26 / 118
2回目〜1年前〜(悠)
3
しおりを挟む
「ちょっと待ってて。知り合いがいた。」
与志己に断って席を立つ。小野寺先輩のところまで行くと、テーブルの上には結構なつまみが並んでいた。
「小野寺先輩、…洸一さん、奇遇ですね!夕飯ですか?」
小野寺先輩はチューハイ。色が薄い…レモン?洸一さんは…日本酒だな。このコップ…冷酒?渋いぞ、オイ。
「うん、そんなとこ。伊那村は?」
いつもの笑顔で小野寺先輩が俺を見る。この笑顔…いいんだよなあ。癒される。
「3階のスポーツクラブに行って、ナンパされまして。これから夕食です。」
ちょっとおどけて見せる。小野寺先輩がちゃんとつっ込んでくれた。
「はははっ!ナンパはないだろ。」
「…お前、1週間後に2回目の任務があること聞いているか?」
隣で、切れ長の目を細めて洸一さんが睨んできた。途端に背筋が伸びる。
「えっ!そうなんですか?大体1か月に1回の任務だってことは聞いていましたが…。」
前回の任務も10日ぐらい前に突然言われた。ま、半年の研修期間を過ぎれば実際に過去に飛ぶことは、最初からずっと聞かされていたけど…。
「…それまでにその髪の色どうにかしろ。目立ちすぎる。」
顔を逸らして小野寺先輩の方を向きながら洸一さんが呟いた。
「はいっ!了解です。」
その後ろ姿に返事をする。本当に威圧感がすごいんだよ、この人…。デカいし…。
「だからー、分かりましたって言うんだ。」
小野寺先輩が笑顔で諭してくる。俺も自然に笑顔になる。
「ははっ!分かりましたっ!じゃ、ごゆっくり!」
挨拶をして席に戻った。店員が飲み物を聞いてくる。とりあえずビールを2つ頼み、与志己に向き直った。
「あの方たち…カップルですか?」
与志己の言葉に2人に目が向く。洸一さんが小野寺さんにかがみ込むようにして何か言ってる。聞こえないけど。小野寺さんが真っ赤だ。
「あ?いや、違うだろ。職場が近いだけだ。」
小野寺さんは3階に付き合っている彼氏がいたはず。…あれ?彼氏だったよな?
「そうですか。」
俺の方を探るように見てくる与志己の視線を遮り、こちらから話を振った。
「何食べる?」
お通しとビールを運んできた店員にあれこれ頼む。ホッケの塩焼きとマグロの唐揚げは外せない。美味いんだって…ここ。
料理が運ばれてくるまで、たわいもない話をした。俺の職場もこの中だと教えたが、どこかは教えなかった。どこか聞きたがる与志己にはなぜか話したくなかった。バックヤードにある仕事場で経理の仕事をしているって言えばいいだけなんだけど…。
「伊那村さん、恋人います?」
料理も運ばれて食が進み、3杯目のビールを頼むと、真面目な顔をした与志己が口を開いた。
与志己に断って席を立つ。小野寺先輩のところまで行くと、テーブルの上には結構なつまみが並んでいた。
「小野寺先輩、…洸一さん、奇遇ですね!夕飯ですか?」
小野寺先輩はチューハイ。色が薄い…レモン?洸一さんは…日本酒だな。このコップ…冷酒?渋いぞ、オイ。
「うん、そんなとこ。伊那村は?」
いつもの笑顔で小野寺先輩が俺を見る。この笑顔…いいんだよなあ。癒される。
「3階のスポーツクラブに行って、ナンパされまして。これから夕食です。」
ちょっとおどけて見せる。小野寺先輩がちゃんとつっ込んでくれた。
「はははっ!ナンパはないだろ。」
「…お前、1週間後に2回目の任務があること聞いているか?」
隣で、切れ長の目を細めて洸一さんが睨んできた。途端に背筋が伸びる。
「えっ!そうなんですか?大体1か月に1回の任務だってことは聞いていましたが…。」
前回の任務も10日ぐらい前に突然言われた。ま、半年の研修期間を過ぎれば実際に過去に飛ぶことは、最初からずっと聞かされていたけど…。
「…それまでにその髪の色どうにかしろ。目立ちすぎる。」
顔を逸らして小野寺先輩の方を向きながら洸一さんが呟いた。
「はいっ!了解です。」
その後ろ姿に返事をする。本当に威圧感がすごいんだよ、この人…。デカいし…。
「だからー、分かりましたって言うんだ。」
小野寺先輩が笑顔で諭してくる。俺も自然に笑顔になる。
「ははっ!分かりましたっ!じゃ、ごゆっくり!」
挨拶をして席に戻った。店員が飲み物を聞いてくる。とりあえずビールを2つ頼み、与志己に向き直った。
「あの方たち…カップルですか?」
与志己の言葉に2人に目が向く。洸一さんが小野寺さんにかがみ込むようにして何か言ってる。聞こえないけど。小野寺さんが真っ赤だ。
「あ?いや、違うだろ。職場が近いだけだ。」
小野寺さんは3階に付き合っている彼氏がいたはず。…あれ?彼氏だったよな?
「そうですか。」
俺の方を探るように見てくる与志己の視線を遮り、こちらから話を振った。
「何食べる?」
お通しとビールを運んできた店員にあれこれ頼む。ホッケの塩焼きとマグロの唐揚げは外せない。美味いんだって…ここ。
料理が運ばれてくるまで、たわいもない話をした。俺の職場もこの中だと教えたが、どこかは教えなかった。どこか聞きたがる与志己にはなぜか話したくなかった。バックヤードにある仕事場で経理の仕事をしているって言えばいいだけなんだけど…。
「伊那村さん、恋人います?」
料理も運ばれて食が進み、3杯目のビールを頼むと、真面目な顔をした与志己が口を開いた。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか僕を、ひろってくれたのは、やさしい男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる