infinite love

谷山佳与

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第1章 学園編入編。

犯人の絞込み。

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携帯のアラームで、沈んでいた意識を浮上させる。
少し息苦しいなと疑問を浮かべながらも片手でアラームを止めディスプレイに表示されている時間を確認して、起き上がろうと思ったのだが、ディによってがっちり固定されている。
しかも、離さないと言うように少しでも私が動けば、無意識なのだろうが腕に力がこもる。
子供か・・・・。
おかげで身動きができない。
気もち良さそうに寝ている所悪いのだけれど、授業の時間が迫っている。

『ディ。起きて』
『・・・ん?・・・おはよう、フィー。』

腰辺りを固定していた片腕を頬というより顎?に添えられ、ちゅっと軽いキスをされる。
視線的にそれ以上を希望しているような感じだが、そこはスルーさせてもらおうと思う。
身体を起こし軽く伸びをすると、食器を片付けて学校へと向かった。

学校へ到着するとなんだか校内が騒がしく思えた。
違和感を感じながらも、一度教室へと向かう。

『フィー!』

校舎に入ると、龍が階段上から現れた。
どこで見ていたんだろうか?

『何?』
『そこのも、ちょっといいか?』

龍の言葉にディと顔を見合わせながらも、声音が固く表情もどこか焦っている感じに取れたので、大人しく龍に着いていくことにした。
連れてこられたのは今朝訪れた生徒会室。
応接ソファに座ると、数枚のプリントを手渡された。
メールを出力したもので、その文章に視線を落とす。
これ、今朝の脅迫文だと理解するのにそうかからなかった。
時間を見れば一時間起きに送られてきていて、ほとんど同じ文章だが最後の分が場所を示しているのだろう。
自ら場所を教えるなんて、罠?それとも自身を止めて欲しいのかしら?
どちらしてもうちに資料が残ってる事件に酷似しているのだから、うちで捜査権を握ってもいいのだけれど、そうなると面倒なのよね。色々と。

『龍、これ今朝から一定の時間で届いているのよね?なら、そろそろ次のメール届いているんじゃないの?』

私の言葉に、達央くんがパソコンを操作する。
すると、予想通りメールが届いて居た。
その画面を確認するために私は、達央くんの後ろに立つ。

“宵の明星が輝く頃、神罰は再び下される。
検討を祈る。輝く者達よ”

宵の明星・・・日没直後?
神罰を殺害とするのなら、今日手を下すという事だろう。
輝く者はそのまま、龍達のこととってもいい。
確実に、自身を止めてくれと言っているようなものじゃないか。
何故止めて欲しいと願う?
アメリカの事件の犯人と同一人物の線が強くなる。
あと、全ての事件に共通していることはなんだ?
被害者の年齢、履歴、期間、場所、現場の署名。
あとは何?
何が引っかかってるんだろう?
口元に手をあて画面を睨みながら、家で見た資料と達也にもらった資料とを頭の中で整理をする。

『フィー、宗教じゃないか?正確には信仰深い信者。』

ディの言葉に私は顔をあげる。

「達也君、職員名簿全部見れる?いつ位にどこから着任したとか?」
「え?それは簡単に調べれるけど」

驚いた表情をしながらも、違うフォルダーを開く。
検索条件を立ち上げた。
それを確認すると私は先程まとめていた条件を伝える。
ギルの学園番みたいに。
アナログとデジタルの差はあるけども。

「最初の事件が起きる半年前に、アメリカから着任した教師もしくは神父。年齢は40代~50代。あぁ、あの現場の状況からして女性じゃないわね。っで、何人居る?」
「二人だ。一人は神父のヒューバート・プラント。もうひとりは司書のヘンリー・ギャレット」
「二人か。そのヒューバートって、神父さんもしかしてこないだの事件現場に居た神父さん?」
「良くわかったな。そうだ。」

ヒューバート神父の経歴に目を通しながら、達也の返事に、彼の方が犯人だと確信をする。
だってあの神父さん以外誰も、“神罰”なんて口にしなかった。
ただ、"また・・"と言っただけで。
それにこの人の出身の高校あの事件と同じ時期に被害者達と同年代だ。

「そう・・・。龍、さつきさんに連絡をして。私達には逮捕権なんてものはないのよ。ここは地元警察の人じゃないと。」
「わかった。」

私の言葉に龍はスマホを取り出すとさつきさんに連絡をしてくれた。
そして、誰にもバレないように生徒会室に来て欲しい旨をちゃんと伝えてくれたみたいだ。

『フィー?授業どうする??』
『ん~?あぁ、そうだったね。科目的に今更だけど当初のお仕事をしましょうかね。』

カバンを取るとドアの方へ向かう。

「さつきさんが来ら説明よろしく。私達は授業出てくるわ。彼も動くなら放課後でしょうし。くれぐれも危険な真似はしないように。」

そう龍たちに釘を指すと、講義の教室へ向かう。
受ける教科は“犯罪心理学”大学部の人間と多く接触できる数少ない授業だ。
授業が行われる教室を開けば、数多くの生徒で教室内は埋め尽くされていた。
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