僕とオオカミどものシェアハウス

もこ

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教育実習三週目

19

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 明日提出の指導案はできた。こんなものでいいだろう。学校に持っていく用のUSBに保存を済ませ、2つ重ねた自分をダメにするクッションに横になった。

『自分の気持ち……。』
 自分の気持ちを確認しようとして、何度かこうやって天井を見上げた。けれども何度考えても自分の気持ちがどこにあるのか掴みとることができなかった。夕方まで本当に僕一人。いつもの日曜日は誰かしら下で寛いでいたりするけど、リョウが出かけて昼にも誰も戻らず、昼食は残っていた舞茸ご飯とカップ麺で済ませた。

『みんな帰ったな。』
 1時間くらい前にみんなが帰ってきたようで、足音や声が聞こえてきた。階段を上がってくる足音で少しだけ身構えたけど、ユウが自室に入ったようだった。リョウとトモの声が聞こえる……。リョウは会社へ行ったのだろうか。

『トイレに行きたい。』
 下に行くとしたら、リビングに入って挨拶ぐらいしないと不自然だよな。そんな事を思いながらウダウダしていたけれど、いよいよ自分の膀胱が限界を訴えてきて、下に降りることにした。

「お帰りなさい……。」
 トイレで用を済ませてリビングに入る。奥のキッチンではトモが忙しそうに立ち回り、リョウは手前のソファでテレビを見ながら寛いでいた。夕食の準備を手伝うべきかな? でもなんて言って? いつものようにそばに行って「手伝います。」と言えばいいだけなのに、そうする自分を想像して、また顔が熱くなるのを感じていた。

「おっ、カズ! 課題はいいの?」
「はい、終わりました。」
 朝とは打って変わったように普通の口調に戻ったリョウが、徐にソファから立ち上がってこちらへ歩いてきた。

「じゃあ、ちょっと付き合って。」
「り、リョウさんっ?」
腕を掴まれて廊下に引き摺り出される。その勢いに若干慌てた。

「ね? ファーストキスはいつ?」
「ふぁ、ふぁ、ファースト?」
 戯けた口調でも、リョウの目は真剣だった。何故か廊下の隅に追いやられていた。ここはリョウの部屋の入り口。そして物置の前だ。掃除用具が詰め込んである……。

「い、いつでも関係ないでしょ? リョウさんはいつなんですかっ!」
「僕? んーー、高校1年かな? カズは?」
「ぼ、僕は……。」

 つい2日前のことを思い出す。学校の人気のない体育館で、小池にいきなり唇を奪われた。しかも女じゃなくて男だ。よりによって6つも年下の中学生に告白されて、唇を奪われて……。

『わー先生、好きなんだ。』
 真剣な目。僕より背が小さいくせに、何だか大きく見えた。そして、昨日のトモとのキス……。自分でもわかる。今リョウの前で真っ赤な顔を晒しているに違いない。

「ふふっ、思い出してる。僕が上書きしてあげようか?」
 あの時と同じような構図。なんで手首を固定するわけ? これじゃあ逃げられないじゃないか。いや、諦めているわけじゃないけど。


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