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「お2人様ですか?こちらへどうぞ。」
「ミノ・カフェ」へやってきた。入り口にいた小柄な女の店員がにっこり笑って俺たちを奥の席へと誘った。まだ早い時間だからだろうか。他に客は2組ほどしかいなくて、外国の曲が小さな音で流れているのが聞こえていた。
「何食べる?」
奏がメニューを広げながら聞いてきた。俺は何でもいい。奏と一緒に食べることがご馳走だ。
「奏は?」
「うーん、迷うなあ。昔と違ってメニューが増えてるから…。」
結局、新メニューの中から、ベーコンサンドクロワッサンを2人で頼み、俺は生ハムサラダクロワッサンを追加で頼む事にした。1つでは全然足りない。飲み物はもちろんキリマンジャロ。奏はブレンドを頼んでいた。
先ほどの女の店員が注文を受けて去っていくと、奏が口を開いた。
「洸一、何度もここに来てたの?」
「ああ。来てた。」
「俺、気がつかなかった…。」
「だろうな。」
あの頃は、ただ見ているだけで良かった。声をかけようかと何度も思ったが、何て声をかけたらよいか分からなかった。…奏は俺を知らなかった。
『好きだ。』…?
『ずっと会えるのを待ってた。』…?
…何を言おうと俺はただの不審者だ。
「俺、ここで杉崎課長に声をかけられたんだ。」
「何て?」
奏の話に耳を傾ける。そういえば、どうしてFO企画に就職したのか聞いたことがなかった。
「『ねぇ、君。就職決まってる?決まってても決まってなくてもウチに来ない?』って。今考えれば変な話だったな。」
「どうしてこちらに就職決めたんだ?」
「…給料が良かったから。」
少し恥ずかしそうに言う奏が可愛い…。
幾ら提示したのかは分からないが、杉崎さんに感謝だ。もちろん、親父にも…。多分指示を出したのは親父だ。
『会わせてやる。小野寺さんに。…いつか。』
20歳の頃、親父から言われた言葉とその時の笑顔が脳裏によみがえった。
「お待たせ致しました。キリマンジャロのお客様?」
「ああ。俺だ。」
先ほどの店員がコーヒーとパンを運んできて、俺たちの前に置いた。
「ごゆっくりお過ごし下さい。」
店員が去っていき、ベーコンサンドクロワッサンを2人同時に持ち上げる。齧りつこうとした時に、下に敷いてあった紙ナプキンが皿に落ちた。
「…でも、ここに就職して良かったよ……それ何?」
奏が訝しげにこちらの皿の紙ナプキンを見ている。
俺の方の紙ナプキンに小さな字で英数字が書いてあった。
「メールアドレス…だな。」
またか…。…今日は奏もいるというのに…あの女、余計なことを…。ろくに見もせず紙ナプキンをクシャクシャに丸めて皿の下に押し込んだ。
「…。」
奏は何も言わなかった。
「どうした?」
「洸一、モテるんだな…。」
…俺は、早くここを出ようと心に決めた。
「ミノ・カフェ」へやってきた。入り口にいた小柄な女の店員がにっこり笑って俺たちを奥の席へと誘った。まだ早い時間だからだろうか。他に客は2組ほどしかいなくて、外国の曲が小さな音で流れているのが聞こえていた。
「何食べる?」
奏がメニューを広げながら聞いてきた。俺は何でもいい。奏と一緒に食べることがご馳走だ。
「奏は?」
「うーん、迷うなあ。昔と違ってメニューが増えてるから…。」
結局、新メニューの中から、ベーコンサンドクロワッサンを2人で頼み、俺は生ハムサラダクロワッサンを追加で頼む事にした。1つでは全然足りない。飲み物はもちろんキリマンジャロ。奏はブレンドを頼んでいた。
先ほどの女の店員が注文を受けて去っていくと、奏が口を開いた。
「洸一、何度もここに来てたの?」
「ああ。来てた。」
「俺、気がつかなかった…。」
「だろうな。」
あの頃は、ただ見ているだけで良かった。声をかけようかと何度も思ったが、何て声をかけたらよいか分からなかった。…奏は俺を知らなかった。
『好きだ。』…?
『ずっと会えるのを待ってた。』…?
…何を言おうと俺はただの不審者だ。
「俺、ここで杉崎課長に声をかけられたんだ。」
「何て?」
奏の話に耳を傾ける。そういえば、どうしてFO企画に就職したのか聞いたことがなかった。
「『ねぇ、君。就職決まってる?決まってても決まってなくてもウチに来ない?』って。今考えれば変な話だったな。」
「どうしてこちらに就職決めたんだ?」
「…給料が良かったから。」
少し恥ずかしそうに言う奏が可愛い…。
幾ら提示したのかは分からないが、杉崎さんに感謝だ。もちろん、親父にも…。多分指示を出したのは親父だ。
『会わせてやる。小野寺さんに。…いつか。』
20歳の頃、親父から言われた言葉とその時の笑顔が脳裏によみがえった。
「お待たせ致しました。キリマンジャロのお客様?」
「ああ。俺だ。」
先ほどの店員がコーヒーとパンを運んできて、俺たちの前に置いた。
「ごゆっくりお過ごし下さい。」
店員が去っていき、ベーコンサンドクロワッサンを2人同時に持ち上げる。齧りつこうとした時に、下に敷いてあった紙ナプキンが皿に落ちた。
「…でも、ここに就職して良かったよ……それ何?」
奏が訝しげにこちらの皿の紙ナプキンを見ている。
俺の方の紙ナプキンに小さな字で英数字が書いてあった。
「メールアドレス…だな。」
またか…。…今日は奏もいるというのに…あの女、余計なことを…。ろくに見もせず紙ナプキンをクシャクシャに丸めて皿の下に押し込んだ。
「…。」
奏は何も言わなかった。
「どうした?」
「洸一、モテるんだな…。」
…俺は、早くここを出ようと心に決めた。
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