未来も過去も ー番外編ー

もこ

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「奏、もも食べるか?」
散々奏の唇を堪能してから、衝動がおさまるのを待っていた。こんなところで盛るわけには行かない。小窓を開けていても、テント内の気温は徐々に上がってきていた。

「もも?持ってきたの?」
「ああ。」
奏と一緒に過ごすようになって発見した事がいくつかある。その中の1つが無類のフルーツ好き。無ければ特に食べなくてもいいが、目の前にあると手を出さずにはいられないのだとか。俺たちの部屋に果物が置かれる率が高くなった。もちろん俺が買ってくる。今日は一口大に切った「あかつき」を昨夜のうちに冷凍させて持ってきていた。

「食べよう。もうすぐ昼だ。一緒に食べるように何か買ってくる。」
ラッシュガードを羽織ってフードを被る。入り口のジッパーを開けると、海からの風がテントの中を通り抜けた。

焼きそばを片手に持って戻ると、奏がテーブルにお茶を出していた。小玉スイカを持ち上げて怪訝な顔をしている。
「ももって言ってなかったっけ?」

「ももはこっちだ。」
奏の天然ぶりに笑みが溢れる。クーラーボックスから保冷袋を取り出して、中から桃の入ったパックを取り出した。
「うわっ!凍らせてきたの?」
「ああ。」
半分溶けて食べやすくなった桃と大量の焼きそば、デザートにスイカも切って、海辺で食べる昼食を終えた。



「せっかく来たんだから、泳ぐぞ?」
「あっ?う、うん…。」
乗り気じゃない奏の返事が聞こえる。奏は泳ぎが得意じゃない。学校のプールで泳いでいて溺れていると勘違いされたとか…。恐怖心を持っているわけでは無さそうだが…。

「いいもの買っておいたんだ。楽しもう。」
俺はテントに入って小さなダンボールから大人用の浮き輪を取り出した。縦長の長方形で、完全に上に乗って寝ることもできる。イカダの真ん中に切れ目がある形。外に持ち出して、電動の空気入れで空気を送り込んだ。

「わあっ!これに乗って漂いたい。」
「それもいいな。」
泳ぐことに前向きになった奏と一緒に、海の中へと繰り出した。

海の水は真夏の太陽に照らされて温かった。少し冷たいところに行きたい。奏と一緒に、少し深いところに歩いて行った。胸の高さの深さまでくると、さすがに足元がひんやりとしてきた。

「奏、しっかり捕まってろ。」
体を浮かせて、もっと沖の方へ泳ぎ出す。久しぶりの海。小さい頃スイミングスクールで鍛えたおかげで、平泳ぎでなら長時間泳ぎ続ける自信がある。人もまばらになり、俺たち2人だけ…。悪くない。奏も浮き輪につかまりながら、足をゆっくりと動かして、水の感触を楽しんでいた。




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