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第1章命ある武器

15話 最下層へ到達、そこで待つボス

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 食事と睡眠を終えた僕たちはまた出発することになった。
 鉱山の中とは暗闇だらけで、周りを把握できないだろう、
 しかしダイヤモンドの光がまるで蛍のように坑道を明るく照らしていた。

 もちろん僕たちは松明を掲げて歩き続ける。
 しばらくモンスターが出現しないことはとてもうれしいことだったりする。
 
 あの成れの果ての攻略方法もわかっている。

 そして僕たちは到達したのだ。
 最下層へと。
 
 そこには巨大な何かが地面に突き刺さっており、
 その手前には巨大なモンスターが立っていた。

 その広間はドーム状になっており、

 巨大なモンスターは身の丈10メートルはあるだろう。
 それだけのドーム状の広さのその場所では、
 そのモンスターはこちらをじいっと見ているだけだった。

 ゆっくりと僕たちが近づくと。
 モンスターが遠吠えを発した。

「まずいな、あれはメタリックオーガじゃ」
「あれも成れの果てですか?」
「違うあれは魔法モンスターで、遥か昔に魔導士たちが趣味でつくったとされるものじゃ、メタリック魔法を少し成長のよかったオーガにかける。そしてオーガの考え方まで魔法化してしまい、指令しやすくする。どうやらあいつは伝説の武器の守り手のようじゃな、レベル換算にして100はこえているだろう」

「そういうことよ、うちたちにとっての初めてのボスってことよ、テツノブ、しゃんとしないさいよ」

「も、もちろんだよ」

 僕はメタリックということもあり鋼のドリルことドリスを呼び出す。
 右手と左手に掘削機のようなものを装備した僕は、目の前に向かって走り出す。

「わしとお主で接近する。おぬしは背後から、わしは前方からなぜならわしのほうが丈夫だからじゃ」
「はい師匠」

 いくらパーティーリーダになったとはいえ、戦闘の達人たちには頭が上がらない僕は、
 ひたすら師匠の指示を納得して肯いていた。

 僕はドーム状のフィールドをぐるっと走ると、
 そこに到達していた。

 メタリックオーガの背後に到達し、
 メタリックオーガは師匠に向かって、その右手を突き出した。
 メタリックな拳が、師匠にヒットしたのだと思った。
 地面が土煙で舞い上がる中。

 師匠はメタリックオーガの拳に乗っていた。

「ほれほれほれほれ」

 師匠がメタリックオーガの拳から腕へ肩へと登り、
 ビッグアックスで思いっきりメタリックオーガの顔面にヒットさせ、
 まるで脳震盪でも引き起こしたかのように、メタリックオーガはぐらんぐらんと揺れている。

 僕は右手と左手のドリルで。

「ドリスさんフルパワーでお願いします」
「承知いたしました。お任せください」


 ドリスのつぶやきで、
 メタリックオーガの右足と左足のアキレス腱に向かってドリルを掘り上げる。
 さすがはメタリックなかなか掘るのに時間がかかる。

 ひたすら掘り続けて、
 ぶちりぶちりという嫌な音が響き、
 どうやらメタリックの腱が破壊されている音らしく、

 メタリックオーガは地面に膝をついて倒れた。

「それをまっていたのよおおおお」

 最後の止めとばかりにナナーナが弓矢を構えている。
 その矢の先には信じられないくらいのでかい爆弾が設置されており。

 それが発射されると、
 メタリックオーガの頭を粉砕する。
 巨大な爆発音が響き渡り。
 このドーム状の場所が崩壊するのではないかとびくびくするほどだった。

 そしてそこには全身が粉々になっているメタリックオーガいて、
 ぶすぶすと蒸発していった。

 そこにあったのは。

 メタリックインゴット×1

 というレアなインゴットを手に入れたのであった。

 師匠とナナーナがぜいぜいと息を荒げている中、
 僕の心は伝説の武器に向けられた。

 その伝説の武器は地面に突き刺さっている。
 なんだろうまるで誘惑されるような、
 これは成れの果ての誘惑とは違う、
 まるで僕のことをずっとまっていたよと言われているような。

 僕はその伝説の武器を引き抜いた。

 ドーム状の場所が光輝いていた。

 そして今頃メタリックオーガを討伐したことによりレベルが上昇した。

「レベル30になりました」

 あまりにも長いので一気に省略させてもらい、
 
 右手には鎌のような丸い円を描いた武器が握られていた。
 それは黄金のハルパーという名前だとすぐに理解した。

 僕は魂を付与することとする。

 するとまたもや光輝いた。

「これはこれは新たなる主人様、どうかこのハルパーをお使いください」

「よろしくなハルパー」

 黄金のハルパーならぬ名前もハルパーそのものだ。

≪【黄金のハルパー】を吸収しました。スキル【完全鑑定】を覚えました≫

 どうやら黄金のハルパーの力はロンギヌスの槍のように攻撃系統ではなくて、
 補助系統とされるらしい、それが完全鑑定だろう。

 その時だ。ようやく尾行している人影の正体がわかった。

 そいつはナナーナの首に剣を押し当てて、

 ただにやりとしていただけなのだから。

「うぉい、いじめられっ子のダメ人間の哲信、お前にしちゃすげーやれてたぜ、だけどこの俺にはかなわない、だからそこの伝説の武器を俺にくれねーか? そうしたらこのエルフ娘を助けてやるぜ」

「本当にお前らいじめっこは腐ってるよな、ならなんでお前ひとりでこの伝説の武器をとりにこない? 怖いからだろ」

「だ、だまれ、お前は俺達より格下なんだから利用してやったまでだ」

「くれてやるよ」

 俺は黄金のハルパーを投げる。

 それをまるで誘惑されているかのように影の正体である次々山が必至でとりに行く。

 ナナーナはそこから離れると、
 目の前から消滅する黄金のハルパーを見て悲鳴を上げる。

「すまないな、その武器はもう僕のだ」

「くそったれがああああ、お前なんぞ俺がぶっ殺してやる、伝説の武器がなくても俺はお前を殺せるんだぞ、お前は俺の下だ。下の下の下だ。いつもぼこぼこにされてればいいんだよ」

「あ、そうか、ここでお前を殺せばいろいろと楽だしメルーナ姫に近づけるな」

 僕はいじめっ子には容赦がなかった。

「お前に俺を倒せたらなぁ」

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