世界緑化大戦

百舌鳥

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不穏

十三話

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次郎「ッ・・痛ててて」

?「あっ!あぁ~‼︎せっかく干してたのに‼︎‼︎」

シャァァァァァァァァ

シマトネ「大丈夫か?次郎!」

樫「大丈夫ですか?」

コォォォォォオ

フェイ「無事ですの?」

椿「次郎くん怪我ない⁈」

次郎「あぁ、なんとか怪我は無かったみたいだ。これは・・・」

?「干しといた布団の山ですよっ‼︎
あぁ~こんなになっちゃいましたぁ
また洗濯しないとぉ・・・」

どうやら干していた布団を何枚も巻き添えにしたおかげで助かったみたいだ
あとは、背負ってたリュックもクッションになったのだろう・・・
グシャグシャになっていそうで中身は見たくなかった


ラカン「あぁぁあん⁇・・
なんでテメェらこんな所にいるんだよ?」

フェイ「あら、ラカン。貴方こそこんな所でその格好・・・何してますの?」

ラカン「テメェらには関係ねぇだろ?」

?「それより、急にこんな飛び出し方してきて、貴方達は?」

フェイ「今日から旅館の予約をしてある、フェイですわ!」

?「あっ!そうでしたか!僕はここで
仲居をしております、マキ!と申します。」

マキ「ラカンくん知り合いですか?
お客様なんですからそんな言葉遣いをしてはいけません!
しかし、お客様も危険なマネはおやめ下さい。」

樫「面目ありません。」

シマトネ「ぐうの音もでないっす。」

フェイ「失礼しましたわ。ちなみにラカンとは同じ学校なのですが、こんな所で何をしているんですの?」

マキ「ラカンくんはここへ修行?をしに来たはいいものの、お金も寝所もないのでココでバイトをして宿代だけ稼いでいるんです。」

ラカン「ちょっ‼︎テメェ‼︎勝手な事ペラペラ喋るんじゃねぇ‼︎」

マキ「上司に対してなんて口の聞き方ですか!オーナーに言ってクビにしてもらいますよ!」

ラカン「クソっ!悪かった・・・です。」

フェイ「あら、しおらしいですわね。」

シマトネ「あれ前にカツアゲしてた奴だろ?」

椿「なんか凄い不良っぽい感じだね!」

次郎「・・・・」

ラカン「あぁん?布団の山に突っ込んで来たのは次郎だったのかよ。」

椿「次郎くん知り合いなの?」

いや知り合い?なのか・・・
基本一方的に喧嘩を売られただけなんだが・・・

ラカン「お前は中々やる奴だからな」

次郎「いやそんな事は・・・」

フェイ「?貴方まさか次郎からカツアゲしようとしたんじゃ・・・
だとしたらまたボコボコにしますわよ。」

ラカン「ちげぇよ。だが、そいつはそこそこ強ぇ奴だから覚えていただけだ。」

椿「次郎くん強かったの?」

次郎「いやフェイ程じゃないが」

樫「まぁ次郎くんは運動能力や格闘実践においても優秀な成績ですからね。」

フェイ「あら!そうでしたの?なら今度お手合わせ願おうかしら」

こちらをニヤッとしながら値踏みしているフェイの顔は手頃な実践相手を見つけて歓喜しているらしいが
俺には悪魔の様な顔に見えた・・・

マキ「っとそれよりこんな所では何ですから皆さま中に入って手続きを済ませてお部屋に荷物を置いて休まれて下さい。」

樫「そうですね。次郎くんリュックは大丈夫ですか?」

次郎「ん。中はまだ見たくねーな・・
あっ‼︎草フォンにヒビ入っちゃった!」

椿「あ~あ!・・でもそんなもんだよ!見て!私のなんてバッキバキだよ!」

ケラケラケラケラ

次郎「そういうもんなのか?」

樫「一応貸与してる物なんですから壊さないで下さいね。」

次郎「悪かったよ。」

マキ「ほら、ラカンくんは仕事の続きをして下さい!」

ラカン「わかっ‼︎・・・りました。」

シマトネ「なんかもうちょっとヤンチャなのかと思ってたけど、意外だなぁ。」

ラカン「ちっ!るっせぇ!」

マキ「コラっ‼︎」

ラカン「ッ‼︎・・・・・」

フェイ「では皆さん行きましょうか!」

椿「は~い!」

樫「なんだか、改めて見ると旅館と聞いていたので和風かと思っていましたが、建物の見た目はかなり洋風ですね。」

次郎「確かにそうだな。というかほぼ
洋館に近い。」

シマトネ「だなぁ。」

椿「あっ!旅館の裏手に浜辺があるよ!」

次郎「おおっ!ヘリから海は見えてたけど、近くで見ると本当すごいなぁ!
・・・これはなんだろう。」

浜辺の脇には奇妙な人工物が色々と落ちている様だった

フェイ「それは恐らく昔捨てられたゴミが漂着しているんだと思いますわ。」

椿「ゴミ?」

フェイ「えぇ。人間が多く生きていた時代ではゴミを海に捨てる人達が一定数
いたらしいですわ。人工物だから自然に還る事もなく、長い時間が経ってもこうして残ってしまっているんですわ。」

樫「フェイさんがおっしゃる通り
これは人工物のゴミですね。
我々人型植物の時代になってから、
随分地球は綺麗になったと言われていますが痕跡は至る所にあります。」

椿「そっかぁ。これはゴミなんだね・・」

次郎「なんか俺が言うのもなんだけど、人間って結局どこに向かいたかったんだろうな。」

シマトネ「人間時代も後期に入ると、
資源は有限である事に気づいたり
環境破壊をしない様に気を遣ってたらしいけど、その頃には人間は増え過ぎていてそれに伴うゴミの排出、資源不足は
一部の人間がどうこうした所で焼石に水だったらしいな。」

椿「人型植物もこのまま文明が進んでいったら同じ道を辿るのかな?・・・
人間だってより良い暮らしを追求したかっただけなんじゃないの?」

樫「限度の問題でしょうね・・・
末期には便利、という概念を通り越してただ自堕落なだけだったと聞きます。
道具が発達し人間は勤勉さを忘れたとされています。」

次郎「難しいところだな・・・
昔の人を知らないから他人事みたいになっちゃうけど、誰だってより楽に便利に暮らしをしたいとは思うしな。」

樫「まぁ後期は電気等のエネルギーを使った車の登場や、ゴミを別の物にリサイクルしたり等色々工夫はしていたみたいですし・・・
それに我々の文明の発達にそれらは多大な影響を及ぼしているので過去の人間を一概に悪いと断定する事は
現在のあらゆる道具を享受している我々が、一方的に彼らを悪いと言う事も出来ませんしね。」

フェイ「そろそろ堅苦しい話はやめにして旅館で手続きを致しましょう!」

シマトネ「だな!」

椿「そうだね!頭痛くなってきちゃった!」

いた場所を離れ旅館の方へ歩きながら
もう一度浜辺を振り返ってみると
やはり少量のゴミでも綺麗な景観を
ぶち壊すには充分であったし、

同時にこうした環境破壊を行なってきた種族の末裔なのだとこの景色が
訴えている様でバツが悪くなった


キィィ・・・カチャ


ー・ロビー・ー


マキ「どこ行ったのかと思ってましたよ!改めてようこそいらっしゃいました当旅館の仲居をしていますマキと申します。
こちらに記帳されましたら各部屋毎
キーをお渡しします。
キーは各自携帯されて頂き、無くさない様お願いします。
無くされてしまったり、破損されてしまいますと鍵の交換費がかかりますのでご注意下さい。」

樫「わかりました。部屋は各木、
一部屋ずつあるのでしょうか?」

マキ「いえ、この休みは他にも数人泊まりのお客様がおいでな為大人1部屋、
男性1部屋、女性1部屋の合計3部屋となっております。」

ガタッ

恰幅の良い老木「おやおや、なんだか賑やかですね。」

樫「お休みのところ騒がしくしてしまってすみません。」

恰幅の良い老木「そんな事ありませんよ!若い木が元気なのは大変良い事です。
彼等を見ていると老い先短いですが、
こちらも元気をもらえます。
おっと、名乗るのが遅れました。
私はクスと申します。」

そう言って名乗った老木は杖をつきながらのっそりと重そうな腰をあげ、
こちらを向いた

樫「そう言ってもらえると助かります。私は樫と申します。
大人ですので一応彼等の保護者?になります。」

シマトネ「俺はシマトネです!」

椿「椿です!」フェイ「フェイですわ」

次郎「通名ですけど次郎です。」

クス「おや・・・これは珍しい。
人間ですかな?これまで長く生きてきましたが人間を見るのは初めてです。
みなさんはここへ旅行で来られたのですか?」

これだけ長く生きていそうな老木で
あっても人間を見たことがないということは、それだけ人間の生存数が少なく
限られた地域、施設でしか見られないことを意味している


フェイ「えぇ!そうですわ。お爺さんはここへは観光ですの?」

クス「えぇ・・・そんな所です。
つい先日連れ合いを亡くしまして・・
海を見たくなったのです。」

椿「お爺さん気を落とさないで。」

クス「えぇ、大丈夫ですよ。貴方達を見ていたら少し元気をもらえました。」

そう言うと老木はそのまま杖をつきながらロビーをゆっくりと立ち去った

シマトネ「けっこういい歳してそうだけど、頭の方はかなりしっかりしているな!」

次郎「それは失礼なんじゃ・・・」

樫「でも確かに歳の割にかなりしっかりしてましたね。しっかりしているからこそ連れ合いを亡くしてしまったことが
ハッキリとわかってツラいでしょうね。」

マキ「お部屋は2階と3階に分かれています。
お風呂は露天で離れにありますのでご利用下さい。」

フェイ「わかりましたわ!荷物を置いたら、ロビーに集合して浜辺に行きましょう!」

次郎「オッケー」

椿「しばらく泊まるけど、ここって洗濯機あるの?」

マキ「1階にありますのでそちらをご利用下さい。」

シマトネ「次郎一緒の部屋だろ?行こーぜ!」

樫「ちなみにここって部屋での喫煙は?」

マキ「大丈夫ですよ!灰皿がお部屋にありますのでご利用下さい。
日中ルームクリーニングに入りますので布団等もそのままでけっこうです。」

カッカッカッカッカ

ロビー横の階段をあがり2階の踊り場へ出た

椿「階段疲れるぅ」

フェイ「椿さんスタミナをつけた方がよろしいですわ。」

シマトネ「じゃあ30分後くらいにロビーでいいよな?」

フェイ「それでいいですわ!椿さん行きましょう!」

樫「私はしばらく部屋でゆっくりしていますので、みなさんで遊んできてください。
準備運動をしっかりして、あまり沖の方に行かない様に。
足がつく所でも溺れる事は充分にありますので危険なことは絶対しないで下さいよ。」

次郎「わかってるよ。本当心配性だなぁ。」

樫「皆さんが心配なのは当然ですが、
次郎くんに何かあったら場合によっては私の首が飛びかねませんので。」

シマトネ「ビ、ビジネスライクっすね」

樫「じゃあまた夕方にでも。」

カチャカチャ・・・ガチャー

ー・室内・ー

シマトネ「おっおぉ・・・こりゃなんとも」

次郎「旅館言う割に見た目洋館だと思っていたが・・・中は畳なのかよ。」

シマトネ「中は純和風だなぁ。
まぁいいや、荷物おこうぜ。」

チグハグな内外装に驚きながら
俺たちは下を水着に着替え、上着を羽織って荷解きをした・・・・


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