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オオカミは1人だけ
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「そうそう。この歳になって、また若いわー先生に会えるなんて夢にも思わなかった。」
あ、これでお別れなんだ……。リョウの言葉にこの2人との別れの時間がやってきたことを知る。何故か鼻の奥からジワリと熱いものが広がっていくような気がした。
「わー先生は思ってたより小さくて笑えたよ。」
ユウの言葉を聞いて、涙が一粒ポロッと流れ落ちる。
「お、お、お前たちが伸びすぎなんだ! リョウなんかあんなに小さかったのに。」
涙を拭って訴えかける。12年で僕より背が高くなった教え子たち。トモが残るにしても、この2人と別れるのは辛い。唐突にそう感じてしまった。涙がどんどん溢れ出す。
「ヘヘヘへーー。それが今や、わー先生より5㎝は高い。」
「お前、それは盛りすぎだろ。せいぜい2㎝。」
リョウやユウが戯けているのも上の空で、僕は涙を止めるのに必死になった。
「カズ……。」
隣から温かな腕が伸びてきて、トモにすっぽりと包み込まれた。トモの肩に顔を埋めて涙を隠す。
「うっ、うっ、うっ……トモ……。」
「ほら、コイツらがどんな風に成長するのか、これからじっくりと見られるんだぞ? この時代に残る俺の特権でもある。こっそり2人の様子を見に行こう。な? 辛くない。12年後また合流できる。」
トモの大きな手が僕の髪を撫でる。温かな体に包まれて、涙が引いていくのが分かった。トモとこうしていると安心できる。温かくて僕の何かを満たしてくれる香り。まだ別れは辛いけど、何も問題ないって……信じることもできる。思い切って顔を上げてトモの顔を見た。
「うん……もう大丈夫。ありがと。」
「ほら、鼻水。」
トモがスラックスの後ろポケットから、ポケットティッシュを差し出してくる。遠慮なく受け取って垂れてきている鼻水を拭った。
「ふはははっ! トモすっかり保護者じゃん。」
「カズの事、お見通しっ!」
ユウとリョウに笑われて、顔が熱くなっていくのが分かった。でも、先生として関わった事のある者として、ひとこと言いたい。
「リョウ。ユウ? これからトモと2人で君たちの成長を見守っていくから。しっかりと成長しろよ? そして12年後、またここで会おう?」
僕の言葉でユウの手が伸びて頭を撫でられた。
「立派に成長した姿が今の自分。どう? いい男になっただろ?」
続けてリョウも僕の頭に手を乗せてきた。
「この後、すぐ12年後の2人にすぐ会うんだけど……。プッ! 楽しみ。」
そうだ。この2人はもうすぐ12年後の僕たちに会うんだ。頭では理解できてもまだ感覚的に納得できない。時間を飛び越える……トモは本当に残っていて良いのだろうか?
「トモ……。」
トモの顔を見上げると、何でも分かっているような優しい目で見つめられていた。
「俺はここに残るのが最大の幸せなんだ。分かってるだろ?」
目元にチュッとキスをされる。思わず自分からトモに抱きついていた。トモもの腕も僕の背中に回り、ギュッと抱きしめられた。
「ほら、これ持っていって。」
頭の上で聞こえた声に首を回す。トモがユウに手渡したものは、肌色で雨粒の形をした、あの通信機器。
「分かった。じゃあ、2人ともまた12年後に。」
「またね。」
ユウとリョウが窓の隣の壁に向かう。すると、音もなく扉が開いた。一歩踏み出し扉を通る……。
「12年後! 12年後に必ず会いに行くからっ!」
僕の言葉に一瞬動きが止まり、2人がこちらを向いて手を上げた。2人とも今までにないくらい優しい微笑みを浮かべていた。
またすぐに壁になった扉。そしてその隣の窓に目が釘付けになる。2人が後ろを振り返る事なく左に向かって歩いて行った。……やがて見えなくなって暗い物置小屋の壁だけになっていった。
あ、これでお別れなんだ……。リョウの言葉にこの2人との別れの時間がやってきたことを知る。何故か鼻の奥からジワリと熱いものが広がっていくような気がした。
「わー先生は思ってたより小さくて笑えたよ。」
ユウの言葉を聞いて、涙が一粒ポロッと流れ落ちる。
「お、お、お前たちが伸びすぎなんだ! リョウなんかあんなに小さかったのに。」
涙を拭って訴えかける。12年で僕より背が高くなった教え子たち。トモが残るにしても、この2人と別れるのは辛い。唐突にそう感じてしまった。涙がどんどん溢れ出す。
「ヘヘヘへーー。それが今や、わー先生より5㎝は高い。」
「お前、それは盛りすぎだろ。せいぜい2㎝。」
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「カズ……。」
隣から温かな腕が伸びてきて、トモにすっぽりと包み込まれた。トモの肩に顔を埋めて涙を隠す。
「うっ、うっ、うっ……トモ……。」
「ほら、コイツらがどんな風に成長するのか、これからじっくりと見られるんだぞ? この時代に残る俺の特権でもある。こっそり2人の様子を見に行こう。な? 辛くない。12年後また合流できる。」
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「うん……もう大丈夫。ありがと。」
「ほら、鼻水。」
トモがスラックスの後ろポケットから、ポケットティッシュを差し出してくる。遠慮なく受け取って垂れてきている鼻水を拭った。
「ふはははっ! トモすっかり保護者じゃん。」
「カズの事、お見通しっ!」
ユウとリョウに笑われて、顔が熱くなっていくのが分かった。でも、先生として関わった事のある者として、ひとこと言いたい。
「リョウ。ユウ? これからトモと2人で君たちの成長を見守っていくから。しっかりと成長しろよ? そして12年後、またここで会おう?」
僕の言葉でユウの手が伸びて頭を撫でられた。
「立派に成長した姿が今の自分。どう? いい男になっただろ?」
続けてリョウも僕の頭に手を乗せてきた。
「この後、すぐ12年後の2人にすぐ会うんだけど……。プッ! 楽しみ。」
そうだ。この2人はもうすぐ12年後の僕たちに会うんだ。頭では理解できてもまだ感覚的に納得できない。時間を飛び越える……トモは本当に残っていて良いのだろうか?
「トモ……。」
トモの顔を見上げると、何でも分かっているような優しい目で見つめられていた。
「俺はここに残るのが最大の幸せなんだ。分かってるだろ?」
目元にチュッとキスをされる。思わず自分からトモに抱きついていた。トモもの腕も僕の背中に回り、ギュッと抱きしめられた。
「ほら、これ持っていって。」
頭の上で聞こえた声に首を回す。トモがユウに手渡したものは、肌色で雨粒の形をした、あの通信機器。
「分かった。じゃあ、2人ともまた12年後に。」
「またね。」
ユウとリョウが窓の隣の壁に向かう。すると、音もなく扉が開いた。一歩踏み出し扉を通る……。
「12年後! 12年後に必ず会いに行くからっ!」
僕の言葉に一瞬動きが止まり、2人がこちらを向いて手を上げた。2人とも今までにないくらい優しい微笑みを浮かべていた。
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