
「ああ、マリー……マリー………………」
誰かの名前を、呼び続けていた。
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