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遭遇3 〜侑〜
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桜の葉や欅の葉が落ちている中を、杏と2人でザクザクと歩いていた。11月に入って黄色や赤に色づいた葉がこの公園を華やかに見せている。
「なんだ。和樹君と別れてたの。だからか、侑が珍しく甘えん坊なの。」
「甘えてなんかないし。」
木々が生い茂る遊歩道を通り抜けると噴水広場に出る。ベンチが置かれたそこには誰もいない。けれども奥の方から、子どもの微かな声が聞こえる。遊具があるのかもしれない。
今日は授業あと彼氏とデート、という杏に「彼氏と会うまで一緒にいさせて?」と頼み込み、電車とバスを乗り継いで、この街最大のショッピングモール近くの公園まで来ていた。
杏は彼氏と待ち合わせて映画を観るらしい。あと30分は一緒にいられる。うん、自分、やっぱり杏に甘えてるわ。
「原因は?」
杏がベンチに座るとすぐに聞いてきた。ダークブラウンのチェックのフレアースカートにベージュのトレンチコート。中に着ている白のニットが可愛い。
「何か違う。」
自分は、ブラックジーンズにカーキ色のニット。ブラウンのジャケットに同じ色のキャスケットの帽子。寒くなってきたから、髪の毛は下ろしてある。少しだけ伸びた髪の毛が鬱陶しいけど。
「侑はクールだから。和樹君が学校で熱い視線を送ってても全無視だし。」
「えっ? そんなことあった?」
杏の言葉に驚いて隣を見る。えっ? 和樹っていつも男友だちと喋りながら歩いていて、視線がぶつかったことなんて無に等しいんだけど。
「結構ね。侑がお喋りに夢中な時かな? よく見てたよ? 話しかけろってゼスチャーも送ったんだけど。彼シャイだよね?」
「そうか。」
うん、シャイだとは知ってた。それでも2人の時は話が弾んで、それが楽しかったんだ。
でもそれももうできない。自分から別れを切り出した。「うん、そうだと思った。」和樹はそう言ったっきりだった。……それでおしまい。
どちらかが泣き叫ぶとか、追いすがるとかそんなことはない。自分も別れた後、涙も出なかった。後悔も何もなし。自分は他の人と比べると、何かが欠落している。そう感じる。その何かが分からない。自分にとって大切なのかどうかさえ……。
「彼氏、欲しい?」
杏が躊躇いがちに言ってきた。大学に入ってからは2人目だった彼氏。どちらも杏は知ってる。どちらも告られて付き合い始め、自分から好きになったのではないことも。
「んーー、今はいいかな。暫く気楽でいたい。」
彼氏がいたにしてもそんなには変わらなかったけど。もう、暫くはいいやって感じ。自分がどんな人が好みかすら分からないんだから。
7時10分前になって、杏が席を立った。モールの反対側で待ち合わせらしい。自分はもう少しだけここにいて、バスに乗って帰ろう。
「侑だって女の子なんだから、気をつけて帰ってよ?」
「わかってるって。」
母親のような物言いに笑みが溢れる。遊歩道には街灯がついてるし、来た道を抜ければすぐにバス停がある。自分は大丈夫。そう思いながら、急ぎ足で去っていく杏を見送った。
「なんだ。和樹君と別れてたの。だからか、侑が珍しく甘えん坊なの。」
「甘えてなんかないし。」
木々が生い茂る遊歩道を通り抜けると噴水広場に出る。ベンチが置かれたそこには誰もいない。けれども奥の方から、子どもの微かな声が聞こえる。遊具があるのかもしれない。
今日は授業あと彼氏とデート、という杏に「彼氏と会うまで一緒にいさせて?」と頼み込み、電車とバスを乗り継いで、この街最大のショッピングモール近くの公園まで来ていた。
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「原因は?」
杏がベンチに座るとすぐに聞いてきた。ダークブラウンのチェックのフレアースカートにベージュのトレンチコート。中に着ている白のニットが可愛い。
「何か違う。」
自分は、ブラックジーンズにカーキ色のニット。ブラウンのジャケットに同じ色のキャスケットの帽子。寒くなってきたから、髪の毛は下ろしてある。少しだけ伸びた髪の毛が鬱陶しいけど。
「侑はクールだから。和樹君が学校で熱い視線を送ってても全無視だし。」
「えっ? そんなことあった?」
杏の言葉に驚いて隣を見る。えっ? 和樹っていつも男友だちと喋りながら歩いていて、視線がぶつかったことなんて無に等しいんだけど。
「結構ね。侑がお喋りに夢中な時かな? よく見てたよ? 話しかけろってゼスチャーも送ったんだけど。彼シャイだよね?」
「そうか。」
うん、シャイだとは知ってた。それでも2人の時は話が弾んで、それが楽しかったんだ。
でもそれももうできない。自分から別れを切り出した。「うん、そうだと思った。」和樹はそう言ったっきりだった。……それでおしまい。
どちらかが泣き叫ぶとか、追いすがるとかそんなことはない。自分も別れた後、涙も出なかった。後悔も何もなし。自分は他の人と比べると、何かが欠落している。そう感じる。その何かが分からない。自分にとって大切なのかどうかさえ……。
「彼氏、欲しい?」
杏が躊躇いがちに言ってきた。大学に入ってからは2人目だった彼氏。どちらも杏は知ってる。どちらも告られて付き合い始め、自分から好きになったのではないことも。
「んーー、今はいいかな。暫く気楽でいたい。」
彼氏がいたにしてもそんなには変わらなかったけど。もう、暫くはいいやって感じ。自分がどんな人が好みかすら分からないんだから。
7時10分前になって、杏が席を立った。モールの反対側で待ち合わせらしい。自分はもう少しだけここにいて、バスに乗って帰ろう。
「侑だって女の子なんだから、気をつけて帰ってよ?」
「わかってるって。」
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