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ー純ー
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トラックの荷台から台車へとダンボールを降ろす。今日は10箱。土曜日で大学は休みだからそんなに消費されない。これだけ納入しておけば、明後日の納入でも同じぐらいで済むはずだ。
いつものように書類の入った鞄を肩から下げて、職員駐車場から購買の裏口に向かって台車を転がす。歩きながら、遠くにチラホラ見える学生を目で追っていた。
『土曜日だからといって学校が閉鎖されることはないしな。』
図書館もやってる、部活動で大学に来る奴らもいる。研究室で調べ物をする奴なんかは土日など関係ないはず。学食もメニューは少なくなるがやってるはずだし、購買で弁当だって売るはずだ。
『侑は来てるはずは、ないか。』
自然と見慣れた茶色のダウンにジーンズ姿を探す。背格好で一目で見つける自信までついてしまった。夕べの別れ際の様子が脳裏に蘇ってきた。
『やっちまったよな……。』
何故、侑にキスしてしまったのかが分からない。最初の頃は確かに好みだと思った。でもそれは、アイツが「男」だと思ったからだ。女だと知ったはずなのに……。
『俺の脳内がバグってるのか?』
あの時の侑の驚いたような表情。思い出すたびに髪の毛を掻きむしりたくなっちまう。実際に夕べは遅くまで眠れなかった。風呂に入っても、布団に入ってもあのフローラルな香りの髪と柔らかかった唇が忘れられずに……。
『おっと、これ以上はイカン。』
気を引き締める。これから購買のオバちゃんに会うんだ。西村さん。ようやく名前が頭に入った。今日は在庫整理で特売をかける秋限定のお茶を売り込むか。部長が10円までは単価を落としてもいいと言ってたからな。
「では5円引きで引き取ってもらえますか?」
「ええ、大丈夫でしょう。このお茶は人気があるし、まだまだ学生には売れると思うわ。」
西村さんは人がいい。ふっくらとした体に深緑色のエプロンがはち切れそうに巻いてある。パーマをかけた髪をひとつに纏めて、ってパーマだよな? 俺と同じ天然か?
この人の良さそうな西村さん相手に、内山が何をやらかしたのかが分からない。内山が辞めた理由は大学関係だと聞いていたが、この西村さんも愚痴を言うタイプではなかった。
「では、月曜日に持ってきますね。西村さんは月曜日はお休みでしたよね?」
「引き継いでおくから大丈夫よ。」
お礼を言って踵を返す。この人に任せておけば大丈夫だ。店の奥から引き返そうとした時、入り口近くにいる男に気づいた。
『おっと……また見てたのか。』
最近遭遇することが多くなった学生。たぶん院生だと思うが、たまにこの購買で会うようになった。こちらをジッと見ていることが多く、視線がぶつかると奴が目を伏せるところまでが一連の流れ。
『悪いな。俺は学生には手を出さん。』
心の中で呟いて素知らぬふりで傍を通り抜け、台車を置いた表へと出た。
いつものように書類の入った鞄を肩から下げて、職員駐車場から購買の裏口に向かって台車を転がす。歩きながら、遠くにチラホラ見える学生を目で追っていた。
『土曜日だからといって学校が閉鎖されることはないしな。』
図書館もやってる、部活動で大学に来る奴らもいる。研究室で調べ物をする奴なんかは土日など関係ないはず。学食もメニューは少なくなるがやってるはずだし、購買で弁当だって売るはずだ。
『侑は来てるはずは、ないか。』
自然と見慣れた茶色のダウンにジーンズ姿を探す。背格好で一目で見つける自信までついてしまった。夕べの別れ際の様子が脳裏に蘇ってきた。
『やっちまったよな……。』
何故、侑にキスしてしまったのかが分からない。最初の頃は確かに好みだと思った。でもそれは、アイツが「男」だと思ったからだ。女だと知ったはずなのに……。
『俺の脳内がバグってるのか?』
あの時の侑の驚いたような表情。思い出すたびに髪の毛を掻きむしりたくなっちまう。実際に夕べは遅くまで眠れなかった。風呂に入っても、布団に入ってもあのフローラルな香りの髪と柔らかかった唇が忘れられずに……。
『おっと、これ以上はイカン。』
気を引き締める。これから購買のオバちゃんに会うんだ。西村さん。ようやく名前が頭に入った。今日は在庫整理で特売をかける秋限定のお茶を売り込むか。部長が10円までは単価を落としてもいいと言ってたからな。
「では5円引きで引き取ってもらえますか?」
「ええ、大丈夫でしょう。このお茶は人気があるし、まだまだ学生には売れると思うわ。」
西村さんは人がいい。ふっくらとした体に深緑色のエプロンがはち切れそうに巻いてある。パーマをかけた髪をひとつに纏めて、ってパーマだよな? 俺と同じ天然か?
この人の良さそうな西村さん相手に、内山が何をやらかしたのかが分からない。内山が辞めた理由は大学関係だと聞いていたが、この西村さんも愚痴を言うタイプではなかった。
「では、月曜日に持ってきますね。西村さんは月曜日はお休みでしたよね?」
「引き継いでおくから大丈夫よ。」
お礼を言って踵を返す。この人に任せておけば大丈夫だ。店の奥から引き返そうとした時、入り口近くにいる男に気づいた。
『おっと……また見てたのか。』
最近遭遇することが多くなった学生。たぶん院生だと思うが、たまにこの購買で会うようになった。こちらをジッと見ていることが多く、視線がぶつかると奴が目を伏せるところまでが一連の流れ。
『悪いな。俺は学生には手を出さん。』
心の中で呟いて素知らぬふりで傍を通り抜け、台車を置いた表へと出た。
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