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ー純ー
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内山が会社を辞めて、担当に変更が出た。内山にはこの仕事はキツかったらしい。外に出て動き回ることができ、残業もほとんどない優良企業のどこがネックだったのか俺には見当もつかん。
自分を気に入ってくれていて、どうしてもという顧客以外は全員手放すことに決め、基本内山が持っている顧客を担当することになった。
『いやーー良かったよ。三田村君に引き継いでもらえれば安心だ。』
いや、俺が率先して名乗りを上げたわけじゃないけどな? 部長がもう既に決めていただけだ。その笑顔を見せる前に、後任は募集してるんだろうな?
大学の担当のおばちゃんが俺を気に入ったのが大きかったらしい。自販機の他にも、購買のコーナーを少しだけ広げて多く納入させてもらえるようになった。今日は自販機補充も含めて18箱。内山のトラックも引き継いだ。
「後任は決まりそうですか?」
俺の言葉に部長が取ってつけたような笑顔を見せた。
「いやーー中途採用だと、今の時期は厳しいねーー。若い子2人応募してきたけと、どうかなぁ。一から教えるとなるとちょっとキツイだろ?」
「……じゃあ、行ってきます。」
暫くは担当箇所が増えた状態のままで頑張れということだ。クソっ! 今日も絶対に定時で上がってやる!
今日は朝一で行くはずの大学は後回しにして、その近辺から攻めることにした。普段より早く行くことで、各店の違った面も見られるかもしれない。大学へはその後で行って……昼メシをあそこで食べるのも悪くない。
『まずは倉庫に行ってトラックに荷物を積まないとだな。』
一度鞄に閉まった納品書を取り出して、配達順に並び替え、入り口近くにかけてある車のキーを手に取ってトラックが待つ外に出ることにした。
『はーー久しぶりの学食もいいもんだ。』
定食で、どんなに高くてもワンコイン。社会人の俺が1人で紛れ込んだら目立つのだろうが、今の時間は子どもたちも少ない。窓際の4人がけのテーブルを独り占めしながら、昼食を楽しんでいた。
学食には他に5組ほどしかいない。みんな授業はどうした? 12時は過ぎたが、まだ授業は終わらなかったはず。広いスペースに耳障りな甲高い喋り声が響いていた。
『一服するか。』
特に煩い女のグループの声から逃げたくてしょうがない。購買の裏手には喫煙所があったはず。俺は、食後の余韻に浸ることはせずに、静寂を求めて外に出ようと、全部平らげたお盆を手に取って返却口へと歩いて行った。
『おっ。授業が終わったか?』
外に出ると同時に、大勢の子どもたちが、こちらに向かって歩いてくるのが見えた。お喋りで外も煩くなる。ちょっとだけため息をついて、煙草を吸おうと購買裏へと歩を進めた。
自分を気に入ってくれていて、どうしてもという顧客以外は全員手放すことに決め、基本内山が持っている顧客を担当することになった。
『いやーー良かったよ。三田村君に引き継いでもらえれば安心だ。』
いや、俺が率先して名乗りを上げたわけじゃないけどな? 部長がもう既に決めていただけだ。その笑顔を見せる前に、後任は募集してるんだろうな?
大学の担当のおばちゃんが俺を気に入ったのが大きかったらしい。自販機の他にも、購買のコーナーを少しだけ広げて多く納入させてもらえるようになった。今日は自販機補充も含めて18箱。内山のトラックも引き継いだ。
「後任は決まりそうですか?」
俺の言葉に部長が取ってつけたような笑顔を見せた。
「いやーー中途採用だと、今の時期は厳しいねーー。若い子2人応募してきたけと、どうかなぁ。一から教えるとなるとちょっとキツイだろ?」
「……じゃあ、行ってきます。」
暫くは担当箇所が増えた状態のままで頑張れということだ。クソっ! 今日も絶対に定時で上がってやる!
今日は朝一で行くはずの大学は後回しにして、その近辺から攻めることにした。普段より早く行くことで、各店の違った面も見られるかもしれない。大学へはその後で行って……昼メシをあそこで食べるのも悪くない。
『まずは倉庫に行ってトラックに荷物を積まないとだな。』
一度鞄に閉まった納品書を取り出して、配達順に並び替え、入り口近くにかけてある車のキーを手に取ってトラックが待つ外に出ることにした。
『はーー久しぶりの学食もいいもんだ。』
定食で、どんなに高くてもワンコイン。社会人の俺が1人で紛れ込んだら目立つのだろうが、今の時間は子どもたちも少ない。窓際の4人がけのテーブルを独り占めしながら、昼食を楽しんでいた。
学食には他に5組ほどしかいない。みんな授業はどうした? 12時は過ぎたが、まだ授業は終わらなかったはず。広いスペースに耳障りな甲高い喋り声が響いていた。
『一服するか。』
特に煩い女のグループの声から逃げたくてしょうがない。購買の裏手には喫煙所があったはず。俺は、食後の余韻に浸ることはせずに、静寂を求めて外に出ようと、全部平らげたお盆を手に取って返却口へと歩いて行った。
『おっ。授業が終わったか?』
外に出ると同時に、大勢の子どもたちが、こちらに向かって歩いてくるのが見えた。お喋りで外も煩くなる。ちょっとだけため息をついて、煙草を吸おうと購買裏へと歩を進めた。
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