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ウェス編
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そして、俺は数日のうちに急いで準備を整えた。
上空から降らせる毒を集め、戦士職の男の妻子を人質に取り勇者たちを裏切らせる約束をした。そして最後の手段として、自分の命を糧に発動する禁忌魔法も仕込んだ。
ここまでしても不安は拭えない。それでも勇者一行の数人でも減らすことができればディニス様の負担が軽くなるはずだ。
そう思ってベルケンシュトック領を超えた彼らの前に立ちはだかった。
「こいつ、前に戦った悪魔だ!」
「まずは重力魔法で落とせ!」
人間たちの声が聞こえる。俺は同じ手は食らうものかと、彼らの魔力が及ばない上空まで飛び上がり毒をばら撒いた。
「これは…!?」
「皆!この粉を吸うな!」
下で人間たちが慌てているが、既に3分の1は動かなくなっている。
(やった…!)
そう思ったのも束の間、聖女の力でまだ息絶えていなかった面々は完全回復されてしまう。
俺は舌打ちしそうになるのを堪えて攻撃を続けた。
そしてそろそろだと思い合図を送る。
すると勇者の後ろにいた戦士が仲間を裏切り勇者を切りつけた。
「な、何を…!?」
「す、すまない…妻と子が…人質に…せめてあの2人だけは助けてくれ…」
勇者は斬られたのにも関わらず、顔を苦悶の表情に歪めたかと思うと戦士を切り捨てた。
「卑怯な悪魔め!さっさと降りてこい!」
彼がそう叫んでいるのが聞こえる。
重力魔法を避け高いところから攻撃を仕掛けているため、奴らの攻撃は当たらないが、俺の攻撃も威力が落ちる。
このままではジリ貧だと思った俺は最後の手段に出ることにした。
「ぐっ!」
勇者の放った攻撃に当たったフリをして地面に転落する。
「やったぞ!」
そんな人々の声が聞こえ、地面に落ちた俺に我先にと留めを刺そうとやってくる。
(今だっ!)
俺はその瞬間に、自身に仕込んだ禁忌魔法を発動させて周囲一体を燃やし尽くした。
「やったか…?」
俺は辺りを見渡した。防壁を張ったとはいえ、自身の生命力を使った魔法で俺自身の消耗も激しい。
なんとか生き残ったが、これ以上戦うことはできないだろう。
そして周りに動くものがないかを確かめる。
…誰もいない。
「やった…!やったぞ、俺が勇者一行を倒し…」
そこまで言ったところで何かが俺の心臓を貫いた。
「え…?」
体が燃えるように熱い。そして痛い。
一体何が起きたというのか。
そして攻撃が来た方を振り返ると、そこにはソロン様が立っていた。
「まさか本当に勇者一行を倒すとは。やりますね、ウェス」
「な、んで…ソロン様が俺を…」
いまだに状況の理解が追いつかない。俺はソロン様に攻撃されたのか?
「馬鹿なウェス。今の一撃で死んでおけばまだ幸せだったものを」
そう言ってソロン様は見たこともない醜悪な笑顔で笑った。
「私があんな話をすれば君はもう一度勇者たちに戦いを挑むと思っていました。まあ、勝つとは夢にも思いませんでしたが…これはこれで行幸です」
ソロン様はゆっくりと俺に歩み寄ると、羽を思い切り踏んづけた。
「ぐっ!何を…」
踏まれた羽は折れ、おかしな方向に曲がっていた。
「これで魔王城には戻れませんね。まあ、戻る間もなく息絶えそうですが…念には念を入れておかないと。では、私はディニス様に私が勇者一行を倒したと報告に行かないといけませんので」
そうにっこり笑った彼は転移魔法で消えていった。
上空から降らせる毒を集め、戦士職の男の妻子を人質に取り勇者たちを裏切らせる約束をした。そして最後の手段として、自分の命を糧に発動する禁忌魔法も仕込んだ。
ここまでしても不安は拭えない。それでも勇者一行の数人でも減らすことができればディニス様の負担が軽くなるはずだ。
そう思ってベルケンシュトック領を超えた彼らの前に立ちはだかった。
「こいつ、前に戦った悪魔だ!」
「まずは重力魔法で落とせ!」
人間たちの声が聞こえる。俺は同じ手は食らうものかと、彼らの魔力が及ばない上空まで飛び上がり毒をばら撒いた。
「これは…!?」
「皆!この粉を吸うな!」
下で人間たちが慌てているが、既に3分の1は動かなくなっている。
(やった…!)
そう思ったのも束の間、聖女の力でまだ息絶えていなかった面々は完全回復されてしまう。
俺は舌打ちしそうになるのを堪えて攻撃を続けた。
そしてそろそろだと思い合図を送る。
すると勇者の後ろにいた戦士が仲間を裏切り勇者を切りつけた。
「な、何を…!?」
「す、すまない…妻と子が…人質に…せめてあの2人だけは助けてくれ…」
勇者は斬られたのにも関わらず、顔を苦悶の表情に歪めたかと思うと戦士を切り捨てた。
「卑怯な悪魔め!さっさと降りてこい!」
彼がそう叫んでいるのが聞こえる。
重力魔法を避け高いところから攻撃を仕掛けているため、奴らの攻撃は当たらないが、俺の攻撃も威力が落ちる。
このままではジリ貧だと思った俺は最後の手段に出ることにした。
「ぐっ!」
勇者の放った攻撃に当たったフリをして地面に転落する。
「やったぞ!」
そんな人々の声が聞こえ、地面に落ちた俺に我先にと留めを刺そうとやってくる。
(今だっ!)
俺はその瞬間に、自身に仕込んだ禁忌魔法を発動させて周囲一体を燃やし尽くした。
「やったか…?」
俺は辺りを見渡した。防壁を張ったとはいえ、自身の生命力を使った魔法で俺自身の消耗も激しい。
なんとか生き残ったが、これ以上戦うことはできないだろう。
そして周りに動くものがないかを確かめる。
…誰もいない。
「やった…!やったぞ、俺が勇者一行を倒し…」
そこまで言ったところで何かが俺の心臓を貫いた。
「え…?」
体が燃えるように熱い。そして痛い。
一体何が起きたというのか。
そして攻撃が来た方を振り返ると、そこにはソロン様が立っていた。
「まさか本当に勇者一行を倒すとは。やりますね、ウェス」
「な、んで…ソロン様が俺を…」
いまだに状況の理解が追いつかない。俺はソロン様に攻撃されたのか?
「馬鹿なウェス。今の一撃で死んでおけばまだ幸せだったものを」
そう言ってソロン様は見たこともない醜悪な笑顔で笑った。
「私があんな話をすれば君はもう一度勇者たちに戦いを挑むと思っていました。まあ、勝つとは夢にも思いませんでしたが…これはこれで行幸です」
ソロン様はゆっくりと俺に歩み寄ると、羽を思い切り踏んづけた。
「ぐっ!何を…」
踏まれた羽は折れ、おかしな方向に曲がっていた。
「これで魔王城には戻れませんね。まあ、戻る間もなく息絶えそうですが…念には念を入れておかないと。では、私はディニス様に私が勇者一行を倒したと報告に行かないといけませんので」
そうにっこり笑った彼は転移魔法で消えていった。
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