僕とオオカミどものシェアハウス

もこ

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教育実習四週目

3

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「トモさん、どうかしましたか?」
「……待ってた。」

 トモの呟きは微かに震えているような気がした。いつも冷静に、時には自信ありげに話すトモがだ。身体も少し熱い? やっぱり風邪でも引いたのだろうか?

「今日は僕がうどんを作ります。トモさん、少し横になっていてください。」
「もう少し……もう少しだけこのままでいて?」

 懇願されるように低い声で呟かれた言葉は肩から全身へと響いていった。力が抜ける。トモの抱擁を受け止めながら、どうやって元気づけようかと頭を働かせていた。トモは具合が悪いに違いない。密着した体から熱が伝わってくる。どうしたらいい?

「トモさん……熱は? おでこくっつけて?」
「…………。」

 ふっと体を離したトモが、驚いたような顔をしてこちらを見ていた。自分で前髪をかき上げながら、額を僕につけてくる。

「熱は……ないかな?」
 僕と額を合わせてもさほど熱いと感じない。整えられた眉と、意外と狭かった形の良い額に見惚れる。トモもやっぱりイケメンだ。

 気がつくと、自由になった腕を上げてトモの頬を包み込んでいた。少しだけ爪先立ちになって……何故か自分からキスをしていた。

『!』

 急に我に返って顔を離す。目を開くと、自分よりもっと驚いたような顔をしたトモの顔が目の前にあった。ぼ、僕……キスをした? えっ!? 自分から?

 鞄の左肩の紐がスズっとずり下がる。トモの顔を見つめながら、体が硬直して動かないでいた。頬から耳にかけて熱が広がる。ど、ど、どうしたらいい?

 トモが僕の肩から鞄を下ろして床に置いた。そして、さっき僕がしたように頬がトモの両手で包み込まれた。目を瞑る……自分でも分かっている。次に何がくるのか。自分が、何を期待しているのか。

 トモのキスを受け止めながら、どんどんと鼓動が速くなって、血が全身を隈なく移動しているのが感じられた。トモの舌が僕の唇に触れる。少しだけ開いた隙間から静かに僕の中に入ってきた。

「……ン……。」
 息が苦しくなって思わず声が出る。静かにトモの唇が離れていくと、また額をつけてきた。

「カズ……好きだ。……愛してる。ずっと、ずっと前から。」
「…………。」

 胸が破裂しそうだ。何か言いたくても何て言えばいいのか分からない。自分がした事とそれからトモにされた事で頭がいっぱいで思考が働かなかった。でも嫌じゃない。トモとキスをしても嫌じゃなかった。それだけはハッキリとしていた。

「カズ……。」
 またトモの唇が近づいてくる。もう一度、そう、僕も期待している。目を瞑った。トモの唇が重なり、すぐに強く吸い付かれた。今度は舌が遠慮なく僕の口内を犯す。でも嫌じゃなかった。身体中の熱が一点に集まってくるのを感じながら、僕もいつの間にかトモの舌を追いかけていた。

 ガチャ

「おっと……失礼!」

 バタン

 扉が開く音とユウの声に我に返る。扉の向こうで「おい、やっぱり先に車を置いてこよう! ……いいから。」とユウの声が聞こえた。トモの胸に頭をつけて肩で息をしながら、どうしたらいいか分からなくなっていた。ユウに、ユウに見られた!

 トモが僕の体を優しく引き寄せ、頭にキスをして呟いた。
「大丈夫。何も心配ない。」

 何を心配すればいいわけ? トモの温かい体温を感じながら、でもなお、混乱する頭では何も考えられなかった。
 

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