自分とアイツ、俺とオマエ

もこ

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遭遇7 〜侑〜

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 純の車は真っ白で、街でよく見かける車だった。確かハイブリッド車とか何とか聞いたことがあるような気がする。

「乗れ。」
「助手席?」

 頷く純の顔を見て、解錠されたドアを開けて助手席に乗り込んだ。純のトラックに乗った時のことを思い出すと不思議な気持ち。地面に近くて横たわっているみたい。エンジン音も小さく、滑り出したその車に揺られながら前に見える家々を眺めた。

「この車、綺麗だね。」

 素直な感想を言ってみる。変な匂いもしないし、余計なものは何一つ見当たらない。外に駐車しているはずなのに、ボディもピカピカに磨き上げられていた。

「昨日洗車したばかり。」
「なるほど。」

 そういえば家でカレーを作ってくれた時も、料理が出来上がった時には、生ゴミや使ったボールなんかが綺麗に処理されていたっけ。マメな性格なのかな? 結構ズボラな自分とは正反対。結局あの日の洗い物も次の日に持ち越したし。

「元気が出たようだな。」
「うん、ありがとう。話を聞いてくれて。」

 自分の心を理解したわけじゃない。けれども純の「お前はお前だろ」という言葉で、ずいぶん楽になった。自分は自分。誰に理解されなくともいい。外見だけで見てくる奴はそういう人だって割り切ればいいんだ。そんなふうに思った自分がいた。

「お前、学校のカフェはあまり使わないのか?」
「えっ? 結構いくよ? 杏と一緒におしゃべりするのによく使う。」

 急に大学のカフェの話題になって頭を切り替えた。遠くに、そのカフェと同じ看板が見える。

「苦手なメニューは?」
「苦手なものはないけど、結構甘いのが好き。ホイップクリームたっぷりのものとかね。たまにブラックでコーヒー飲んだりもするけど。」
「そうか。」

 目の前に現れたカフェの看板を左に折れる。駐車場に入って行った。えっ? ここでコーヒーでも飲むの?

「ちょっと待ってろ。」
「えっ? 行くよ、何? コーヒー飲むの?」
「いいから待ってろ。お前、目の周り酷いことになってっから。」

 そう言った純が自分の次の言葉を待たずに出て行ってしまった。「目の周り」という言葉にギクリとする。今日は化粧もしてきたから……!

 慌てて鏡を取り出して見てみると、思ったほど崩れてはいなかった。ただ少しだけ赤くなっている程度。これはすぐに隠せる。けど今さら? という気持ちが湧いてきて、そのままにすることにした。純には鼻水垂らしたところも見られたことだし。

「ほら、飲め。」

 しばらくして純が持って現れたのは、期間限定のチョコレートドリンクだった。ホイップクリームにクリスマスらしい飾りがトッピングしてある。

「純は?」
 ホルダーに入れたカップを見れば一目瞭然だけど。

「俺はブレンド。甘いのは滅多に飲まん。」
 顰めっ面になった純の言葉に笑いが込み上げる。この顔で、どんなふうにトッピングを頼んだんだろ?

「ありがと。」
 眉間にシワを寄せてあれこれトッピングを頼む純の姿を想像すると、笑いが込み上げる。純がわざわざ買ってきてくれたドリンクのストローを口に含む。何度か飲んだことのある味のはずなのに、初めて飲むような甘くて優しい味がした。

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