ある時、ある場所で

もこ

文字の大きさ
24 / 118
2回目〜1年前〜(悠)

1

しおりを挟む
俺は夕方の6時にランニングマシンの上で足を動かしていた。ここはモールの3階の端にある小さなスポーツクラブ。昼間はヨガやエアロビなんかの講習もやっているみたいだが、夜は個人で身体を鍛えたい人に開放している。会員になって月毎に料金を払えば、いくらでも使い放題だ。

「はあ~、気持ちいいっ!」
設定した時間が過ぎ、歩いて呼吸を整えながら満足してた。高校の時には部活動に入らなかったが、中学の時には陸上をやってた。長距離。駅伝の選手にも選ばれたこともある。そこそこ記録は出ていたと思う。

『でも、元来飽きっぽいんだよなあ。』
高校で中学の時の部活のセンパイに声をかけられても、気持ちが向かなかった。それよりも、入学してからすぐに告白された女の子が気になってた。
『次、筋トレするか!』
ちょうど空いた腹筋のトレーニングマシンに行こうとランニングマシンを降りた。

1時間ほど体を動かして、シャワールームへ向かう。ここ3週間ほど、1日おきにこのクラブへ足を運んでいた。
「最近、よく会いますね。」
ロッカーに荷物を置いて服を脱ぎ始めた時、隣に来た奴に声をかけられた。俺より10㎝以上低い。170は…ないな。色白、小柄。茶髪の髪も長く、女みたいな顔をしている。

「そう?」
俺の記憶にはなかった。走る時には、呼吸やペースに集中して他の事が考えられなくなる。雑念が払われて、走った後には爽快感しか残らない。

「ええ。僕が来ている時には必ず走ってます。家、近いんですか?」
「ああ。ま、そんなとこ。」
別に詳しく話す必要はないだろ。
「僕は、一階の家具屋で働いています。親戚の店で…。」
「へぇー。」
じゃあここで会うのも納得だな。

「走ってるの?」
服を脱ぎ始めたソイツに声をかける。最後にボクサーを脱ぎ捨て、ロッカーに突っ込むと、タオルを取り出して鍵をかけた。
「ええ…まあ…」
ソイツが俺の下半身に目が釘付けになってた。羨ましいのか?背が高い分サイズも違うかもな。でも、用は中身…テクだから。
「じゃ、お先に。」
動きを止めたソイツに話しかけてシャワー室に向かった。

「ああ、さっぱり!」
部屋に帰ってシャワーを浴びてもいいけど、運動してからすぐに汗を流せるこの施設が気に入っている。大満足で夕飯をどこで摂ろうか考える。
ロッカールームに戻ると、さっきの男が服を着て、同じ所に立っていた。
「あれ?シャワー浴びた?」
声をかけて、ロッカーに鍵を突っ込んだ。

「…いいえ…」
さっきと違う小さな事に男に顔を向ける。どうしたんだ?無口になったな。
ボクサーを履いて、鞄からシャツを出して着る。ジーンズを出して履こうとして、やはり聞いてみることにした。
「どうしたの?」
思い詰めた顔をしている…何だ?
「…あの…あのお名前を聞いてもいいですか?」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか僕を、ひろってくれたのは、やさしい男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...