5 / 10
第5話 再現魔法が見る城作り
しおりを挟む
「で、レメス、これはどういう状況だ」
「どういう状況て包帯でぐるぐる巻きにしてベッドに固定したんですよ、今から治療します」
「なぜそうなる」
ロイフルは怒りを露わにして罵詈雑言を吐き散らす。
場所はレメスの家だった。
ヒュンケルは相変わらず目玉焼きをパンで挟んでもしゃもしゃと食っている。
「再現魔法、カウンセリング」
カウンセリング。それは1冊の本に表記されていた特殊な治療方法。
相手の心の中に溜まった物を聞きだし、耳を傾ける事から始めるという治療方法。
「そうだな、俺は1人王子として生きていくことが辛かった。だから仲間達を集って傭兵団をやったんだ。まだ15歳だけど結構活躍してたんだ。だけど、皆死んじまった。俺だけが生き残っちまった」
「これから何がしたい」
「何もしたくない」
「ならおいらとこの星を救ってみねーか」
「星? お前はバカじゃねーのか」
「まぁ、大馬鹿者なのかもしれないな、どうする、相手は星を食べる星だぞ」
「おもしれーじゃねーかで、たったこれぽっちでやんのか」
「仲間を集める」
「ほー」
「これから城を作りに行くぞ、お前はここで療養だ」
「なんでだよ」
「全身骨折で回復魔法でも治らないって相当だぞ、おいらの魔力が少ないせいもあるが」
「はぁ、分かったよ」
レメスはヒュンケルのいる椅子を見た。
そこにはいつでも出発準備の出来ているドワーフ娘のヒュンケルがいた。
★★★ドーマス★★★
数えきれない人間がいた。
彼等は城を作っている。ハルニレム王からの命令だ。
ここに城を作る事で奴隷商人達の商談を防ぐ目論見があったからだ。
この通路は奴隷商人が多く通る。
という事は城を作り、警備を固める事で奴隷商人が通るのを減らすという役目があった。
正確には多くの人間達はさぼっていた。
働いているのはただ一人の少年だけ。
だが普通と違う事がある。
至る所の岩が人の形を形成しゴーレムとなる。
ゴーレムとなった彼等はその少年に従い、城作りをする。
ゴーレムの数はざっと300体は超えている。
「何が起きているか? 愚問ですね、おいらは全てを理解出来る再現魔法をもっているのですから、再現を再現します」
ここで起きたことを全て再現させる。
時間が巻き戻っていき、1人の少年が腹を空かしてここに到着した。
「おい、どうしたガキ、腹でも減ったか」
城作りの隊長らしき人がそう尋ねてきた。
だがその少年はぼろ雑巾のような衣服を着こなして、額の汗をぬぐった。
「そこを1人で建てれば腹いっぱい食わせてくれるか」
「もちろんだ。出来ればな」
「俺は天啓:ゴーレム使いなんだぜ」
隊長はきょとんとしていたが、その先は今の現状と同じで。
レメスとヒュンケルはみるみるうちに完成していく城を見ていた。
城の1つ1つの石材が組み立てられていく。
まるで緻密に計算されて出来上がっているようにしか見えない。
少年は指さしのように指示を出しているだけなのだ。少年の額には六角の文様が光っていた。
どうやら力を使っている。
ロイフルのように力を使いこなせていないわけではないようだ。
レメスは分析を続けていく。
昼になり、夜になり、深夜になり朝になる。
それを1週間くらい続けただろうか、少年は止まる事を知らない、休憩をする事すら知らないのだ。
出来上がった城、厳密にはゴーレムのような城。
それでも1人の少年が建設してしまった物だ。
エルレイム王国が象徴とするゴーレムは巨大な人の姿をしていた。
だからなのかそこにいたのは巨大なゴーレムの城だったのだ。
「ふぅ、終わったぜ隊長、飯食わせろ」
「おう、たらふく食え」
外の円卓のテーブルに運ばれてきたのは大量の肉と野菜と魚と果物だった。
「こりゃ、ご馳走だぁ」
それから少年の暴飲暴食が始まり、食べ終わる頃には。
「で、あんたらなにもん?」
「おいらはレメス。こっちは従者みたいなヒュンケルだ」
「俺はドーマス。奴隷になる前はドーマス・クリギントって名前だったらしい、狼人間の末裔であんたらお役人に滅ぼされたよ」
「それは失礼した」
「気にしてないからいいさ、銀神の鎧を探して旅をしている。あれは俺達が封印し続けなくてはいけないものだ」
「あの伝説の5つある鎧の1つだとか」
「そうだ。さて、何用かと聞いている」
「君は六角の文様の力を使ってると見たが?」
「ああ、これな、無感覚の物に感情や感覚を与える事が出来る。あのゴーレム達は人間のように考える事が出来るよ」
「なるほど、それは凄い」
「だから何の用かって」
「これからずっとたらふく食わせよう、仲間になって欲しい、8人の勇者の1人として、この星を救って欲しいんだ」
「星を救うだって? ああ星食い伝説か」
「そうだ」
「まぁたらふく食えるなら協力しよう」
「では一度エルレイム王国に戻るぞ」
「御意です、主様」
ヒュンケルがぴしっと敬礼すると、さっそく高速で移動をし始めた。
荒野だった地、奴隷商人の交渉の場だった土地。
大勢の人間や亜種族が不幸に貶められた土地。
1人の少年が城を作る事で、これから未然に防がれるだろう。
そのゴーレムの形をした城が大勢の人間の目を見ているのだから。
レメスだけが知っている。
あの城は生きているのだと。
「どういう状況て包帯でぐるぐる巻きにしてベッドに固定したんですよ、今から治療します」
「なぜそうなる」
ロイフルは怒りを露わにして罵詈雑言を吐き散らす。
場所はレメスの家だった。
ヒュンケルは相変わらず目玉焼きをパンで挟んでもしゃもしゃと食っている。
「再現魔法、カウンセリング」
カウンセリング。それは1冊の本に表記されていた特殊な治療方法。
相手の心の中に溜まった物を聞きだし、耳を傾ける事から始めるという治療方法。
「そうだな、俺は1人王子として生きていくことが辛かった。だから仲間達を集って傭兵団をやったんだ。まだ15歳だけど結構活躍してたんだ。だけど、皆死んじまった。俺だけが生き残っちまった」
「これから何がしたい」
「何もしたくない」
「ならおいらとこの星を救ってみねーか」
「星? お前はバカじゃねーのか」
「まぁ、大馬鹿者なのかもしれないな、どうする、相手は星を食べる星だぞ」
「おもしれーじゃねーかで、たったこれぽっちでやんのか」
「仲間を集める」
「ほー」
「これから城を作りに行くぞ、お前はここで療養だ」
「なんでだよ」
「全身骨折で回復魔法でも治らないって相当だぞ、おいらの魔力が少ないせいもあるが」
「はぁ、分かったよ」
レメスはヒュンケルのいる椅子を見た。
そこにはいつでも出発準備の出来ているドワーフ娘のヒュンケルがいた。
★★★ドーマス★★★
数えきれない人間がいた。
彼等は城を作っている。ハルニレム王からの命令だ。
ここに城を作る事で奴隷商人達の商談を防ぐ目論見があったからだ。
この通路は奴隷商人が多く通る。
という事は城を作り、警備を固める事で奴隷商人が通るのを減らすという役目があった。
正確には多くの人間達はさぼっていた。
働いているのはただ一人の少年だけ。
だが普通と違う事がある。
至る所の岩が人の形を形成しゴーレムとなる。
ゴーレムとなった彼等はその少年に従い、城作りをする。
ゴーレムの数はざっと300体は超えている。
「何が起きているか? 愚問ですね、おいらは全てを理解出来る再現魔法をもっているのですから、再現を再現します」
ここで起きたことを全て再現させる。
時間が巻き戻っていき、1人の少年が腹を空かしてここに到着した。
「おい、どうしたガキ、腹でも減ったか」
城作りの隊長らしき人がそう尋ねてきた。
だがその少年はぼろ雑巾のような衣服を着こなして、額の汗をぬぐった。
「そこを1人で建てれば腹いっぱい食わせてくれるか」
「もちろんだ。出来ればな」
「俺は天啓:ゴーレム使いなんだぜ」
隊長はきょとんとしていたが、その先は今の現状と同じで。
レメスとヒュンケルはみるみるうちに完成していく城を見ていた。
城の1つ1つの石材が組み立てられていく。
まるで緻密に計算されて出来上がっているようにしか見えない。
少年は指さしのように指示を出しているだけなのだ。少年の額には六角の文様が光っていた。
どうやら力を使っている。
ロイフルのように力を使いこなせていないわけではないようだ。
レメスは分析を続けていく。
昼になり、夜になり、深夜になり朝になる。
それを1週間くらい続けただろうか、少年は止まる事を知らない、休憩をする事すら知らないのだ。
出来上がった城、厳密にはゴーレムのような城。
それでも1人の少年が建設してしまった物だ。
エルレイム王国が象徴とするゴーレムは巨大な人の姿をしていた。
だからなのかそこにいたのは巨大なゴーレムの城だったのだ。
「ふぅ、終わったぜ隊長、飯食わせろ」
「おう、たらふく食え」
外の円卓のテーブルに運ばれてきたのは大量の肉と野菜と魚と果物だった。
「こりゃ、ご馳走だぁ」
それから少年の暴飲暴食が始まり、食べ終わる頃には。
「で、あんたらなにもん?」
「おいらはレメス。こっちは従者みたいなヒュンケルだ」
「俺はドーマス。奴隷になる前はドーマス・クリギントって名前だったらしい、狼人間の末裔であんたらお役人に滅ぼされたよ」
「それは失礼した」
「気にしてないからいいさ、銀神の鎧を探して旅をしている。あれは俺達が封印し続けなくてはいけないものだ」
「あの伝説の5つある鎧の1つだとか」
「そうだ。さて、何用かと聞いている」
「君は六角の文様の力を使ってると見たが?」
「ああ、これな、無感覚の物に感情や感覚を与える事が出来る。あのゴーレム達は人間のように考える事が出来るよ」
「なるほど、それは凄い」
「だから何の用かって」
「これからずっとたらふく食わせよう、仲間になって欲しい、8人の勇者の1人として、この星を救って欲しいんだ」
「星を救うだって? ああ星食い伝説か」
「そうだ」
「まぁたらふく食えるなら協力しよう」
「では一度エルレイム王国に戻るぞ」
「御意です、主様」
ヒュンケルがぴしっと敬礼すると、さっそく高速で移動をし始めた。
荒野だった地、奴隷商人の交渉の場だった土地。
大勢の人間や亜種族が不幸に貶められた土地。
1人の少年が城を作る事で、これから未然に防がれるだろう。
そのゴーレムの形をした城が大勢の人間の目を見ているのだから。
レメスだけが知っている。
あの城は生きているのだと。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる