自分とアイツ、俺とオマエ

もこ

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 ー純ー

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《18時:駅の噴水前で。》

 俺はユウヤとの待ち合わせをしていてかなり早めに駅前に来ていた。噴水前のベンチで座り、スマホを弄びながら駅の改札口を見張る。駅前は仕事を終えたサラリーマンや学校帰りの高校生などで、ごった返していた。

 今日は休み。月に2日ある平日の休みは都合がいい。諸々の用事を済ませたり、あまり混雑していない店でのんびりしたり。

 ユウヤは哉太と付き合う前に何度か身体を重ねた男。奴は特定の男は作らない。ハイネックのシャツの上にジャケットを羽織り、長いストレートの髪を下の方で1つに縛るのがアイツ流。

 メガネをかけてコーヒーを飲みながら本を読んでる姿からは想像はつかないが、かなり乱れる。そのギャップがいい。「俺一人にしろよ。」と、持ちかけたこともあるが、即座に断られた。「好みじゃない。」と。

『アイツの好みはどこにいるのやら。』

 誘えば高確率でのってくる。断られたのは1度だけ。アイツも俺のことを憎からずは思ってるはずなんだが……。

「ん? 侑か?」

 思わず声が出た。顔を上げて改札口を見た途端に、見知った奴が出てきた。ブラックジーンズに黒い帽子。背中には見覚えのあるグレーの鞄。茶色のダウンも侑のものだ。

『大学《がっこう》からのお帰りか。』

 興味ない。そう思ってスマホに目を落とそうとした瞬間、目の前を男が歩いて行った。人が行き交う駅前で目に止まったのは、コチラもどこか見覚えがあったからだ。

『背が高くて、ヒョロヒョロしてる……。アレ? いつ抱いた奴だ?』

 考えを巡らせようとして諦める。俺は基本背が高いのは好みじゃない。アレは俺の相手じゃない。

 と思うと同時に、奴の視線が気になった。侑にベッタリと張り付いている。侑が消えて行った線路沿いの道に向かって歩いていくソイツが気になって、気がつくと立ち上がってゆっくりと後をつけていた。



『それにしても侑の奴、チンタラ歩いてんな。』

 街灯はついているが、表通りと比べると極端に人通りが少ない。景色を楽しんでいるわけではないだろうに。上りの電車が音を立てて通り過ぎ、侑とその後をつける男を照らし出した。

『アレは絶対に侑をつけてるな。』

 たまに立ち止まるようにして侑の事を観察している。後ろ姿を見つめていても思い出せない。何処かで会ったことがある背格好だということしか。

 だんだんと侑と男の距離が近づいていく。それに伴って、俺との距離も縮んでいった。何か変だ。その気持ちが自然と2人との距離を縮めさせていた。

 坂の向こう側で明かりが踊る。車のヘッドライト。と同時に前の男が一気に走り出し、侑との間合いをつめた。

『…………危ないっ!』

 男が侑を転ばせる。車のヘッドライトが天を照らす。俺は夢中で侑に駆け寄っていた。

 
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