【完結】下級悪魔は魔王様の役に立ちたかった

ゆう

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ウェス編

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顔からどくどくと血が流れる。
最後の一撃は敢えて避けなかったためもろに食らってしまった。

その状態で僕は城の床に投げ出された。

「うっ…」

なんとか顔を上げるとそこは会議室だった。周りには先日の参加者たちがぐるりと囲んでいた。

「やはり荷が重かったようですね」
「まあ、顔に傷なんて…さらに醜くなって、見るに耐えませんわ」
「それでレヴォン様。彼は何か成果を上げましたか?」

その言葉に皆が一斉にレヴォン様を見る。

待ってほしい、あと少しで1人は倒せたのだ。そう言いたいが血が流れすぎて意識が朦朧とする。

「いや、ウェスでは誰も倒せなかった」

彼の言葉に周りが笑いに包まれる。俺は居た堪れなくなって頭を垂れた。

「人間より弱いとは」
「せめて1人くらいは倒してくれれば良いものを」
「この役立たずが」

皆の言葉が突き刺さる。やはり所詮は低級の悪魔。彼らにとっては使い捨ての駒にすぎず、勇者一行を倒すなど期待もされていなかった。

それでも俺はディニス様の役に立ちたくて、皆を見返してやりたかった。

そんなこと叶うはずないのに…

じっと俺の顔を見るディニス様の視線に耐えられない。早くこの場から逃げ出したい。

「はぁ、ウェス。お前には伯爵位は重すぎた。爵位は剥奪する」

そして、彼から冷ややかに告げられた言葉に体が震える。

大好きなディニス様に見放されてしまった。貴族でなくなればディニス様と会う機会もない。

それは嫌だ。離れたくない。冷たくされても側にいたい。

「ま、待ってください!もう一度チャンスを…」
「くどいぞ。お前には無理だと言っている」
「そんな…せめて…あと一度だけでもっ…!」

俺は滴る血も構わずディニス様に泣き縋った。

「おい!ディニス様のお召し物が汚れるだろ!これだから知能も低い低級悪魔は…」

そう言って俺を蹴り飛ばした魔族をディニス様が手で静止する。

ボロボロに破れた羽に更に亀裂が入り、俺は痛みに顔を歪めた。
そんな俺の前にディニス様が歩み寄る。

「で、ディニス様…」

自分を助けてくれた彼の行動に希望を宿して顔を上げる。だが目に映ったのは今まで見たこともないほど冷ややかな表情だった。

「その醜い顔を私に晒すな。さっさと下がれ」

その言葉が理解できない。
俺はディニス様に醜いと言われたのか?

今まで誰がそう言ってもディニス様だけは言わなかったのに…

ふと、目の前が赤いことに気づく。俺は勇者の一撃を顔に食らっていたんだった。もしかして、見るも耐えない顔になっているのだろうか。

そう考えると急に恥ずかしくなった。

「あ…申し訳、ございません…」

俺は顔を羽で隠し俯いた。

それを見たディニス様がため息を吐く。

「ウェスを下がらせろ」

その言葉で両側にいた魔族が俺を乱雑に抱えて外に放り出した。


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