未来も過去も ー番外編ー

もこ

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ゆびわ

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「俺、ここから出るの久しぶり。」
新しいメンバーを迎えた1日の勤務を無事に終え、着替えてバックヤードの従業員の出入り口に向かい、受付に社員証をかざして1年ぶりに外に出た。洸一も一緒。モールの裏手にあるバス停を目指していた。

「ああ。そうだろうな。」
最後にここに降り立ったのは7年前のポストに手紙を投函した時…。こうやってみると、辺りは全然違って見える。でも、歩いているうちに過去と現在が整理されてきた。
「ここいらへんだよね?出口。」
あたりをキョロキョロ見渡す。建物の位置からいって巌城さんの会社のビルがあったあたりはこの辺なはず。そこはモールの大きな駐車場の外れで、小さな物置が建っていた。

「今は物置にカモフラージュしてある。このモールとともに造られた。中に入ると駐車場で使うコーンなんかが置いてあるはずだ。」
へぇ…あまり目立たないように工夫されてんだ。木々に遮られた出入り口を眺めながら、歩みを進めた。

俺たちは、もう慣れてしまったバス停までの道に足を向けた。バス停の後ろにある公園の桜はもう散り始めていて、時折吹く暖かな風に花びらを舞い散らせている。もう既に葉桜になった木もある。
「残念。…今年も花見できなかったな。」
去年は就職のことでバタバタしていて花見どころじゃなかった。俺の言葉に洸一が何か考えているようだったが、
「いい所がある。」
と呟いた。

7年前に行ったのと同じ道順で巌城さんの家に着く。でもそこは、7年前とは別の家が建っていた。
「洸一っ!家…家が新しくなってるっ!」
「ははっ。5年前に親父が建て直したんだ。前の家の傷みがひどくなったから…。行くぞ。」
車のキーを取ってくるという洸一の後ろに続いて、大きな二階建ての家の門をくぐった。

「お帰り、洸一。あら?…小野寺さん……?相変わらず若いわあ!」
広い玄関でおばあさんが出迎えてくれた。
「ご無沙汰していました。お元気でしたか?」
無言で上がって行った洸一に取り残されて、おばあさんと向き直った。もう80歳前後のはずだが、洸一のおばあさんの方が若々しかった。60代にしか見えない。

「元気よー!おじいちゃんも。2人で変わらず畑仕事を楽しんでるから。」
そんな話を聞いている間に、2階に上っていった洸一があっという間に戻ってきた。
「ばあちゃん、車持っていくから。…行こう。」
慌てておばあさんにいとまを告げ、洸一の後を追いかけた。

車庫のシャッターを開けると、二台の車が並んでいた。グレーのワンボックスカーと黒のオフロード車。どちらもピカピカにみがいてある。
「カッコいいっ!これ、洸一の車?」
黒のオフロード車に目が奪われる。ゴツゴツしたボディがとてもカッコいい。あまり最近は見かけないタイプかも。
「黒の方だ。中古だけどな。」
そういいながら、洸一は車のロックを解除した。

車の中は座席の位置が高く、とても見晴らしがいい。車のライトに照らされた道がよく見える。動き出した車を楽しんでいると、すぐに車が停車した。

「花見をしよう。」
洸一と降り立ったそこは、笹元公園だった。



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