【完結】欠陥品と呼ばれていた伯爵令息だけど、なぜか年下の公爵様に溺愛される

ゆう

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本編

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「ザック・・・」

俺は今ザックの膝の上で上着ごと抱き抱えられている。ザックの上着はかなり大きくて、一応太ももあたりまで隠れてはいるが、このように密着するのは少し恥ずかしい。
だがそんなことよりも今占める感情の大半は恐怖だ。ザックが怖い。これは今まで見たことがないほど怒っているのではないだろうか。

「テイト。それで、聞かせてくれますか?なぜ私の元を去ろうとしたのかを。」

笑顔を浮かべたザックが問いかけて来る。笑顔なのだが、馬車の中は真冬のように冷たい空気だ。

「お、俺は・・・これ以上お前に迷惑をかけたく無くて・・・」
「迷惑?」

俺はザックの視線から逃れるように顔を背けた。だが話をするまで解放してもらえそうにはない。俺は目を背けたままぽつりぽつりと訳を話し始めた。

「その・・・お前が俺を好いてくれたことは嬉しかった。でも、もう良いんだ。」
「もう良い、とは?」
「俺のために無理をする必要はない。俺はお前にとって負担だったろう?これ以上お前を苦しめたくないんだ。」

自分の体が冷えていくのを感じる。これで2人の関係は終わってしまうと思うと、自分から離れようとしているのにも関わらず寂しい気持ちになってしまう。

無言の時間が永遠にも感じられ、早く何か言って欲しいとザックのシャツをギュッと掴む。そんな願いが通じてか、やっとザックが口を開いた。

「私がどれほど我慢していたと・・・」
「ザック?」

予想していたどの言葉にも当てはまらないその呟きに困惑して思わずザックと目を合わせてしまった。

「誰にそんなことを言われたんですか?」
「え・・・」
「だから、誰に何を言われてそんな風に考えたんですか?」

ザックは少し怒気を滲ませた瞳で俺を見つめ返した。初めてザックから向けられる怒りに思わず体が竦む。

「そんなの・・・お前とカイン以外はみんな言ってる。」
「そうですか。それで、テイトにとっては私たちとそれ以外、どちらが大切なんですか?」
「そんなの、お前たちに決まってるだろ!」
「では、なぜ私たちの言葉を信じてくれないんです?私は何度もそんなことは気にする必要はないと、あなたを愛していると言ったでしょう?」
「それは・・・だって・・・」

俺は答えに迷って再び目を逸らそうとしたが、今度はザックが許してくれなかった。右手で顔を固定され、無理矢理向き合わされる。

「だって、なんですか・・・?」

いつだって優しかったザックなのに、今はまるで違う。逃がさないとでも言うようにしっかり捕まえられたまま責め立てるような視線に瞳が揺らぐ。

「他の奴らの言ってることは正しいから・・・お前は、幼い頃の出来事に恩を感じて、今度は俺を助けようとしてくれているんだろう?」
「違います。私はテイトのことが好きで一緒にいたいんです。」
「っ、そんなの・・・きっと間違いだ・・・幼い時の感情を恋だと勘違いしたんだよ。」
「確かに恋をしたのはあの頃でしたが、それを勘違いだとは思いません。どうしてテイトはそうやって私から逃げようとするんです?」

逃げようとしている、と指摘されて体に緊張が走る。俺はザックから逃げている。自分でもわかっていたことだ。

「それは・・・俺じゃお前に釣り合わないから・・・俺と一緒にいてもザックは幸せになれない。」
「私の幸せは私が決めます。それはテイトと一緒にいることなんです。」
「そんなの・・・違う・・・」
「テイト。あなたがなぜそこまで頑なに私を拒むのかはわかりません。でも、あなたが逃げようとするなら私は捕まえておかないといけませんね?」

そう言って冷たささえ感じる笑みを浮かべたザックは俺を抱え上げて馬車を降りた。気づかないうちに公爵邸に到着していたらしい。

俺はこんな格好なので無理矢理降りるわけにもいかず、気まずさと恥ずかしさをおして抱えられたまま公爵邸に入った。

ザックは出迎えにきた使用人への反応もそこそこに、さっさと中へと歩いていく。そして、すでに見慣れたザックの部屋に着くと俺をベッドの上に下ろした。

「こんな風にはしたくなかったのですが・・・」と前置きしたザックが俺の頬を撫でる。
「このままだと埒があかないので、強引ですが体に聞きますね?それに、私がどれほど我慢していたかを知ってもらった方が、私の気持ちも伝わるでしょう。」

そう言ったザックは自らが掛けた上着を奪い取り、俺をベッドに押し倒した。
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