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第3章 幼馴染と初々しい事をしてみたい!
第6話 初々しくない俺たち
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ピーンポーン。ピーンポーン。
インターフォンを鳴らして、百合の家の前に立つ。
「ふぁい。修ちゃん?」
ふわふわとした百合の声が聞こえる。
この声の響きは……。
「ひょっとして寝起きか?」
「寝起きじゃないけど……眠い」
となると。
「いいか。上がるぞ」
「うん。どぞどぞー」
関係が変わってから一ヶ月。
交際は順調……というか、だいぶ慣れた。
キスで凄くドキドキはしなくなったし、ずっと百合の事を考えて
生活に支障を来たすなんてこともない。
これはリア充という奴なんだろうか?
「あ、修ちゃん。ちょっと待っててねー」
いつもの通り二階に上がると、ゆるゆると動く百合の姿。
納豆トーストを準備しているといったところか。
しかし、今日は珍しく俺が居るのに髪がきちんとセットされてるな。
既に制服に着替えてるし。
「今日は妙にきっちりしてないか?」
「まるで、普段の私がずぼらみたいな物言い!」
「だってそうだろ」
「否定できないけど」
こういう素直な所は百合の美点だ。
「おばさんはどうしたんだよ」
いつもなら朝食の準備をしているはず。
「ママさん友達と旅行だって」
「おじさんは?」
「昨日から泊まりで開発の追い込みだって」
「滅茶苦茶大変そうだ」
「マスターアップ直前はいっつもこんなんだよ」
ゲーム開発のお仕事は大変らしい。にしても……
「お前はなんで寝不足?」
新作ゲームでも出たっけ。
「キ、キリのいいとこまで新作RPG進めてたら、徹夜してたの」
覚えがないな。百合と俺はその辺の情報を共有していたはず。
今回は百合が好きそうなゲームもなかったし。
「ま、いいか」
どうにも作った話のような気がするんだけど。
無理に聞き出すことでもないし。
「ボスが嫌らしい攻撃してくるんだもん!20回以上リトライしてやっとだよ」
「そっか」
「反応が鈍いー」
「はいはい」
「もっと鈍くなったんだけど。それと、「はい」は一回」
「まあいいけどな」
時々、こくりこくりと顔が下を向いていて本当に眠そうだ。
風邪ならともかく。夜更ししたのを甘やかしたりはしない。
「ま、いいから牛乳でも飲んでろ」
牛乳を注いで百合に手渡す。
「ん。じゃ、修ちゃんは納豆トースト食べて」
ん?こいつは何を言っているんだ?
「いきなり何を言い出すか」
「以前、至高の納豆パンを見せてあげるって言ったでしょ」
まだ有効だったのか。
「前から言ってるだろ。納豆にはご飯だと」
「彼女の手料理が食べられないと?」
「わかった。わかったよ。納豆トースト食べるから」
「よろしい」
満足げに頷いたかと思えば、バターを用意して、醤油に溶かしている。
パンの上に塗り塗りしたかと思えば、更に上に納豆を塗り塗り。
あまりよろしくない見た目だ。
「はい。百合ちゃん特製、至高の納豆トーストだよ」
相変わらず眠そうな目をしながら、納豆パンを出された。
覚悟を決めて、シャクっと一切れを口にする……美味い。
「どう?」
「意外に美味しいな」
「でしょ?」
何を勝ち誇っているのか、この娘さんは。
「うん。美味しい。やっぱりパンには納豆だね」
満面の笑み。食べ始めてようやく頭が起動したらしい。
現金な奴だ。
「これも悪くないけど、やっぱ納豆にはご飯だな」
「ノリが悪いなー。で、話したいことがあったんだ」
はっきりした声、ぱっちりと開いた瞳で告げてくる。
「ん?何かゲームの話であったか?」
「ゲームじゃなくて、私達のこと」
「なんかあったか?」
「最近思ってたんだけど……私達って初々しくないと思わない?」
一応真剣に言っているように思えるけど、初々しくない、か。
「付き合いたてのカップルにしては初々しさがないとか言われてるな」
Aクラの連中は、嬉し恥ずかしな恋人模様を期待してたんだろう。
残念ながら一日しか続かなかったのだけど。
「Bクラでも百合ちゃん恋人になったのに淡白だねって」
百合のところも似たようなものということか。
「俺達のペースがあるだろ。いいんじゃないか?」
恋人になって数日は距離感が急に縮まって、嬉しいやら落ち着かないやら。
今はそんな状態を過ぎて楽しく付き合っている。
「そうなんだけどー。悔しいし納得行かない」
むすーとした表情でパンをかじりながらため息。
「百合りんとしてはいい案があるのか?」
「止めてよそれ。背筋がぞわっと来る」
わざわざぶるるっと身体を震わせてみる百合。
リアクションが大げさなんだから。
「とにかく!もっと恋人っぽいことしてみたいの!」
恋人っぽいことねえ。
「まさか人前でキスしようとか言わないだろうな?」
「さすがにそんな趣味はないよ!」
「じゃあ、何をしたいんだ?」
「まず……手作り弁当!」
あれか。
「最初の一日だけ作ってきたきりだったな」
ずっと尽くしてこられたらそれはそれで困ったかもしれない。
「そう!今度はきちんと継続するよ」
「ありがたいけど。どうせ挫折するだろ」
こいつが三日坊主なのはよくわかっている。
「今度はちゃんとやるから!」
妙に気合の入った返事だし、こいつなりに真剣なんだろう。
こういうのに付き合うのも彼氏の務め……というより、嬉しい。
俺のためにそこまで考えてくれているんだから。
「じゃあ、しばらく頼む。ところで今日からか?」
「そう!昨夜、作り置きして冷蔵庫に入れてあるの」
「やけに用意がいいな。徹夜でRPGやってたんじゃないのか?」
どうにもこうにも腑に落ちない。
「う、うん。そうだけど……?」
普段のこいつがそこまでやるだろうか。
「そうか。他には?」
「お弁当をあーん、とか」
途端、渋い顔になっているのを自分でも感じる。
「なんで嫌そうな顔?」
「だってな。人前でやろうって話だろ」
「それはもう」
「下手したら公開キス以上に恥ずかしいんだが」
「私も恥ずかしいよ」
「ならなんで」
「いかにも初々しいカップルっぽくない?」
短絡的だけど言わんとすることはわかる。
少し面白いかもしれない。
「仕方ない。お前のことだし、まだあるだろ?」
この娘はやるとなったら徹底してやる。
「当然。朝は一緒の教室で、放課後も迎えに行くし……」
指折りやってみたいことを数え上げていらっしゃる。
「おーけー。やりたいようにやってくれ」
きっと一生の付き合いになるだろう。
このくらいの我儘なんて可愛いもんだ。
「修ちゃんはやってみたいことない?遠慮しなくていいんだよ?」
ワクワクした顔で問い返されてしまう。
「……考えとく」
「ひょっとして、エッチなこと想像したでしょ」
じーと睨まれる。少し当たっているので気まずい。
「いやいや、してない、してないって」
「ほんとかなー?頭撫で撫でとかしたいと思ってないー?」
「それ全然エッチじゃないだろ」
「実はエッチかも?」
「ないない」
「とにかく考えといてね?」
「……了解」
何故か「恋人らしいこと」を考えておく羽目になってしまった。
公開じゃないなら色々やってみたいことはあるんだけど。
学校の奴らに見せつけたいのだから違うだろう。
□□□□
ふんふんふふーん、と鼻歌混じりに隣を歩く百合。
もうあれから一ヶ月経って、12月初旬。もう冬だ。
冬用の紺に赤のセーラー服は可愛いけど、少し肌寒そうだ。
「それさあ。寒くないのか?」
冬用に生地が厚くなっているとはいえ。
「下にセーター着込んでるし、そうでもないよ?」
「ああ、なるほど。そういうことか。道理で」
「ひょっとして、我慢してると思ってた?」
「なんでだろーなとは思ってたよ。なるほど下か」
しかし、セーラー服の下か。少し想像してしまう。
「いつか修ちゃんに脱がされちゃうのかなー」
急に何を想像したのか。
少し頬を赤らめつつも、嬉しそうだ。照れる。
そして、その様がとてつもなく愛しい。
「ま、まあ、脱がしていいのなら」
想像はしてるんだろう。
ぶっきらぼうな風を装って、ぼそっと一言。
「了解。では、お待ちしております!」
ビシッと直立して何故か敬語に敬礼。照れ隠しという奴か。
「ま、それじゃあ、近い内に」
と言ってもいつかは決めてない。
「う、うん。準備、しとくから……」
「じゃあ、待っといてくれ」
とはいっても、まだしばらく先の事だろう。
最近の俺はおもう。
一人で何かやってるのも楽しいんだけど、百合が居れば二倍以上楽しい。
恋人になる前から楽しかったけど、それよりももっと楽しい。
インターフォンを鳴らして、百合の家の前に立つ。
「ふぁい。修ちゃん?」
ふわふわとした百合の声が聞こえる。
この声の響きは……。
「ひょっとして寝起きか?」
「寝起きじゃないけど……眠い」
となると。
「いいか。上がるぞ」
「うん。どぞどぞー」
関係が変わってから一ヶ月。
交際は順調……というか、だいぶ慣れた。
キスで凄くドキドキはしなくなったし、ずっと百合の事を考えて
生活に支障を来たすなんてこともない。
これはリア充という奴なんだろうか?
「あ、修ちゃん。ちょっと待っててねー」
いつもの通り二階に上がると、ゆるゆると動く百合の姿。
納豆トーストを準備しているといったところか。
しかし、今日は珍しく俺が居るのに髪がきちんとセットされてるな。
既に制服に着替えてるし。
「今日は妙にきっちりしてないか?」
「まるで、普段の私がずぼらみたいな物言い!」
「だってそうだろ」
「否定できないけど」
こういう素直な所は百合の美点だ。
「おばさんはどうしたんだよ」
いつもなら朝食の準備をしているはず。
「ママさん友達と旅行だって」
「おじさんは?」
「昨日から泊まりで開発の追い込みだって」
「滅茶苦茶大変そうだ」
「マスターアップ直前はいっつもこんなんだよ」
ゲーム開発のお仕事は大変らしい。にしても……
「お前はなんで寝不足?」
新作ゲームでも出たっけ。
「キ、キリのいいとこまで新作RPG進めてたら、徹夜してたの」
覚えがないな。百合と俺はその辺の情報を共有していたはず。
今回は百合が好きそうなゲームもなかったし。
「ま、いいか」
どうにも作った話のような気がするんだけど。
無理に聞き出すことでもないし。
「ボスが嫌らしい攻撃してくるんだもん!20回以上リトライしてやっとだよ」
「そっか」
「反応が鈍いー」
「はいはい」
「もっと鈍くなったんだけど。それと、「はい」は一回」
「まあいいけどな」
時々、こくりこくりと顔が下を向いていて本当に眠そうだ。
風邪ならともかく。夜更ししたのを甘やかしたりはしない。
「ま、いいから牛乳でも飲んでろ」
牛乳を注いで百合に手渡す。
「ん。じゃ、修ちゃんは納豆トースト食べて」
ん?こいつは何を言っているんだ?
「いきなり何を言い出すか」
「以前、至高の納豆パンを見せてあげるって言ったでしょ」
まだ有効だったのか。
「前から言ってるだろ。納豆にはご飯だと」
「彼女の手料理が食べられないと?」
「わかった。わかったよ。納豆トースト食べるから」
「よろしい」
満足げに頷いたかと思えば、バターを用意して、醤油に溶かしている。
パンの上に塗り塗りしたかと思えば、更に上に納豆を塗り塗り。
あまりよろしくない見た目だ。
「はい。百合ちゃん特製、至高の納豆トーストだよ」
相変わらず眠そうな目をしながら、納豆パンを出された。
覚悟を決めて、シャクっと一切れを口にする……美味い。
「どう?」
「意外に美味しいな」
「でしょ?」
何を勝ち誇っているのか、この娘さんは。
「うん。美味しい。やっぱりパンには納豆だね」
満面の笑み。食べ始めてようやく頭が起動したらしい。
現金な奴だ。
「これも悪くないけど、やっぱ納豆にはご飯だな」
「ノリが悪いなー。で、話したいことがあったんだ」
はっきりした声、ぱっちりと開いた瞳で告げてくる。
「ん?何かゲームの話であったか?」
「ゲームじゃなくて、私達のこと」
「なんかあったか?」
「最近思ってたんだけど……私達って初々しくないと思わない?」
一応真剣に言っているように思えるけど、初々しくない、か。
「付き合いたてのカップルにしては初々しさがないとか言われてるな」
Aクラの連中は、嬉し恥ずかしな恋人模様を期待してたんだろう。
残念ながら一日しか続かなかったのだけど。
「Bクラでも百合ちゃん恋人になったのに淡白だねって」
百合のところも似たようなものということか。
「俺達のペースがあるだろ。いいんじゃないか?」
恋人になって数日は距離感が急に縮まって、嬉しいやら落ち着かないやら。
今はそんな状態を過ぎて楽しく付き合っている。
「そうなんだけどー。悔しいし納得行かない」
むすーとした表情でパンをかじりながらため息。
「百合りんとしてはいい案があるのか?」
「止めてよそれ。背筋がぞわっと来る」
わざわざぶるるっと身体を震わせてみる百合。
リアクションが大げさなんだから。
「とにかく!もっと恋人っぽいことしてみたいの!」
恋人っぽいことねえ。
「まさか人前でキスしようとか言わないだろうな?」
「さすがにそんな趣味はないよ!」
「じゃあ、何をしたいんだ?」
「まず……手作り弁当!」
あれか。
「最初の一日だけ作ってきたきりだったな」
ずっと尽くしてこられたらそれはそれで困ったかもしれない。
「そう!今度はきちんと継続するよ」
「ありがたいけど。どうせ挫折するだろ」
こいつが三日坊主なのはよくわかっている。
「今度はちゃんとやるから!」
妙に気合の入った返事だし、こいつなりに真剣なんだろう。
こういうのに付き合うのも彼氏の務め……というより、嬉しい。
俺のためにそこまで考えてくれているんだから。
「じゃあ、しばらく頼む。ところで今日からか?」
「そう!昨夜、作り置きして冷蔵庫に入れてあるの」
「やけに用意がいいな。徹夜でRPGやってたんじゃないのか?」
どうにもこうにも腑に落ちない。
「う、うん。そうだけど……?」
普段のこいつがそこまでやるだろうか。
「そうか。他には?」
「お弁当をあーん、とか」
途端、渋い顔になっているのを自分でも感じる。
「なんで嫌そうな顔?」
「だってな。人前でやろうって話だろ」
「それはもう」
「下手したら公開キス以上に恥ずかしいんだが」
「私も恥ずかしいよ」
「ならなんで」
「いかにも初々しいカップルっぽくない?」
短絡的だけど言わんとすることはわかる。
少し面白いかもしれない。
「仕方ない。お前のことだし、まだあるだろ?」
この娘はやるとなったら徹底してやる。
「当然。朝は一緒の教室で、放課後も迎えに行くし……」
指折りやってみたいことを数え上げていらっしゃる。
「おーけー。やりたいようにやってくれ」
きっと一生の付き合いになるだろう。
このくらいの我儘なんて可愛いもんだ。
「修ちゃんはやってみたいことない?遠慮しなくていいんだよ?」
ワクワクした顔で問い返されてしまう。
「……考えとく」
「ひょっとして、エッチなこと想像したでしょ」
じーと睨まれる。少し当たっているので気まずい。
「いやいや、してない、してないって」
「ほんとかなー?頭撫で撫でとかしたいと思ってないー?」
「それ全然エッチじゃないだろ」
「実はエッチかも?」
「ないない」
「とにかく考えといてね?」
「……了解」
何故か「恋人らしいこと」を考えておく羽目になってしまった。
公開じゃないなら色々やってみたいことはあるんだけど。
学校の奴らに見せつけたいのだから違うだろう。
□□□□
ふんふんふふーん、と鼻歌混じりに隣を歩く百合。
もうあれから一ヶ月経って、12月初旬。もう冬だ。
冬用の紺に赤のセーラー服は可愛いけど、少し肌寒そうだ。
「それさあ。寒くないのか?」
冬用に生地が厚くなっているとはいえ。
「下にセーター着込んでるし、そうでもないよ?」
「ああ、なるほど。そういうことか。道理で」
「ひょっとして、我慢してると思ってた?」
「なんでだろーなとは思ってたよ。なるほど下か」
しかし、セーラー服の下か。少し想像してしまう。
「いつか修ちゃんに脱がされちゃうのかなー」
急に何を想像したのか。
少し頬を赤らめつつも、嬉しそうだ。照れる。
そして、その様がとてつもなく愛しい。
「ま、まあ、脱がしていいのなら」
想像はしてるんだろう。
ぶっきらぼうな風を装って、ぼそっと一言。
「了解。では、お待ちしております!」
ビシッと直立して何故か敬語に敬礼。照れ隠しという奴か。
「ま、それじゃあ、近い内に」
と言ってもいつかは決めてない。
「う、うん。準備、しとくから……」
「じゃあ、待っといてくれ」
とはいっても、まだしばらく先の事だろう。
最近の俺はおもう。
一人で何かやってるのも楽しいんだけど、百合が居れば二倍以上楽しい。
恋人になる前から楽しかったけど、それよりももっと楽しい。
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