19 / 67
第2章 憧れた夢の途中
運命の歯車。
しおりを挟む
ルイ兄様に結界を貼ってもらった翌日から、私の机に起きていた嫌がらせがピタリと終わった。
やはり、ルイ兄様の助言通り精霊の悪戯だったようだ。
私の勘も外れていなかった事に安堵する。
今は明日の建国祭のせいで生徒会の仕事を少し前倒しで行なっている。
予定では仕事を終え次第、ライとアークとリオ、そしてマリーの五人で王城へ向かうことになっている。
最後の用事を終え、生徒会室に戻る途中中庭を横断したほうが近道だからと急ぎ足で向かっていた。
あの日以来原因が精霊だったと分かった後もライが常に傍に居てくれたのだが、あまりにも効率が悪いのと、今日は時間が無いのと、時間帯はどうしても都合が付けれずライの代わりにアークが傍に居てくれるらしい。
先ほど今から向かうと連絡が来たので、そろそろ合流できるだろう。
手元の書類に視線を落としながら、生徒会室に戻ってする仕事の順番を考えていると、僅かな殺気と前方に人の気配を感じ足を止める。
顔をあげれば、視界ギリギリの位置に刃先がかすめる。
「っ!」
条件反射で後方へと飛び距離を取ると同時にブレスレットに軽く触れる。
アークが一番早いであろうがそれまでなんとか凌ぐしかない。
目の前にいるのはがっちりと鍛え上げられた体躯の男。顔は布で覆われ目元もあまり見えない。
男はもう一つダガーを取り出す。特に装飾もなく、シンプルでどこでも手に入りそうな代物だ。
相手の武器を奪うというのも考えられたが、相手は明らかに私より場数を踏んでいるし裏の人間だと瞬時に悟る。
そんな相手に攻撃を仕掛けるなんてことは自殺行為だ。
どこから侵入したかなんてこの職業に付く人間に聞いてはダメだ。
じりっと間合いを取りながら相手がどう動くかを観察する。神経を張り詰めないと一瞬にしてヤラれる。
相手が踏み込んで間合いを詰めようとした瞬間、横から火球が現れた。
「姉さん!!」
アークが一気に距離を詰め攻撃をしかけた。
踊るようにして繰り出されるダガーの攻撃を交わしながら、アークが間合いを詰めていく。
「レティ!!!」
打ち合いをしていた相手がライの姿を捉えた瞬間男はダガーを鞘に直しそのまま壁を登り校舎外へ姿を消した。
と同時に頭上に現れたのは水の塊。
風船のように浮くそれは、私の元へ向かいそして弾かれたところで、風船が割るようにして消滅した。
そして、魔力を失った水はそのまま落下し、バシャ!!といい音を出しながら私とライは二人してずぶ濡れにした。
「レティ姉さん、ライ兄さん大丈夫ですか?!」
「そうね、ずぶ濡れになった以外は平気かしら。」
「それよりも、相手分かりそうか?」
「父に聞けばわかるかと。西の帝国でよく見られる剣技です。」
「となると、レティに対しての嫌がらせのレベルを超えてるな。」
ジャケットを脱ぎ火の魔法で乾かしたモノを私の掛け前のボタンをしめる。
ついでに風の魔法と火の魔法の組み合わせで温風を作ると私とライの周りに風が発生し、ずぶ濡れの制服を乾かしてくれた。
「ひとまず生徒会室に帰るか。一応乾かしたがこの大事な時期に風邪を引いてもいけないしな。」
「アークは悪いが、兄上に先に報告を上げてくれ。」
「わかりました。それでは、また後で。」
「よろしく。」
馬屋へ向かうアークを見送ったあとライは問答無用で私を抱き上げた。
「ちょっと、抱き上げる理由がわかりませんわ。」
「立っているのがやっとのくせによく言う。」
図星を刺され返答に困っているとおデコに頭をコツンと合わせてくると、盛大にライはため息をついた。
「ケガがなくて良かった。」
「相手の力量くらいわかります。必死で逃げてましたわ。」
「当たり前だ。いくら武術を叩き込まれているとしても自分の身を守るのが最優先だ。」
軽々と抱きかかえ生徒会室までの道を歩いていく。周りの視線が気になるところだが、ライのジャケットを来ていているのもあって、何かあったのだろうと思われるし、爵位だけで見ても私とライは上位貴族と王族。
深く聞いてこないのは、ある意味マナーである。
生徒会室についた私は、問答無用で生徒会室の隣に設置されたシャワー室に放り込まれ温まって来いと厳命された。
いくら夏場とはいえ先程の水球で冷えた身体を温め、予備の制服に着替えた。
やはり、ルイ兄様の助言通り精霊の悪戯だったようだ。
私の勘も外れていなかった事に安堵する。
今は明日の建国祭のせいで生徒会の仕事を少し前倒しで行なっている。
予定では仕事を終え次第、ライとアークとリオ、そしてマリーの五人で王城へ向かうことになっている。
最後の用事を終え、生徒会室に戻る途中中庭を横断したほうが近道だからと急ぎ足で向かっていた。
あの日以来原因が精霊だったと分かった後もライが常に傍に居てくれたのだが、あまりにも効率が悪いのと、今日は時間が無いのと、時間帯はどうしても都合が付けれずライの代わりにアークが傍に居てくれるらしい。
先ほど今から向かうと連絡が来たので、そろそろ合流できるだろう。
手元の書類に視線を落としながら、生徒会室に戻ってする仕事の順番を考えていると、僅かな殺気と前方に人の気配を感じ足を止める。
顔をあげれば、視界ギリギリの位置に刃先がかすめる。
「っ!」
条件反射で後方へと飛び距離を取ると同時にブレスレットに軽く触れる。
アークが一番早いであろうがそれまでなんとか凌ぐしかない。
目の前にいるのはがっちりと鍛え上げられた体躯の男。顔は布で覆われ目元もあまり見えない。
男はもう一つダガーを取り出す。特に装飾もなく、シンプルでどこでも手に入りそうな代物だ。
相手の武器を奪うというのも考えられたが、相手は明らかに私より場数を踏んでいるし裏の人間だと瞬時に悟る。
そんな相手に攻撃を仕掛けるなんてことは自殺行為だ。
どこから侵入したかなんてこの職業に付く人間に聞いてはダメだ。
じりっと間合いを取りながら相手がどう動くかを観察する。神経を張り詰めないと一瞬にしてヤラれる。
相手が踏み込んで間合いを詰めようとした瞬間、横から火球が現れた。
「姉さん!!」
アークが一気に距離を詰め攻撃をしかけた。
踊るようにして繰り出されるダガーの攻撃を交わしながら、アークが間合いを詰めていく。
「レティ!!!」
打ち合いをしていた相手がライの姿を捉えた瞬間男はダガーを鞘に直しそのまま壁を登り校舎外へ姿を消した。
と同時に頭上に現れたのは水の塊。
風船のように浮くそれは、私の元へ向かいそして弾かれたところで、風船が割るようにして消滅した。
そして、魔力を失った水はそのまま落下し、バシャ!!といい音を出しながら私とライは二人してずぶ濡れにした。
「レティ姉さん、ライ兄さん大丈夫ですか?!」
「そうね、ずぶ濡れになった以外は平気かしら。」
「それよりも、相手分かりそうか?」
「父に聞けばわかるかと。西の帝国でよく見られる剣技です。」
「となると、レティに対しての嫌がらせのレベルを超えてるな。」
ジャケットを脱ぎ火の魔法で乾かしたモノを私の掛け前のボタンをしめる。
ついでに風の魔法と火の魔法の組み合わせで温風を作ると私とライの周りに風が発生し、ずぶ濡れの制服を乾かしてくれた。
「ひとまず生徒会室に帰るか。一応乾かしたがこの大事な時期に風邪を引いてもいけないしな。」
「アークは悪いが、兄上に先に報告を上げてくれ。」
「わかりました。それでは、また後で。」
「よろしく。」
馬屋へ向かうアークを見送ったあとライは問答無用で私を抱き上げた。
「ちょっと、抱き上げる理由がわかりませんわ。」
「立っているのがやっとのくせによく言う。」
図星を刺され返答に困っているとおデコに頭をコツンと合わせてくると、盛大にライはため息をついた。
「ケガがなくて良かった。」
「相手の力量くらいわかります。必死で逃げてましたわ。」
「当たり前だ。いくら武術を叩き込まれているとしても自分の身を守るのが最優先だ。」
軽々と抱きかかえ生徒会室までの道を歩いていく。周りの視線が気になるところだが、ライのジャケットを来ていているのもあって、何かあったのだろうと思われるし、爵位だけで見ても私とライは上位貴族と王族。
深く聞いてこないのは、ある意味マナーである。
生徒会室についた私は、問答無用で生徒会室の隣に設置されたシャワー室に放り込まれ温まって来いと厳命された。
いくら夏場とはいえ先程の水球で冷えた身体を温め、予備の制服に着替えた。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
どんなあなたでも愛してる。
piyo
恋愛
遠征から戻った夫の姿が変わっていたーー
騎士である夫ディーノが、半年以上の遠征を終えて帰宅した。心躍らせて迎えたシエラだったが、そのあまりの外見の変わりように失神してしまう。
どうやら魔女の呪いでこうなったらしく、努力しなければ元には戻らないらしい。果たして、シエラはそんな夫を再び愛することができるのか?
※全四話+後日談一話。
※毎日夜9時頃更新(予約投稿済)&日曜日完結です。
※なろうにも投稿しています。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係
紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。
顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。
※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
【コミカライズ決定】魔力ゼロの子爵令嬢は王太子殿下のキス係
ayame@コミカライズ決定
恋愛
【ネトコン12受賞&コミカライズ決定です!】私、ユーファミア・リブレは、魔力が溢れるこの世界で、子爵家という貴族の一員でありながら魔力を持たずに生まれた。平民でも貴族でも、程度の差はあれど、誰もが有しているはずの魔力がゼロ。けれど優しい両親と歳の離れた後継ぎの弟に囲まれ、贅沢ではないものの、それなりに幸せな暮らしを送っていた。そんなささやかな生活も、12歳のとき父が災害に巻き込まれて亡くなったことで一変する。領地を復興させるにも先立つものがなく、没落を覚悟したそのとき、王家から思わぬ打診を受けた。高すぎる魔力のせいで身体に異常をきたしているカーティス王太子殿下の治療に協力してほしいというものだ。魔力ゼロの自分は役立たずでこのまま穀潰し生活を送るか修道院にでも入るしかない立場。家族と領民を守れるならと申し出を受け、王宮に伺候した私。そして告げられた仕事内容は、カーティス王太子殿下の体内で暴走する魔力をキスを通して吸収する役目だったーーー。_______________
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる