街の闇掃除は錬銀術師たちにおまかせあれ

クロイノ

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第二章

③この店には行かない方がいいぞ

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あれからスディは帰宅して、シエスタに貰った銀のメダルを観察した。

――円盤の厚さは測ったように均一だが、よくよく見ると縁に一ヶ所だけ小さな突起が出来ている。もしかしたら銀板を円形に切り取ったのかもしれない。

もし本当にこれが彼女なのだとしても、これ一つだけでは取り戻すことは出来ない。
それならば奴らから残りの銀も取り戻せば良いだろうか。しかし全てを取り戻したとして銀から元に戻す方法が無い。
錬金術だって金から元のドングリに戻すことは出来ないと言われているのに、未知の技術ではより難しいだろう。

このままじゃ埒が明かない――そう考えたスディはシャワーを浴びようと着替えを始めた。

服を洗濯篭に入れようとして、胸ポケットにカードが入っている事を思い出した。名も知らぬ男に貰った、どこかのクラブの会員カード。ここにアイツのパパの、材質学に詳しい教授がいる。

「教授だったら、何か知っているかも知れない」

そうと決まれば向かうしかない。しかしカードの両面をくまなく探しても店の住所は書かれていない。会員ならば店の住所なんて知っていて当然だから、会員カードに記載がないのは当たり前だ。

ならば持ち主の会員に問いただすしかないだろう。そう結論付けたスディは、明日の予定を立てて浴室へ向かった。


***

翌日。予定通り授業に出席した。あとは終わり際にあの軟派男を捕まえて店について聞き出す手筈だったが、奴はここには居なかった。

(アイツが明日も学校に来いと言ったのに、なんで当の本人が来ていないんだ!)と、心の中でひとりごちた。
仕方がないので奴とよく話している人たちに店の事を訊いてみたが、回答は何も得られなかった。

校内を動き回って、気付けば太陽が傾き始めていた。
彼は今日もアルバイトの予定がある。もう向かわなければ、遅刻して店主から大目玉を食らうだろう。スディは大急ぎで勤務先へと向かった。

指定の5分程前にやっと店に到着し、始業に間に合うように慌てて支給服に着替えた。

その時スディは気付かなかったが、ポケットに入れていた会員カードを着替え中に落としてしまっていた。店主がその落とし物に気付き、拾い上げた。
「お前、こんな店がシュミなのかよ」

スディは必死に否定した。教授に会うために、手がかりとして持っているとも伝えた。……何故教授に会いたいのかは伝えなかったが。

「だとしてもなぁ、この店には行かない方がいいぞ」
「何故ですか?」
「特にこの店は良くない噂が後をたたねえ。違法物が取引されてるとか、客が失踪するだとかな。あとあれだ、邪教集団が根城にしてるなんて言われてる。その教授とやらも悪い奴なんじゃねえか?」
「もし本当に悪人なんだったら学校が黙っちゃいないでしょう」
「そりゃそうか。でも店は止めとけ、どんな奴がいるかわからねえからな。そんなカードじゃ安全の保証にはならねえぞ」

確かにその通りだ、とスディは考えを改めた。――経験豊富な店主の忠告は、素直に聞いた方がいいだろう。

「そうですね、その店は行かないようにします」
「わかりゃあいい。それ、仕事だ。提供よろしく」
スディは返事をし、出来立ての大きいオムライスを客の元へ運びにいった。
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