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ラウリア王国編
シャツ
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明日は褒賞金を受け取る日であり、この国を去る日でもある。
引越しの準備と片付けは完璧に終わらせた。夕飯も外食で済ませ、後は寝るだけとなった。
明日に備えて早く寝てしまおう。そう思って着替えようとしたら気づいてしまった。僕の寝る用の服がない。間違えて兄さんの服を余分に洗ったみたいだ。
予備の服はあるがこれからしばらく海の上だ。潮風で身体がベタつくことを考えると、予備を含め1枚も無駄にしたくない。
兄さんには悪いがシャツを借りよう。寝る用の服ではないが、兄さんのシャツは大きいから代わりになるだろう。
さっそく着てみたが見事にブカブカだ。身長差は仕方ないとして、体格差がここまであると同じ男して悔しい気持ちになる。
切実に筋肉が欲しい。僕も鍛えているから、そこそこ筋力があるはずなのになぁ。今度魔法でプロテインを作ってみようか。
くだらないことを考えながら寝室に入ると、すでに兄さんがベッドで寛いでいた。
「兄さんごめん。寝る服がなかったから兄さんのシャツ借りたよ」
「は?」
「ごめんね、今日だけだから。見て見て袖のとこブカブカ。兄さんの大きいね」
「……」
「あれ?どうしたの黙って」
「……下は?」
「暑いし、寝るだけだからいいかなって」
「履いてくれ」
「えー?そんなに見苦しいかな。あ、下着だったら履いてるよほら」
シャツの裾をめくってアピールすると、兄さんが片手で顔を覆った。
「頼むから、下を、履いてくれ」
「わかった」
手が邪魔で表情は見えないが、鬼気迫る声だったので反射的に返事をした。暑いから下穿きを履きたくないが、従わないと寝室から追い出されるかもしれない。
急いで下穿きを履いて寝室に戻ると、兄さんが頭まですっぽりとシーツを被って横になっていた。
「それ暑くない?」
「平気だ。むしろこれがないと辛い」
「もしかして風邪?大丈夫?」
「いたって健康だ」
「ならいいけど。明日早いからもう寝るね。おやすみ」
「おやすみ」
いつも抱き合って寝ているから少しだけ淋しい。そう思っていると、シャツからほのかに兄さんの匂いがした。全身を兄さんに包まれているような安らぎを感じる。一度意識したら、じわじわと胸に温かなものが広がって自然と瞼が落ちていた。
翌朝、目覚めると兄さんが隣にいた。兄さんはいつも朝早く起きてリビングにいるから、風邪を引いてしまったのかと心配になる。まずは熱を測ろうと兄さんの様子を確認すると、既に起きていたようだ。よく見ると兄さんの目の下にくっきりとクマが出来ている。
「熱はある?寝た?」
「熱はないし寝てない」
「ギリギリまで寝る?起こすよ」
「頼む」
兄さんはそれだけ言うとすぐに寝息をたてた。
まさか一睡もしてないとか?今日は船に乗るのに大丈夫だろうか。船酔いしなければいいけど……。
眠そうな兄さんを連れて冒険者ギルドに行くと、既に用意されていたようで早々に褒賞金を渡された。確認すると周りから怪しまれない上限ギリギリの絶妙な金額だった。心の中で改めて王子に感謝する。
褒賞金の受け取りという大事な用事が終わったので、お世話になった人達に別れの挨拶を済ませギルドを後にした。
ラウリドの冒険者ギルドから港までそこそこ距離がある。僕達は身体強化を使って全力で移動し、なんとか船の時間に間に合った。
寝不足のはずなのに兄さんは特に疲れた様子を見せず僕についてきた。この調子なら船に乗っても平気そうだ。
ラウリア王国からミヅホまで船で10日の距離だ。潮の流れなどで日程に変動はあるが、その間暇なことに変わりはない。
「兄さんは魔法の鍛練?」
「そうだな」
「なんでそこまで魔法を頑張るの?」
「使えるようになったら話す」
兄さんはラウリア王国滞在中も魔法の鍛練を続けていた。身体強化と武器を硬化させる魔法を同時に使うのはかなり難易度が高い。
それでも兄さんは必死に努力して、あと一歩というところまできている。
既にかなり強い兄さんがなぜ魔法に拘るのか、その理由を知りたいが、あの様子では聞き出せないだろう。
身体強化と武器の硬化を同時に使えるようになったら教えてくれるらしいので、僕は兄さんのサポートに専念することにした。
ミヅホまでの船旅は忙しくなりそうだ。さっそく鍛練に取り組もうと、甲板へ足を進める。甲板に出ると、真上にある太陽が容赦なく照りつけてきた。その暑さと同調するように、僕は気合を入れて伸びをした。
引越しの準備と片付けは完璧に終わらせた。夕飯も外食で済ませ、後は寝るだけとなった。
明日に備えて早く寝てしまおう。そう思って着替えようとしたら気づいてしまった。僕の寝る用の服がない。間違えて兄さんの服を余分に洗ったみたいだ。
予備の服はあるがこれからしばらく海の上だ。潮風で身体がベタつくことを考えると、予備を含め1枚も無駄にしたくない。
兄さんには悪いがシャツを借りよう。寝る用の服ではないが、兄さんのシャツは大きいから代わりになるだろう。
さっそく着てみたが見事にブカブカだ。身長差は仕方ないとして、体格差がここまであると同じ男して悔しい気持ちになる。
切実に筋肉が欲しい。僕も鍛えているから、そこそこ筋力があるはずなのになぁ。今度魔法でプロテインを作ってみようか。
くだらないことを考えながら寝室に入ると、すでに兄さんがベッドで寛いでいた。
「兄さんごめん。寝る服がなかったから兄さんのシャツ借りたよ」
「は?」
「ごめんね、今日だけだから。見て見て袖のとこブカブカ。兄さんの大きいね」
「……」
「あれ?どうしたの黙って」
「……下は?」
「暑いし、寝るだけだからいいかなって」
「履いてくれ」
「えー?そんなに見苦しいかな。あ、下着だったら履いてるよほら」
シャツの裾をめくってアピールすると、兄さんが片手で顔を覆った。
「頼むから、下を、履いてくれ」
「わかった」
手が邪魔で表情は見えないが、鬼気迫る声だったので反射的に返事をした。暑いから下穿きを履きたくないが、従わないと寝室から追い出されるかもしれない。
急いで下穿きを履いて寝室に戻ると、兄さんが頭まですっぽりとシーツを被って横になっていた。
「それ暑くない?」
「平気だ。むしろこれがないと辛い」
「もしかして風邪?大丈夫?」
「いたって健康だ」
「ならいいけど。明日早いからもう寝るね。おやすみ」
「おやすみ」
いつも抱き合って寝ているから少しだけ淋しい。そう思っていると、シャツからほのかに兄さんの匂いがした。全身を兄さんに包まれているような安らぎを感じる。一度意識したら、じわじわと胸に温かなものが広がって自然と瞼が落ちていた。
翌朝、目覚めると兄さんが隣にいた。兄さんはいつも朝早く起きてリビングにいるから、風邪を引いてしまったのかと心配になる。まずは熱を測ろうと兄さんの様子を確認すると、既に起きていたようだ。よく見ると兄さんの目の下にくっきりとクマが出来ている。
「熱はある?寝た?」
「熱はないし寝てない」
「ギリギリまで寝る?起こすよ」
「頼む」
兄さんはそれだけ言うとすぐに寝息をたてた。
まさか一睡もしてないとか?今日は船に乗るのに大丈夫だろうか。船酔いしなければいいけど……。
眠そうな兄さんを連れて冒険者ギルドに行くと、既に用意されていたようで早々に褒賞金を渡された。確認すると周りから怪しまれない上限ギリギリの絶妙な金額だった。心の中で改めて王子に感謝する。
褒賞金の受け取りという大事な用事が終わったので、お世話になった人達に別れの挨拶を済ませギルドを後にした。
ラウリドの冒険者ギルドから港までそこそこ距離がある。僕達は身体強化を使って全力で移動し、なんとか船の時間に間に合った。
寝不足のはずなのに兄さんは特に疲れた様子を見せず僕についてきた。この調子なら船に乗っても平気そうだ。
ラウリア王国からミヅホまで船で10日の距離だ。潮の流れなどで日程に変動はあるが、その間暇なことに変わりはない。
「兄さんは魔法の鍛練?」
「そうだな」
「なんでそこまで魔法を頑張るの?」
「使えるようになったら話す」
兄さんはラウリア王国滞在中も魔法の鍛練を続けていた。身体強化と武器を硬化させる魔法を同時に使うのはかなり難易度が高い。
それでも兄さんは必死に努力して、あと一歩というところまできている。
既にかなり強い兄さんがなぜ魔法に拘るのか、その理由を知りたいが、あの様子では聞き出せないだろう。
身体強化と武器の硬化を同時に使えるようになったら教えてくれるらしいので、僕は兄さんのサポートに専念することにした。
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