自分とアイツ、俺とオマエ

もこ

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遭遇6 〜侑〜

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「着替えてくるから待っててくれる? あ、手を洗いたい時は洗面所が廊下の……。」
「分かってる。」

 自分の部屋の鍵を開けてリビングへと入り、警備システムを解除しながら純に話しかける。純はリビングに入って辺りを見回していた。

『そうだった。濡れタオルも洗面所のものだったし、着替えもさせてもらってたんだ。』

 急に恥ずかしさが込み上げる。今更なんだけど。洗面所のタオルを額に当ててくれてたんだっけ。自分、着替えもさせてもらってたんだ。……でも純はゲイだし。自分の体を見たところで欲情するはずもないし。

『あっ、下着っ!』

 手を洗いに行った純の後ろ姿を見て、急に追いかけたくなった。下着は風呂場で浴室乾燥機をかけて乾かしている。でも、足が一歩踏み出したところで思いとどまった。風呂場を開けられなければ分からないはず。それに変に意識していると思われたくない。

 気を取り直して、窓から外に干していた洗濯物を取り入れる。壁に取り付けたS字フックに引っ掛けて朝まで放置。冬の時期はこれで殆どのものが乾くから。

『着替えよ。』

 ジーンズだけは履き替えたい。お気に入りの、このブラックジーンズはなるべく色が褪せないようにしなくちゃ。今のうちにグレーになってしまった、元ブラックジーンズに履き替えようと寝室に入っていった。



「遅い。」

 普通に着替えてリビングにもどったはずなのに、純がキッチンに立っていた。慌ててキッチンへと回り込む。

「ごめん! 自分がやるよ?」
「人参と玉ねぎの皮剥いて。そして他のものはしまっとけ。」

 皮の剥いたジャガイモを2つまな板の上で切っている純に指示された。人参は使いかけのものがあったはず。玉ねぎはちょうど切れてたから。

「玉ねぎ2つでいいよね?」

 ボールに切ったジャガイモを入れていた純が動きを止めてこちらを見た。

「玉ねぎ好き?」
「うん。カレーの玉ねぎって好きなんだ。いつも大きく切って入れてる。」
「そう。じゃあ2つで。」

 ジャガイモをボールごと蛇口から出た水で浸し、自分が冷蔵庫から出した人参を手に取った。

「玉ねぎ。」
「待って。純、速いから。」

 あっという間に人参を切り終えた純に催促される。めちゃくちゃ焦る。ゴミ箱の上で、まだ2枚しか皮を剥いでないんだって。固く乾燥した玉ねぎの皮って剥きづらいじゃん?

「ほら、かせっ。」
 純が自分の玉ねぎを取り上げた。根と先端を切り落として……。

「何それ? 魔法みたい。」
 あっという間に皮が剥かれて切り刻まれる。えっ? 微塵切り?

「微塵切り? 大きいのが食べたいなーー。」
 小声で主張するとギロッと睨まれた。

「これはコクを出すために最初に炒める用。蕩けて原型がなくなる。ちゃんと残りは大きくしてやるよ。お前、邪魔だ。座ってろ。」

 人の家に来てその物言いはどうなの? と思わなくはなかったけど、貰ったお魚や野菜を冷蔵庫にしまった。

 お鍋を出して指示されたカレールーを出したり、冷凍ご飯が何個あるか答えたり。そんな程度で、後はリビングのソファで本を読むふりをすることにした。


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