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第2話 クラウドワールドゾーン攻略したら宝手に入れた

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 現在俺の顔面にはなぜか仮面が張り付いている。
 どうせピエロのような顔をしているのだろう。

「この、仮面は、スキルっと、えーと【身代わり仮面】へーおお、ダメージを仮面が負ってくれるのか」

 その時だった。仮面の事ばかりを考えていたら、トロールの棍棒が俺の体を横から盛大に殴り飛ばした。

「かはっ」

 体が吹き飛ぶ事はなく、びくともしなかった。
 その変り脳内でピエロの仮面の星が出現した。
 星の数は全部で3個、現在後2個になった。

「なるほど、星が全部なくなると仮面が破壊されるのか」

 トロールが驚きの顔をしながら、第2撃をこちらに浴びせるべく、こん棒を振り上げる。

「スキルっと【道化組手】っと、これはなるほどな」

 地面を蹴り上げる。
 俺の身体能力では信じられないくらいの高さまでジャンプする事が出来た。
 真下をトロールの棍棒が通り過ぎる。

 俺はトロールの頭の所までジャンプすると、頭を掴み、膝でトロールの画面を蹴り上げる。

 トロールの鼻が折れる音がしたら、奴が叫び声を上げた。

 その叫び声で俺の体は後ろに吹き飛ばされていた。

 星が1個減って、仮面の残りケージは星1つとなった。

 距離を広げながら冷静に相手を分析していると。

 トロールがこちらに向かって咆哮をあげながら涎を振りまきながら棍棒をぶんなげた。

 ぐるぐると回転してくる超スピードの棍棒を避ける事が出来ず。顔面からヒットした。

 が、びくともしないで、仮面だけが破壊された。

 現在使用出来るスキルは道化組手だけ。

 まだ道化組手の体の動きに俺自身が追い付いていない。

 ざっと残り5分程で片づける必要がある。

 トロールは右手と左手を重ね合わせて、こちらに叩き落そうとする。
 
 俺はそれを転がる事で避けると、トロールの股の下を通る。
 背後に達したら。
 
 道化組手の拳でトロールの右足と左足の健を切断する。

 トロールは痛みがないのか、叫ぶ事はせず、ばたんと両足をくの時に折った。

「ここまでだ。これ以上は何も出来ない」

 残念な事に、巨大なトロールの体に止めを刺せる程、ピエロジョブには力が無かった。

 トロールは痛みがないものと思っていたが、しばらくするともがき苦しみだした。

 奴は身動きがとれず困り果てている。

 ようやくピエロジョブが解除されると。

 ランダムジョブを発動させていた。
 頭の中に無数の星が見えてくる。
 次の瞬間には。

【剣士ジョブになりました。15分後に解除されます】

 心のどこかで思っていた。
 勇者ジョブになりたいと。
 子供の頃からその願いはあった。 
 だけど無理だと分かっていた。
 せめて剣士ジョブになりたかった。
 無理なら戦士ジョブになりたかった。

 それでも剣士を3回当てて、戦士を3回当てれば、2つとも手に入れる事が出来る。
 もしかしたら勇者ジョブなんてのもあるかもしれない。

 だが今は。

「お前を倒すのみ」

 スキル【剣召喚】で剣を召喚すると。
 ぼろぼろの剣が出てくる。
 これは剣術をどこまで極めているかで、剣の質が決まるスキル。

 今の俺の剣術の腕前ではここまでという事だ。

「だが、それで、十分だ」

 剣をトロールの左の心臓に突き立てる。
 首を斬る方法もあったが、少し背丈的に無理だった。

 背中から心臓を貫くと、ゆっくりとトロールは目を閉じて消滅していった。

 ほっと俺は息を吐くと。
 目の前に宝箱が出現した。

【おめでとう、1つのクラウドワークスゾーンを攻略したんだ。後お前がいる街か、村でもいい、そこには無数のクラウドワークスゾーンがる。その全てを破壊すると、区域事に世界が変わるぞ】

「それは楽しみだ」

【その宝はお前の物だ。また会おう】

「こっちは会いたくないがな」

 宝箱をゆっくりと開けると、中から1本の剣が出現した。
 青い刀身をしており、柄は宝石で散りばめられている。
 中には袋まで入っていた。

 先に袋を取り出して開けると。
 小さな無数の星が輝いて頭の中に入ってくる。

【鑑定】
【アイテムボックス】
【ファストトラベル】
【セーブポイント】

 頭の中に出現したのは4つのスキルだった。
 どのスキルもそう簡単に習得出来る物ではない。

 鑑定は物や人の本質を理解する事が出来る。
 アイテムボックスは無限に異空間にアイテムなどを入れる事が出来る。
 ファストトラベルは印象的な建物などに瞬間移動出来る。
 セーブポイントの存在は理解不能だったが、鑑定スキルを使用するととんでもないスキルだった。
 セーブポイントは死んだらセーブした場所で生き返るという物、時間もセーブした時間に戻れるというチート級のチート。お、恐ろしい。

 青い刀身の剣を鑑定すると。

【リヴァイドスの剣:魔力を消費すると高速で斬る事が出来る】

 魔力、俺の世界にはそれが存在する。
 魔法使いとか回復師とかのジョブを極めてる人は補正ステータスで格段に上がっている。
 しかしランダムジョブな為ジョブによって決まるのが悲しい。

 リヴァイドスの剣を生かすも殺すもジョブ次第と言う事だ。
 ノーマルの俺の魔力はスズメの涙程悲しい。

 宝箱から宝を抜き取ると。
 世界が少しずつ暗くなっていき、次の瞬間には明るくなっていた。

 どうやらお月様が支配していた夜から太陽が支配している朝に切替わったようだ。

 大勢の人々が談笑しながら歩いている中で。
 俺だけ青いリヴァイドスの剣を握りしめながら大きな橋の上で呆然としていた。

「やべ」

 リヴァイドスの剣を右腰に差すと。
 歩き出した。

「とりあえず、今は冒険者ギルドでお金を増やしつつ強くなろう、それからクラウドワールドゾーンでのお宝儲け成り上がり計画だぜ」

 独り言のように呟きながら走り出す俺。

 冒険者ギルドの建物が見えてきた。
 とても大きな建物だが、どこか古めかしくて、頑丈そうだ。

 俺はゆっくりと冒険者ギルドの扉を開けた。

 
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