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番外編
ヒポディアの街③
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※残酷な描写あり
忙しなく動き回る人々の声があちこちで響いている。広い空間にいるせいか、話の内容は聞き取れない。
数時間後に迫る催しに向けて、準備に追われているようだ。その中身は魔物と人間を戦わせるという、血生臭いものだけど。
「地下にこんな施設があるなんて、驚いただろう?」
「そうですね」
自信に満ちた声が真っ直ぐ耳に入る。トラヴィスの得意げな顔にイラッとして、つい素っ気ない返事をしてしまった。
目的を果たすため、彼の気分を害するわけにはいかない。ちょっと近いので離れてくださいとか言いたいけど我慢だ。
「換気の仕組みが気になる」
「面白いね」
「失礼しました」
我慢しすぎて別の本音が出てしまった。慌てて謝ったけど、トラヴィスは楽しそうに笑っている。
「いや、むしろ興味が湧いたよ。この施設に来て、すごい、広い、大きい以外の感想が出たのはルカくんが初めてだ。設備に言及するなんて、いい着眼点じゃないか」
「そうですか。光栄です」
どうでもいい人物から関心を持たれても全く嬉しくない。
兄さんは今ごろ選手控え室にいるのかな。こんなに長い時間別行動するのは久しぶりだから寂しい。再会したらまずハグをしてもらおう。
「おいで。面白いものを見せてあげる」
「はい。楽しみです」
差し出された手をスルーして、笑顔を返しておく。トラヴィスは気にしないそぶりを見せ、僕の横にぴったりとくっついて歩いた。
ギリギリ身体に触れない絶妙な距離感が憎らしい。歩きにくくて仕方ない。
トラヴィスと共にいる理由は、彼が違法賭博の主催である証拠を探すためだ。
この地下施設には何かある。最初は兄さんの憶測でしかなかった闘技場に証拠を隠している説も、あながち間違っていないのかもしれないと思うようになった。
出資者を募って完成させたという地下施設は、最新の技術が駆使されていた。どれだけのお金が動いているか、見当もつかない。
街から外れた場所とはいえ、そこそこ人の目もありそうなのによく建設できたなと感心する。
「さらに下に空間があるなんて驚きです」
「ここは選手や魔物の待機場所なんだ。お兄さんに会っていくかい?」
すごく魅力的な提案だが、今兄さんに会ったら全力で甘えてしまいそうだ。
「いえ。催しが終わったら会えるので結構です」
「アイザックくんの強さを信用しているんだね」
「もちろん。兄は負けません」
「ああ、素晴らしい兄弟愛だ。君はどこまでも私を楽しませてくれる」
トラヴィスがうっとりとした目で僕を見つめる。その目の奥に獰猛な光が宿っている気がして、僕は目を伏せた。
等間隔に続く扉のせいで、自分が今どこにいるのかわからなくなる。このような設計にしているのは、何かしらの意図があるはずだ。
トラヴィスに促されて入室すると、そこには数匹の魔物が檻に入れられていた。
触り心地のよさそうなブラウンの長毛。つぶらな瞳。体の大きさに不釣り合いな太く長い尻尾。
「テイルラビットですか」
「そうそう。可愛いだろう?若い子はこいつを見ると目を輝かせて喜ぶから、君にも見せてあげたくて」
「見た目はそうですね。戦うとなると全く可愛くありませんが」
「やけに詳しいな。ああ、そうか。ルカくんは銀級冒険者だったね。君と話しているとつい忘れてしまうよ」
テイルラビットは北国を中心に生息しているウサギ型の魔物だ。名前の通り、太くて長い特徴的な尻尾で獲物を締め上げる。力はそこそこ強く、首を狙われると厄介だ。
国によっては頻繁に討伐依頼が張り出されているので、冒険者にとって馴染み深い魔物だろう。正直に言うと全く可愛いと思えない。
トラヴィスの発言がなんとなく気になったので尋ねてみる。
「冒険者に見えないってよく言われるんです。そんなに弱々しく見えますか?」
「いや、弱々しいというより。そうだな、君は綺麗すぎる」
「意味が、よくわかりません」
「容姿、立ち振る舞い、言葉遣い。粗野なところを何一つとして感じさせない。むしろ洗練されている。実に好ましい」
トラヴィスの話し方にどろどろとした欲を感じてしまい、慌てて距離を取る。
「つれないねえ。まあ、楽しみは後からとっておくか」
残念そうな顔をしながら、その目はギラギラとしていた。その視線に晒されたくなくて逃げるように出口へ向かうと、背後で小さく笑う声が聞こえた。
その後、何事もなかったかのようにトラヴィスは話しかけてきた。彼の目を見ると、先ほどの視線を思い出してうまく笑えない。
ぎこちない空気が流れる中、観覧席を目指し歩いていると、突然スタッフらしき男が壁に手を当てた。
微量な魔力を感じた瞬間、ギリギリ人一人通れるくらいの幅の通路がでてきた。
「おい!始まるまで使用禁止だと言っただろ!」
「申し訳ございません!例の商品が暴れていると報告があったもので」
「なんだと?私も同行する」
激しく男を怒鳴りつけたトラヴィスが、例の商品という単語を聞いた途端、表情を硬くした。
「すまない。どうしても外せない仕事が入ってしまってね。先に観覧席に行っててもらえるかな?すぐに合流するから、心配しないで」
「わかりました」
「場所はわかるかい?」
「はい。ここまで来たら一人でも大丈夫です」
「従業員にこれを見せたら案内してくれるから。じゃあ、またね」
トラヴィスはカードのようなものを僕に渡すと、急いで通路に入った。程なくしてなんの変哲もない壁に戻る。
これは、確実になにかある。降って湧いた幸運に思わず感謝する。
なるほどね。魔力は感じていたけど、微力すぎて探知に反応しなかった。でもこれでだいぶ掴めた。
隠し部屋なんて、いかにも悪いやつらが考えそうなものだ。
手近な壁に手を当てて、ゆっくりと魔力を巡らせる。レントゲンの魔法と探知を組み合わせた僕オリジナルの魔法だ。
出入り口は三つ。トラヴィスたちが入っていった通路がメインで使われているようだ。魔力の痕跡が濃い。
おそらく、あらかじめ登録した魔力に反応して扉が開く仕組みだろう。そこに関しては問題ない。壁をぶち抜けばいい話だ。
地下二階の全ての空間に魔力を巡らせて侵入経路を割り出す。ある部屋から兄さんの温かい魔力を感じて頬が緩んだ。
例のカードを見せて案内された観覧席は、広い個室だった。壁に飾られた絵画や花が霞むくらい、部屋の中央に設置されたソファは異彩な存在感を放っていた。
大きすぎる。これはソファというよりベッドだ。目的があからさますぎるだろ。横に座る予定の人物を思い、気分が萎えた。
はっきり言ってトラヴィスが気持ち悪い。帰りたい。兄さんとご飯食べて抱き合ってイチャイチャして寝たい。
地下施設の最上段にある観覧席から、眼下の闘技場を見下ろす。
闘技場の周囲に、観覧席が円形に広がっている。一般席が闘技場に一番近いことを考えると、この観覧席は特等の部類だ。
普通は逆だと思うが、それだけこの催しが危険ということだろう。
扉が開く音がしたので目を向けると、トラヴィスがソファにどっかりと腰を落とした。
「待たせたね。間に合ってよかったよ」
「お疲れ様です」
「ありがとう。君も座りなさい。軽食を用意させているから」
「お気遣いなく」
トラヴィスの視線の先には軽食を乗せたカートがある。豪華な見た目のお菓子を見て、屋敷での食事を思い出し、一気に食欲が失せた。
「ずいぶん端に座るね。もう少しこちらに」
「お構いなく。ここが落ち着くんです」
「強情だな」
トラヴィスは苦笑しながらも、決して距離を詰めようとしない。むしろこの距離感を楽しんでいるようにも見える。
「乾杯もだめ?昨夜話に上がったワインだよ」
「お心遣いを頂いておきながら申し訳ありませんが、兄のことで胸がいっぱいで」
「妬けるなぁ」
トラヴィスが笑いながら、グラスに口をつけた。闘技場ではすでに魔物と人間の試合が始まっていて、観客の歓声が聞こえてくる。
「お兄さんの強さを信用してるのに、心配するんだ?」
「当然です」
「いい弟だ。アイザックくんが羨ましいよ」
意味ありげな目でこちらを見るのはやめてほしい。さっきから鳥肌が収まらない。
歓声が一際大きくなった。闘技場を見下ろすと、片腕の冒険者が魔物になす術なく蹂躙されていた。あまりの痛ましさに表情が歪む。
「優しいね?彼は最近、戦績が落ちてたから仕方ないさ。処理の手間が省けて助かった」
「人の命をなんだと思って」
「また仕入れないといけないな」
床に落ちたチリ屑の行方を追うような、何の感情もない眼差しだった。得体の知れない寒気が背筋を走る。
「ああ、その顔。いいね、もっと見せてよ」
「寄らないで。やめて」
「怖がらせちゃった?」
トラヴィスが笑いかけながら少しだけ距離を縮めてきた。離れたいのに、ソファの肘掛けが邪魔でもどかしい。
会場はまだまだ盛り上がっていて、次の試合が始まろうとしていた。
「アメリアとは長い付き合いでね。初めて出会ったのは彼女が二十歳の時だ。今よりもずっと綺麗な顔をしてたよ」
「そうですか」
なぜこのタイミングで伯母の話をするのか。皆目見当もつかない。
「当時の彼女は、遺産目的で資産家の後妻になったばかりでね。典型的な高慢ちきな女だった」
「はあ」
全然興味がわかない。でしょうね、という感想しか出てこない。
「その後いろいろあって、彼女が三十五の時私の愛人にした。しかし、そろそろ飽きてきてね」
「そうですか」
「近々アメリアを追い出す予定だった。でも、なかなか代わりが見つからないで困っていたんだ。彼女、見た目だけは私の好みだから」
「……」
話が読めてきた。読めてきたけど、これ以上聞きたくない。気分が悪い。
「初めて君を見た時は本当に驚いた!アメリアを青年にしたら、きっとこんな感じになるんじゃないかと思った。それに加えて君はアメリアと同じ顔なのに、立ち振る舞いが上品で、まさに私の理想なんだ」
トラヴィスはうっとりとした目で、舐めるように僕の顔を見つめる。
事情を知らないとはいえ、ことごとく僕が不快になる言葉を並べるとは。ついつい感心してしまった。口説き文句として考えると最低の部類だ。
歓声が大きくなる。片手剣を持つ戦士が、お腹を押さえながら魔物にとどめを刺していた。彼の指の間から覗くものはおそらく——
「臓物は掃除に時間がかかるから厄介だ」
「早く治療を」
「あれはもうだめだろう。おー、倒れた。見世物としては満点だな」
トラヴィスは楽しそうに倒れた戦士を眺めている。観客も大盛り上がりだ。
動かなくなった戦士が運ばれていく。死者への敬意を一切感じない、まさに清掃作業の一部のような扱いだ。彼が丁重に弔われることはないだろう。そう思うと、胸が詰まって息苦しくなった。
反吐が出る。これのどこが面白いのか全く理解できない。
その後も趣味の悪い殺し合いが行われた。戦士が勝利した時より、魔物が勝利した時の方が歓声が大きいことに気づいて、不愉快極まりなかった。
「お兄さんの出番まであと少しだね」
「はい」
やっとか。兄さんはこの日のメインとなる試合に出場する。そのため最後まで忌まわしい催しを見学しなくてはならない。
早く隣にいるいやらしい目つきの男から解放されたい。
「トラヴィス様!」
深刻そうな顔をした男が突然観覧席に飛び込んできた。
おそらく興行に携わるスタッフだろう。彼はトラヴィスに何か報告しているようだ。声が小さくて内容は聞き取れない。
トラヴィスはスタッフにいくつか指示を出したのち、上機嫌で僕に話しかけた。
「君のお兄さんは自暴自棄になったみたいだ」
「どのような意味でしょうか」
「武器を変更したいと言ってきてね。ナイフであの化け物に挑むらしい」
兄さんは大剣を武器にすると事前に申告していたはず。なのに、ナイフとは一体どういうことだ。
化け物と称するほどの魔物と戦うなんて、そんなの聞いてない。
しばらくしてスタッフの男が再びこちらを訪ねてきた。報告を受けたトラヴィスが先ほどより嬉しそうな様子で、僕に語りかける。
「おかげさまで過去最高の配当倍率になったよ。観客はアイザックくんがいかになさけなく敗北するか、見物したいようだ」
「……兄は負けません。絶対に」
「いつまで可愛い強がりがもつかな?」
兄さんのことだ。きっと何か考えがあるはず。大丈夫。僕は兄さんを信じてる。
それでも、胸中に去来する不安は消えなかった。
多少開始時間が遅れたものの、兄さんの入場に会場が湧いた。その手には僕とお揃いのミスリルナイフが握られていた。
遠目に見てもわかる、切れ味のよさそうなミスリルのきらめきに、少しだけ心が軽くなる。
「すごいだろう?あの化け物は仕入れたばかりの一級品でね。すでに三人の戦士があいつの腹に収まってる」
「あれは、キマイラですか?」
「そうだよ。興行用に改造したけどね」
本来のキマイラは獅子の頭と山羊の胴体、蛇の尻尾をもつ魔物だ。滅多に人前に出ることはないが、金級パーティーがなんとか討伐できる強さだと言われている。
眼下にいる魔物は獅子と山羊と蛇の三つの頭を備え、獅子の胴体と尻尾を持つ歪な存在となっていた。興行用に改造したというのが一発でわかる見た目だ。
兄さんとキマイラが対峙し、試合が始まった。キマイラは咆哮を上げると、兄さんに向けて真っ直ぐ炎を吐き出した。
兄さんは危なげない動きでその炎を躱す。いつもの正面から叩きのめす戦い方と違い、やたらキマイラの背後を取ろうとしている。
「私は幸運だな」
その声につい反応して、トラヴィスへ視線を送ってしまった。最後まで兄さんを見守っていたいのに、迷惑な男だ。
訝しげにトラヴィスを見ると、彼は口角を歪めて話を続けた。
「興行の穴埋めと君が同時に手に入ったのだから」
「まだ勝敗は決まっていません」
「ナイフだけであの化け物に勝てるとでも?」
「兄は必ず勝ちます」
「大人しそうな顔して、ずいぶん強情だな。まあ、それも一興だ」
トラヴィスが一気に距離を縮めてきた。身体が軽く接触しそうなほどの近さだ。気色悪すぎて反応するのが遅れてしまった。
「触れても?」
「お断りします」
自分でも信じられないくらい声が震えている。トラヴィスは意に介さない様子で、僕の髪に触れた。
「綺麗な髪だ。シーツに広がる様は、さぞ美しいだろうね?」
きもちわるい。全身に嫌悪感が巡り総毛立つ。僕に触れていいのは、僕が触ってほしいと思うのはこの世で一人だけだ。
「触るな!」
無意識だった。気がついたら風が通り抜けていた。トラヴィスの手には毛の束が握られている。
やってしまった。風斬撃の魔法を発動させるなんて、よっぽど腹に据えかねていたようだ。
トラヴィスはしばらく状況が飲み込めない様子で手の中の髪束を眺めていたが、やがて大声で笑い始めた。
「最高だ!君は本当に面白い!」
何がおかしいのか、トラヴィスは下品な顔で笑い続けている。
「初めてはベッドでと思っていたけど、気が変わった。兄の死体の前で犯してあげよう。もっとも、体が残っていたらの話だけどね。泣き叫びながら僕のものを受け入れる君はどんな姿なんだろうな?」
汚い、濁った声が不協和音のように鼓膜を震わす。最悪な妄想を聞かされるこちらの身にもなってほしい。
トラヴィスから離れようと立ち上がりかけた瞬間、断末魔のような咆哮が響き渡った。直後、巨大な何かが倒れたような振動と破壊音が聞こえた。
急いで闘技場に目を向けると、背中から大量の血を流し倒れているキマイラがいた。兄さんはその隣に立ち、キマイラの血で頭を濡らしながら悠然としている。
「嘘だろ」
消え入りそうなトラヴィスの言葉は、会場にいる人々の総意だった。あんなに騒がしかった観客が、今は水を打ったように静まり返っている。
やがてキマイラはぴくりとも動かなくなった。兄さんはそれを見届けると、闘技場を後にした。
「配当金が……あのキマイラにいくら使ったと思って……資金の回収が……次の興行に影響は……」
トラヴィスは青ざめた顔でぶつぶつと何かを呟いている。
少しして観覧席の外が騒がしいことに気づく。身構えているといきなり扉が開いた。
そこにいたのは、頭からキマイラの血を滴らせている兄さんだった。
「おい」
「寄るな化け物!お前はいったい」
兄さんが声をかけると、怯えた様子のトラヴィスが叫び声を上げる。兄さんは特に気にする様子もなくトラヴィスに近付いていく。
「契約遵守は商人の基本だろうが。ルカを返してもらうぞ」
「こっちに来るな!いいからさっさと出ていけ!」
半狂乱で喚くトラヴィスの存在が薄くなっていく。
僕は一直線に兄さんのもとへ駆け出して、勢いそのままに抱きついた。兄さんは力強く僕を受け止めてくれた。
「すっごく心配したんだから!」
「すまなかった」
キマイラの血が付くのも厭わず、兄さんの身体にすりつく。
「なあ、俺どうだった?」
兄さんがこんなふうに自分のことを聞いてくるのは珍しい。でも、答えは一つだ。
「世界一かっこよかったよ」
満足そうに笑った兄さんが、僕の頭を撫でてくれた。その手が心地よくて胸に温かなものが広がる。もっと触ってほしくなって、甘えるようにぐりぐりと頭を押し付けた。
忙しなく動き回る人々の声があちこちで響いている。広い空間にいるせいか、話の内容は聞き取れない。
数時間後に迫る催しに向けて、準備に追われているようだ。その中身は魔物と人間を戦わせるという、血生臭いものだけど。
「地下にこんな施設があるなんて、驚いただろう?」
「そうですね」
自信に満ちた声が真っ直ぐ耳に入る。トラヴィスの得意げな顔にイラッとして、つい素っ気ない返事をしてしまった。
目的を果たすため、彼の気分を害するわけにはいかない。ちょっと近いので離れてくださいとか言いたいけど我慢だ。
「換気の仕組みが気になる」
「面白いね」
「失礼しました」
我慢しすぎて別の本音が出てしまった。慌てて謝ったけど、トラヴィスは楽しそうに笑っている。
「いや、むしろ興味が湧いたよ。この施設に来て、すごい、広い、大きい以外の感想が出たのはルカくんが初めてだ。設備に言及するなんて、いい着眼点じゃないか」
「そうですか。光栄です」
どうでもいい人物から関心を持たれても全く嬉しくない。
兄さんは今ごろ選手控え室にいるのかな。こんなに長い時間別行動するのは久しぶりだから寂しい。再会したらまずハグをしてもらおう。
「おいで。面白いものを見せてあげる」
「はい。楽しみです」
差し出された手をスルーして、笑顔を返しておく。トラヴィスは気にしないそぶりを見せ、僕の横にぴったりとくっついて歩いた。
ギリギリ身体に触れない絶妙な距離感が憎らしい。歩きにくくて仕方ない。
トラヴィスと共にいる理由は、彼が違法賭博の主催である証拠を探すためだ。
この地下施設には何かある。最初は兄さんの憶測でしかなかった闘技場に証拠を隠している説も、あながち間違っていないのかもしれないと思うようになった。
出資者を募って完成させたという地下施設は、最新の技術が駆使されていた。どれだけのお金が動いているか、見当もつかない。
街から外れた場所とはいえ、そこそこ人の目もありそうなのによく建設できたなと感心する。
「さらに下に空間があるなんて驚きです」
「ここは選手や魔物の待機場所なんだ。お兄さんに会っていくかい?」
すごく魅力的な提案だが、今兄さんに会ったら全力で甘えてしまいそうだ。
「いえ。催しが終わったら会えるので結構です」
「アイザックくんの強さを信用しているんだね」
「もちろん。兄は負けません」
「ああ、素晴らしい兄弟愛だ。君はどこまでも私を楽しませてくれる」
トラヴィスがうっとりとした目で僕を見つめる。その目の奥に獰猛な光が宿っている気がして、僕は目を伏せた。
等間隔に続く扉のせいで、自分が今どこにいるのかわからなくなる。このような設計にしているのは、何かしらの意図があるはずだ。
トラヴィスに促されて入室すると、そこには数匹の魔物が檻に入れられていた。
触り心地のよさそうなブラウンの長毛。つぶらな瞳。体の大きさに不釣り合いな太く長い尻尾。
「テイルラビットですか」
「そうそう。可愛いだろう?若い子はこいつを見ると目を輝かせて喜ぶから、君にも見せてあげたくて」
「見た目はそうですね。戦うとなると全く可愛くありませんが」
「やけに詳しいな。ああ、そうか。ルカくんは銀級冒険者だったね。君と話しているとつい忘れてしまうよ」
テイルラビットは北国を中心に生息しているウサギ型の魔物だ。名前の通り、太くて長い特徴的な尻尾で獲物を締め上げる。力はそこそこ強く、首を狙われると厄介だ。
国によっては頻繁に討伐依頼が張り出されているので、冒険者にとって馴染み深い魔物だろう。正直に言うと全く可愛いと思えない。
トラヴィスの発言がなんとなく気になったので尋ねてみる。
「冒険者に見えないってよく言われるんです。そんなに弱々しく見えますか?」
「いや、弱々しいというより。そうだな、君は綺麗すぎる」
「意味が、よくわかりません」
「容姿、立ち振る舞い、言葉遣い。粗野なところを何一つとして感じさせない。むしろ洗練されている。実に好ましい」
トラヴィスの話し方にどろどろとした欲を感じてしまい、慌てて距離を取る。
「つれないねえ。まあ、楽しみは後からとっておくか」
残念そうな顔をしながら、その目はギラギラとしていた。その視線に晒されたくなくて逃げるように出口へ向かうと、背後で小さく笑う声が聞こえた。
その後、何事もなかったかのようにトラヴィスは話しかけてきた。彼の目を見ると、先ほどの視線を思い出してうまく笑えない。
ぎこちない空気が流れる中、観覧席を目指し歩いていると、突然スタッフらしき男が壁に手を当てた。
微量な魔力を感じた瞬間、ギリギリ人一人通れるくらいの幅の通路がでてきた。
「おい!始まるまで使用禁止だと言っただろ!」
「申し訳ございません!例の商品が暴れていると報告があったもので」
「なんだと?私も同行する」
激しく男を怒鳴りつけたトラヴィスが、例の商品という単語を聞いた途端、表情を硬くした。
「すまない。どうしても外せない仕事が入ってしまってね。先に観覧席に行っててもらえるかな?すぐに合流するから、心配しないで」
「わかりました」
「場所はわかるかい?」
「はい。ここまで来たら一人でも大丈夫です」
「従業員にこれを見せたら案内してくれるから。じゃあ、またね」
トラヴィスはカードのようなものを僕に渡すと、急いで通路に入った。程なくしてなんの変哲もない壁に戻る。
これは、確実になにかある。降って湧いた幸運に思わず感謝する。
なるほどね。魔力は感じていたけど、微力すぎて探知に反応しなかった。でもこれでだいぶ掴めた。
隠し部屋なんて、いかにも悪いやつらが考えそうなものだ。
手近な壁に手を当てて、ゆっくりと魔力を巡らせる。レントゲンの魔法と探知を組み合わせた僕オリジナルの魔法だ。
出入り口は三つ。トラヴィスたちが入っていった通路がメインで使われているようだ。魔力の痕跡が濃い。
おそらく、あらかじめ登録した魔力に反応して扉が開く仕組みだろう。そこに関しては問題ない。壁をぶち抜けばいい話だ。
地下二階の全ての空間に魔力を巡らせて侵入経路を割り出す。ある部屋から兄さんの温かい魔力を感じて頬が緩んだ。
例のカードを見せて案内された観覧席は、広い個室だった。壁に飾られた絵画や花が霞むくらい、部屋の中央に設置されたソファは異彩な存在感を放っていた。
大きすぎる。これはソファというよりベッドだ。目的があからさますぎるだろ。横に座る予定の人物を思い、気分が萎えた。
はっきり言ってトラヴィスが気持ち悪い。帰りたい。兄さんとご飯食べて抱き合ってイチャイチャして寝たい。
地下施設の最上段にある観覧席から、眼下の闘技場を見下ろす。
闘技場の周囲に、観覧席が円形に広がっている。一般席が闘技場に一番近いことを考えると、この観覧席は特等の部類だ。
普通は逆だと思うが、それだけこの催しが危険ということだろう。
扉が開く音がしたので目を向けると、トラヴィスがソファにどっかりと腰を落とした。
「待たせたね。間に合ってよかったよ」
「お疲れ様です」
「ありがとう。君も座りなさい。軽食を用意させているから」
「お気遣いなく」
トラヴィスの視線の先には軽食を乗せたカートがある。豪華な見た目のお菓子を見て、屋敷での食事を思い出し、一気に食欲が失せた。
「ずいぶん端に座るね。もう少しこちらに」
「お構いなく。ここが落ち着くんです」
「強情だな」
トラヴィスは苦笑しながらも、決して距離を詰めようとしない。むしろこの距離感を楽しんでいるようにも見える。
「乾杯もだめ?昨夜話に上がったワインだよ」
「お心遣いを頂いておきながら申し訳ありませんが、兄のことで胸がいっぱいで」
「妬けるなぁ」
トラヴィスが笑いながら、グラスに口をつけた。闘技場ではすでに魔物と人間の試合が始まっていて、観客の歓声が聞こえてくる。
「お兄さんの強さを信用してるのに、心配するんだ?」
「当然です」
「いい弟だ。アイザックくんが羨ましいよ」
意味ありげな目でこちらを見るのはやめてほしい。さっきから鳥肌が収まらない。
歓声が一際大きくなった。闘技場を見下ろすと、片腕の冒険者が魔物になす術なく蹂躙されていた。あまりの痛ましさに表情が歪む。
「優しいね?彼は最近、戦績が落ちてたから仕方ないさ。処理の手間が省けて助かった」
「人の命をなんだと思って」
「また仕入れないといけないな」
床に落ちたチリ屑の行方を追うような、何の感情もない眼差しだった。得体の知れない寒気が背筋を走る。
「ああ、その顔。いいね、もっと見せてよ」
「寄らないで。やめて」
「怖がらせちゃった?」
トラヴィスが笑いかけながら少しだけ距離を縮めてきた。離れたいのに、ソファの肘掛けが邪魔でもどかしい。
会場はまだまだ盛り上がっていて、次の試合が始まろうとしていた。
「アメリアとは長い付き合いでね。初めて出会ったのは彼女が二十歳の時だ。今よりもずっと綺麗な顔をしてたよ」
「そうですか」
なぜこのタイミングで伯母の話をするのか。皆目見当もつかない。
「当時の彼女は、遺産目的で資産家の後妻になったばかりでね。典型的な高慢ちきな女だった」
「はあ」
全然興味がわかない。でしょうね、という感想しか出てこない。
「その後いろいろあって、彼女が三十五の時私の愛人にした。しかし、そろそろ飽きてきてね」
「そうですか」
「近々アメリアを追い出す予定だった。でも、なかなか代わりが見つからないで困っていたんだ。彼女、見た目だけは私の好みだから」
「……」
話が読めてきた。読めてきたけど、これ以上聞きたくない。気分が悪い。
「初めて君を見た時は本当に驚いた!アメリアを青年にしたら、きっとこんな感じになるんじゃないかと思った。それに加えて君はアメリアと同じ顔なのに、立ち振る舞いが上品で、まさに私の理想なんだ」
トラヴィスはうっとりとした目で、舐めるように僕の顔を見つめる。
事情を知らないとはいえ、ことごとく僕が不快になる言葉を並べるとは。ついつい感心してしまった。口説き文句として考えると最低の部類だ。
歓声が大きくなる。片手剣を持つ戦士が、お腹を押さえながら魔物にとどめを刺していた。彼の指の間から覗くものはおそらく——
「臓物は掃除に時間がかかるから厄介だ」
「早く治療を」
「あれはもうだめだろう。おー、倒れた。見世物としては満点だな」
トラヴィスは楽しそうに倒れた戦士を眺めている。観客も大盛り上がりだ。
動かなくなった戦士が運ばれていく。死者への敬意を一切感じない、まさに清掃作業の一部のような扱いだ。彼が丁重に弔われることはないだろう。そう思うと、胸が詰まって息苦しくなった。
反吐が出る。これのどこが面白いのか全く理解できない。
その後も趣味の悪い殺し合いが行われた。戦士が勝利した時より、魔物が勝利した時の方が歓声が大きいことに気づいて、不愉快極まりなかった。
「お兄さんの出番まであと少しだね」
「はい」
やっとか。兄さんはこの日のメインとなる試合に出場する。そのため最後まで忌まわしい催しを見学しなくてはならない。
早く隣にいるいやらしい目つきの男から解放されたい。
「トラヴィス様!」
深刻そうな顔をした男が突然観覧席に飛び込んできた。
おそらく興行に携わるスタッフだろう。彼はトラヴィスに何か報告しているようだ。声が小さくて内容は聞き取れない。
トラヴィスはスタッフにいくつか指示を出したのち、上機嫌で僕に話しかけた。
「君のお兄さんは自暴自棄になったみたいだ」
「どのような意味でしょうか」
「武器を変更したいと言ってきてね。ナイフであの化け物に挑むらしい」
兄さんは大剣を武器にすると事前に申告していたはず。なのに、ナイフとは一体どういうことだ。
化け物と称するほどの魔物と戦うなんて、そんなの聞いてない。
しばらくしてスタッフの男が再びこちらを訪ねてきた。報告を受けたトラヴィスが先ほどより嬉しそうな様子で、僕に語りかける。
「おかげさまで過去最高の配当倍率になったよ。観客はアイザックくんがいかになさけなく敗北するか、見物したいようだ」
「……兄は負けません。絶対に」
「いつまで可愛い強がりがもつかな?」
兄さんのことだ。きっと何か考えがあるはず。大丈夫。僕は兄さんを信じてる。
それでも、胸中に去来する不安は消えなかった。
多少開始時間が遅れたものの、兄さんの入場に会場が湧いた。その手には僕とお揃いのミスリルナイフが握られていた。
遠目に見てもわかる、切れ味のよさそうなミスリルのきらめきに、少しだけ心が軽くなる。
「すごいだろう?あの化け物は仕入れたばかりの一級品でね。すでに三人の戦士があいつの腹に収まってる」
「あれは、キマイラですか?」
「そうだよ。興行用に改造したけどね」
本来のキマイラは獅子の頭と山羊の胴体、蛇の尻尾をもつ魔物だ。滅多に人前に出ることはないが、金級パーティーがなんとか討伐できる強さだと言われている。
眼下にいる魔物は獅子と山羊と蛇の三つの頭を備え、獅子の胴体と尻尾を持つ歪な存在となっていた。興行用に改造したというのが一発でわかる見た目だ。
兄さんとキマイラが対峙し、試合が始まった。キマイラは咆哮を上げると、兄さんに向けて真っ直ぐ炎を吐き出した。
兄さんは危なげない動きでその炎を躱す。いつもの正面から叩きのめす戦い方と違い、やたらキマイラの背後を取ろうとしている。
「私は幸運だな」
その声につい反応して、トラヴィスへ視線を送ってしまった。最後まで兄さんを見守っていたいのに、迷惑な男だ。
訝しげにトラヴィスを見ると、彼は口角を歪めて話を続けた。
「興行の穴埋めと君が同時に手に入ったのだから」
「まだ勝敗は決まっていません」
「ナイフだけであの化け物に勝てるとでも?」
「兄は必ず勝ちます」
「大人しそうな顔して、ずいぶん強情だな。まあ、それも一興だ」
トラヴィスが一気に距離を縮めてきた。身体が軽く接触しそうなほどの近さだ。気色悪すぎて反応するのが遅れてしまった。
「触れても?」
「お断りします」
自分でも信じられないくらい声が震えている。トラヴィスは意に介さない様子で、僕の髪に触れた。
「綺麗な髪だ。シーツに広がる様は、さぞ美しいだろうね?」
きもちわるい。全身に嫌悪感が巡り総毛立つ。僕に触れていいのは、僕が触ってほしいと思うのはこの世で一人だけだ。
「触るな!」
無意識だった。気がついたら風が通り抜けていた。トラヴィスの手には毛の束が握られている。
やってしまった。風斬撃の魔法を発動させるなんて、よっぽど腹に据えかねていたようだ。
トラヴィスはしばらく状況が飲み込めない様子で手の中の髪束を眺めていたが、やがて大声で笑い始めた。
「最高だ!君は本当に面白い!」
何がおかしいのか、トラヴィスは下品な顔で笑い続けている。
「初めてはベッドでと思っていたけど、気が変わった。兄の死体の前で犯してあげよう。もっとも、体が残っていたらの話だけどね。泣き叫びながら僕のものを受け入れる君はどんな姿なんだろうな?」
汚い、濁った声が不協和音のように鼓膜を震わす。最悪な妄想を聞かされるこちらの身にもなってほしい。
トラヴィスから離れようと立ち上がりかけた瞬間、断末魔のような咆哮が響き渡った。直後、巨大な何かが倒れたような振動と破壊音が聞こえた。
急いで闘技場に目を向けると、背中から大量の血を流し倒れているキマイラがいた。兄さんはその隣に立ち、キマイラの血で頭を濡らしながら悠然としている。
「嘘だろ」
消え入りそうなトラヴィスの言葉は、会場にいる人々の総意だった。あんなに騒がしかった観客が、今は水を打ったように静まり返っている。
やがてキマイラはぴくりとも動かなくなった。兄さんはそれを見届けると、闘技場を後にした。
「配当金が……あのキマイラにいくら使ったと思って……資金の回収が……次の興行に影響は……」
トラヴィスは青ざめた顔でぶつぶつと何かを呟いている。
少しして観覧席の外が騒がしいことに気づく。身構えているといきなり扉が開いた。
そこにいたのは、頭からキマイラの血を滴らせている兄さんだった。
「おい」
「寄るな化け物!お前はいったい」
兄さんが声をかけると、怯えた様子のトラヴィスが叫び声を上げる。兄さんは特に気にする様子もなくトラヴィスに近付いていく。
「契約遵守は商人の基本だろうが。ルカを返してもらうぞ」
「こっちに来るな!いいからさっさと出ていけ!」
半狂乱で喚くトラヴィスの存在が薄くなっていく。
僕は一直線に兄さんのもとへ駆け出して、勢いそのままに抱きついた。兄さんは力強く僕を受け止めてくれた。
「すっごく心配したんだから!」
「すまなかった」
キマイラの血が付くのも厭わず、兄さんの身体にすりつく。
「なあ、俺どうだった?」
兄さんがこんなふうに自分のことを聞いてくるのは珍しい。でも、答えは一つだ。
「世界一かっこよかったよ」
満足そうに笑った兄さんが、僕の頭を撫でてくれた。その手が心地よくて胸に温かなものが広がる。もっと触ってほしくなって、甘えるようにぐりぐりと頭を押し付けた。
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