上 下
4 / 10

第4話 星食いを止めたいから星の旅団なんだ

しおりを挟む
 自宅にはもう帰る事が出来ない。
 父親と母親と弟と妹と会う事は出来ない。
 なぜなら自分は全国指名手配されているからだ。
 罪状は3名の男性を殺害。
 ネットを介して多種多様な国々を利用し星食いからの文明略奪阻止を掲げた為、それは国家的に敵対行動を意味する。
 よって。

【緊急ニュースです。三澤被告は20歳であり、どこにでもいる青年だそうです。ですが病院の治療歴から多重人格者に近い内在型解離性と診断されたとのこと、ど、動画が出てきました。星の旅団が3名を殺害した動画を、こ、これは、って流しちゃダメでしょ、え、流されてる? ハッキングされてる、テレビ中継止めて、止まらない、どいう事ですか】

 次の瞬間、3名の男達が三澤の事をバカにする発言が流れる。
 そして三澤の巧みな動きによって殺害されていく。

【こ、これが素人? プロじゃ、プロじゃないですか、今、担当医の黒田先生をお呼びしました。彼は何者なんですか】

 黒田医師は目にクマをつくりながら神妙に語り出す。

「彼は普通の少年だった。壊したのはあなた達ですよ」

「そ、それは」

「精神障がい者だからと言って多くの人々が彼等を差別します。そして彼は発達障害をもっています。多くの人は発達障害を理解していません、中には新しい新人類だという人もいます。私はこう言います。三澤君は三澤君なのです。それ以上でもそれ以下でもありません、三澤君、あなたが見つけた物、それを貫きなさい」


「ちょっと、黒田医師あおっちゃってますよ」

【番組はこの辺でって止まらないんですかって他局も同じ状況?】

「やぁ、皆さんこんにちは……」

 テレビに映し出されたのは三澤指名手配犯であった。
 彼は椅子に座り、右横には青い鬼の仮面を付けた人と、左横には赤い鬼の仮面を付けた人が立っていた。

「ちなみに俺はコミュニティー、君達が言う精神障がい者の病人だ。さて、その病人が君達にプレゼントをしようと思う」

「なんだって、やめるんだ。それを使ってはいけない」

「黒田医師、お久しぶりです。俺は言葉で人を自殺に追い込めるんですよ、それは多種多様に聞こえ何を言われたか理解出来ない、そしてそれはターゲットを絞る事が出来る。さてターゲットは子供に虐待をしたことがある人だ」

「や、やめるんだ。三澤君取り返しがつかないぞ」

「黒田医師、あなたも虐待してたんじゃないんですか、僕という実験体で、僕? 俺? モルモットだったんでしょ」

「や、やめてくれ、頼む死にたくないんだ」

「おおおっと訳の分からない言い合いが」

「今すぐテレビを見ている人は見るのを止めるんだ。死ぬぞ」

「死ぬ訳がないじゃないですかーホラー映画じゃないんですから」

 ニュースキャスターが笑っていた。

「さて、虐待者の諸君、俺は君達に愛を送ろう◇●▽卍さぁ君達はお疲れ様」

「あ、あががががが」

「黒田医師?」

 黒田医師はテレビ中継されている眼前で自らの首を絞めて死んでいるにも関わらず首を絞め続けた。次に起きたのはカメラマン、プロデューサー、はたまた社長、さらには視聴者たち、虐待を行った事がある人達が何かしらの自殺に追い込められた。

 その日だけで124908人の人間が死んだ。

「では皆さんごきげんよう」

 ぷつんとその映像は途切れ。

 ニュースキャスター達は黒田医師の死体を見て、次にカメラマンやプロデューサーの死体を見て、ようやく事の現状を理解し、悲鳴を上げた。

「ぎゃあああああ」

「た、たすけえええええ」

「け、警察だあああ」

「警察内でも自殺者多数と出てます」

「意味が分からない、これはなんなんだ。精神障がい者とかの類で片づけられないぞ」

「もはや新人類」

「いえ、王です」

 そこには背中に刀をかついだ赤鬼が立っていた。

「あなた達は王を愚弄しました。なので死んでもらいます」

「ふ、ふざけるな」

 次の瞬間、刀で首を両断され、ニュースキャスター達の阿鼻叫喚の悲鳴があがった。

 ★★★★★★
 
 田中総理、星の旅団が動きました。

「そうか、やはり三澤君だったか」

「目星はついていたのですか?」

「特殊な精神病の患者がいると黒田君に紹介されてね、本当に特殊だったよ」

「では討伐部隊を」

「そうしよう、他惑星文明の資源はとても重要だ。我が国の日本が発展するには必要不可欠、アメリカ、中国などに負けていられないのが現状だ」

「はい」

「不死身君色々と迷惑をかけるよ、オカルトの世界の君に力を借りるのだから」

「異能にはオカルト、定番ですよ総理」

 全身に包帯を巻きつけた男、不死身君。
 年齢は25歳、死ぬ事が出来ない呪いにかかっている。
 エジプトに見学に行った時にかかった呪いとされる。

「特殊部隊アルファを送ろうと思います」

「あそこの只中はミリタリーオタクだが信頼のおける奴だ。頼むとしようか」

「御意に」

 不死身君は白い包帯の色をしたスマートフォンを取り出して、どこかにと電話を掛けた。


 ★★★★★★

 北海道、札幌市、手稲区の手稲山の麓には謎の遺跡があった。
 それを見つける事が出来たのはただ1人三澤だけだった。
 メロム兄さんの力。
 19人の1人であるメロム兄さんはどこにでも幽体離脱のように飛ぶ事が出来るし、人の頭の中に入って何を考えているか見たり操ったりする事が出来る。

 その遺跡はとてつもなく広い、中にはパソコンだけでも50台以上がひしめいており、配線がものすごい事になっている。
 
 さらに奥には格納庫があり、要は人型兵器が1台眠っている。
 子供のロマンの巨大ロボットがいて、使用方法などはまったく理解できない。
 ただそこに忽然と佇んでいるだけ、

 格納庫は8個あり、1個だけそのロボットがいた。
 形はぼろぼろでどのような姿なのか創造がつかない。
 赤鬼と青鬼はそれを見て会釈する程信心深かった。

「8人の勇者の伝説があるんだ。これは独り言なんだが、8人の勇者は8人の機械と戦うらしいだけど本当は協力して本当の敵と戦うんだってさ、なんで俺が知っているかというと、この本に書いてあった。著者はいないし、この紙は地球産のものじゃない、この遺跡に眠っていた。さて、赤鬼、仲間集めといこうか」

「もちろんでございます」

「仲間以下なら大勢おりますが、仲間と言えるのはこの青鬼と赤鬼だけですね?」

「その通り、なかなか、俺を見つけ出してくれなかったからね」

「では、この3名なのはどうでしょうか」

「ほお、興味深いね、さっそくメロム兄さんを飛ばしてみるよ」

「御意でございます」

 鉄臭い部屋、それがこの遺跡だ。
 今では星の旅団の基地となっている。
 1機のロボットが眠り、空となった7個の格納庫。
 そこにはかつて7機のロボットが眠っていた。

 どこかの世界、惑星、異世界と呼ばれてるかもしれない、そこでは8名の勇者がいて、この地球、いや星食いには8機械がいて、二つは争い協力し何かと戦う。

「なんてロマンだと思わないか皆」

 それは19人に語り掛けていた。

しおりを挟む

処理中です...