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第4章 幼馴染と初めてをしようと話し合ってみた
第8話 俺は百合を待たせていたらしい
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年が明けて新学期が始まった一月の中頃。
暖房の効いた自室で俺たちは、
「どうだ?」
「気持ちいいー。もっと、撫でてー」
「本当に撫でられるの好きだな」
後ろから抱きしめられながら、甘えた声の百合。
自慢の長い髪を撫でられるのが最近のお気に入り。
「なんていうかペットぽいな」
可愛らしいこいつの頭を優しく撫でる。
背中から抱きしめつつ撫でるのは気持ちがいい。
「むー、ペットはないと思う」
不服そうな顔をする百合だが、
「お手」
「わんわん」
俺の手のひらに手をおいてくる。
こういうところ、百合はノリがいい。
「じゃあ、ご褒美だ」
優しく髪を梳いてあげると。
「ふにゃー」
なんだか猫っぽい声を上げつつ幸せそうだ。
「すっかり修ちゃんの膝の上が定位置になっちゃった」
百合がぼーっとした声でつぶやく。
完全に俺に身を任せている時の声だ。
「体勢変えてみるか?」
「ううん。そのままがいい」
暖房が効いた部屋に静かな声が響く。
百合は賑やかだけど甘える時は意外と静かだ。
「修ちゃん。頬をぷにぷにしないで」
少し身を捩るけど嫌そうじゃない。
百合のもちもちした肌をこうするのが好きなんだけど。
くすぐったいか。
思いついた事があって首筋にキスをしてみる。
「……っ!」
ビクっとしてこっちを見つめてくる百合。
目が大きく見開かれている。
「悪い。ついやってみたくなった」
「ううん。もうちょっとしてみて欲しい」
恥ずかしそうだけどいいのか?
「じゃあ、お言葉に甘えて」
首筋にちゅ、ともう一度キスをしてみる。
「……っ!」
また、ビクっとした。
「大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫。続けて?」
さらに何度かキスをしてみる。
そのたびにビクっとしつつも嫌がらない。
「私、首筋が弱いのかも」
ブルルッと身を震わして、艶めかしい声。
調子になってさらに続けていく。
「はあ……はあ……」
気がついたら百合の息が荒くなっている。
俺は俺で初めて見る様子にドキドキだ。
さらに首筋を手で撫でてみる。
「う……」
「まずかったか?」
「まずくないけど……少し感じてるかも」
「お、おう。そうか」
甘い空気が桃色の空気になっている。
もしかして、胸に触れてしまっても大丈夫?
「あ……」
百合は吐息をもらしたけどされるがまま。
俺の手は百合の胸の上に置かれている。
「ひょっとして、先に進みたい?」
消え入りそうな声でつぶやく様子は蠱惑的だった。
「お前がいいなら」
心臓の鼓動が激しくなってくる。いよいよなんだ。
そんな気持ちとうまく出来るのかという気持ちが混じり合う。
「その。私は結構、待ってたんだけど?」
予想外に百合の言葉は不満そうな響きだった。
「悪い。前に「近い内に」って言ってたな」
すっかり忘れてた。
「そうだよ、もう……」
仕方ないなあという感じのため息。
「それじゃあ。するからな」
「うん」
このまま揉んじゃっていいんだろうか。
いいんだろうけど、勝手がわからない。
少しだけ力入れてみるか。
「こんな感じで大丈夫か?」
少し力を入れて揉んでみる。
「う、うん。大丈夫」
吐息が激しくなって来ているけど緊張なのか興奮なのか。
次は……と考えて、あるブツが無い事に気がつく。
まずいまずい。いわゆる家族計画を購入してなかった。
今日、先に進むとは考えてなかったんだから無理もない。
でも、とても気まずい。
「どうしたの?痛くないよ?」
動かないのを不審に思ったのか、百合が問い返してくる。
そういうことじゃないんだ。
「ゴム、無いんだ」とか興ざめもいいところじゃないだろうか。
しかし、言わなければ始まらない。
俺は馬鹿だ。持ち歩いといても良かったのに。
「ごめん。ゴム、買ってなかった」
意を決して謝る。本当に申し訳ない。
「修ちゃん。私はかなーり覚悟決めてたんだよ?」
微妙に怒気を含んだ声と視線。
「はそうだよな。わかる」
男は緊張するだけだ。
女の子は加えて痛みを我慢する覚悟も必要だ。
重みが違う。
「でも、仕方ないか……修ちゃんも想定外だろうし」
諦めたように言う百合を見て内心ほっとしていた。
そもそも進め方がわからなかったから。
するりと俺の腕から抜け出した百合はと言えば。
机の引き出しからポーチを出して猫の絵柄の何かを取り出している。
(あれ?)
柄こそ可愛いけどこれってまさにゴムでは。
「はい」
ブツが入った薄っぺらいあの袋を手渡される。
ブツを収納する袋が猫柄なのはシュールだ。
「えーと、これ。ゴム、だよな」
わかりきっている事だけど聞いてしまう。
しかし、何故に百合が持ってる?
「その内、エッチな雰囲気になるかなって思って」
それ以上は語りたくないと口をつぐんでしまう。
俺以上に百合は色々考えていたらしい。
「絵柄がやけに可愛らしいけど」
男のためのゴムにこういう需要があるのか?
「彼氏に迫られた時の奴が売ってるの」
「おう。そんなのがあるのか」
世界は広い。
しかし、俺よりも百合がよほどちゃんと考えているな。
少し落ち込みそうだ。
それよりも何よりも一度ストップしたのが問題だ。
百合の準備はありがたいけど、今日進むのは無理そう。
「準備してなかったから、今日は無理そう。悪い」
なんで男の側がこれを言ってるんだか。
でも、このままだと俺の方が緊張しまくりなのは目に見えてる。
「仕方ないよね。男の人は緊張すると出来ないって聞くし」
とても理解のある言葉で長年の付き合いだけある。
男としては色々な意味で情けない。
「悪い。そういう雰囲気になる時は色々準備してくるから」
これほど百合に申し訳ない気持ちになったのは初めてだ。
覚悟を決めて色々準備してくれていたのに俺のせいで……。
「大丈夫。修ちゃんが優しくしたいのはわかってるから」
やっぱり百合は日頃奔放だけど気遣いが細かい。
声色には俺の気持ちを慮る優しさがあった。
「ああ。次はちゃんとするから」
「うん……でも、今日はいっぱい甘えさせて?」
「それくらいならいくらでも」
再び定位置となった俺の腕の中に収まる百合。
どうやら機嫌は治ったらしい。
ほっと一息だ。
「なんていうか、お前、可愛いよな」
申し訳ない気持ちも受け止めてくれる彼女への愛しさが増していく。
その後、数時間の間、髪を撫でたり膝枕したりをしたのだった。
おかげでお部屋デートが終わる頃にはすっかりご機嫌だった。
しかし、このままじゃ駄目だよな。
その夜、俺はと言えば。
『初体験 注意点』
『初体験 やり方』
色々な検索キーワードでひっそりと勉強をしていた。
百合が理解あるのはいいけど、俺自身が情けない。
(百合の奴はどう思ってるんだろ)
今頃は寝る準備を終えているだろうか。
がっかりしているかもしれないな。
覚悟完了だったのに肩透かしだったわけだし。
次にそういう雰囲気になったらちゃんとしないと。
決意して布団に入ったのだった。
初体験というのも色々難しい。
俺と百合でもこんなにぎこちなくなるなんて。
暖房の効いた自室で俺たちは、
「どうだ?」
「気持ちいいー。もっと、撫でてー」
「本当に撫でられるの好きだな」
後ろから抱きしめられながら、甘えた声の百合。
自慢の長い髪を撫でられるのが最近のお気に入り。
「なんていうかペットぽいな」
可愛らしいこいつの頭を優しく撫でる。
背中から抱きしめつつ撫でるのは気持ちがいい。
「むー、ペットはないと思う」
不服そうな顔をする百合だが、
「お手」
「わんわん」
俺の手のひらに手をおいてくる。
こういうところ、百合はノリがいい。
「じゃあ、ご褒美だ」
優しく髪を梳いてあげると。
「ふにゃー」
なんだか猫っぽい声を上げつつ幸せそうだ。
「すっかり修ちゃんの膝の上が定位置になっちゃった」
百合がぼーっとした声でつぶやく。
完全に俺に身を任せている時の声だ。
「体勢変えてみるか?」
「ううん。そのままがいい」
暖房が効いた部屋に静かな声が響く。
百合は賑やかだけど甘える時は意外と静かだ。
「修ちゃん。頬をぷにぷにしないで」
少し身を捩るけど嫌そうじゃない。
百合のもちもちした肌をこうするのが好きなんだけど。
くすぐったいか。
思いついた事があって首筋にキスをしてみる。
「……っ!」
ビクっとしてこっちを見つめてくる百合。
目が大きく見開かれている。
「悪い。ついやってみたくなった」
「ううん。もうちょっとしてみて欲しい」
恥ずかしそうだけどいいのか?
「じゃあ、お言葉に甘えて」
首筋にちゅ、ともう一度キスをしてみる。
「……っ!」
また、ビクっとした。
「大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫。続けて?」
さらに何度かキスをしてみる。
そのたびにビクっとしつつも嫌がらない。
「私、首筋が弱いのかも」
ブルルッと身を震わして、艶めかしい声。
調子になってさらに続けていく。
「はあ……はあ……」
気がついたら百合の息が荒くなっている。
俺は俺で初めて見る様子にドキドキだ。
さらに首筋を手で撫でてみる。
「う……」
「まずかったか?」
「まずくないけど……少し感じてるかも」
「お、おう。そうか」
甘い空気が桃色の空気になっている。
もしかして、胸に触れてしまっても大丈夫?
「あ……」
百合は吐息をもらしたけどされるがまま。
俺の手は百合の胸の上に置かれている。
「ひょっとして、先に進みたい?」
消え入りそうな声でつぶやく様子は蠱惑的だった。
「お前がいいなら」
心臓の鼓動が激しくなってくる。いよいよなんだ。
そんな気持ちとうまく出来るのかという気持ちが混じり合う。
「その。私は結構、待ってたんだけど?」
予想外に百合の言葉は不満そうな響きだった。
「悪い。前に「近い内に」って言ってたな」
すっかり忘れてた。
「そうだよ、もう……」
仕方ないなあという感じのため息。
「それじゃあ。するからな」
「うん」
このまま揉んじゃっていいんだろうか。
いいんだろうけど、勝手がわからない。
少しだけ力入れてみるか。
「こんな感じで大丈夫か?」
少し力を入れて揉んでみる。
「う、うん。大丈夫」
吐息が激しくなって来ているけど緊張なのか興奮なのか。
次は……と考えて、あるブツが無い事に気がつく。
まずいまずい。いわゆる家族計画を購入してなかった。
今日、先に進むとは考えてなかったんだから無理もない。
でも、とても気まずい。
「どうしたの?痛くないよ?」
動かないのを不審に思ったのか、百合が問い返してくる。
そういうことじゃないんだ。
「ゴム、無いんだ」とか興ざめもいいところじゃないだろうか。
しかし、言わなければ始まらない。
俺は馬鹿だ。持ち歩いといても良かったのに。
「ごめん。ゴム、買ってなかった」
意を決して謝る。本当に申し訳ない。
「修ちゃん。私はかなーり覚悟決めてたんだよ?」
微妙に怒気を含んだ声と視線。
「はそうだよな。わかる」
男は緊張するだけだ。
女の子は加えて痛みを我慢する覚悟も必要だ。
重みが違う。
「でも、仕方ないか……修ちゃんも想定外だろうし」
諦めたように言う百合を見て内心ほっとしていた。
そもそも進め方がわからなかったから。
するりと俺の腕から抜け出した百合はと言えば。
机の引き出しからポーチを出して猫の絵柄の何かを取り出している。
(あれ?)
柄こそ可愛いけどこれってまさにゴムでは。
「はい」
ブツが入った薄っぺらいあの袋を手渡される。
ブツを収納する袋が猫柄なのはシュールだ。
「えーと、これ。ゴム、だよな」
わかりきっている事だけど聞いてしまう。
しかし、何故に百合が持ってる?
「その内、エッチな雰囲気になるかなって思って」
それ以上は語りたくないと口をつぐんでしまう。
俺以上に百合は色々考えていたらしい。
「絵柄がやけに可愛らしいけど」
男のためのゴムにこういう需要があるのか?
「彼氏に迫られた時の奴が売ってるの」
「おう。そんなのがあるのか」
世界は広い。
しかし、俺よりも百合がよほどちゃんと考えているな。
少し落ち込みそうだ。
それよりも何よりも一度ストップしたのが問題だ。
百合の準備はありがたいけど、今日進むのは無理そう。
「準備してなかったから、今日は無理そう。悪い」
なんで男の側がこれを言ってるんだか。
でも、このままだと俺の方が緊張しまくりなのは目に見えてる。
「仕方ないよね。男の人は緊張すると出来ないって聞くし」
とても理解のある言葉で長年の付き合いだけある。
男としては色々な意味で情けない。
「悪い。そういう雰囲気になる時は色々準備してくるから」
これほど百合に申し訳ない気持ちになったのは初めてだ。
覚悟を決めて色々準備してくれていたのに俺のせいで……。
「大丈夫。修ちゃんが優しくしたいのはわかってるから」
やっぱり百合は日頃奔放だけど気遣いが細かい。
声色には俺の気持ちを慮る優しさがあった。
「ああ。次はちゃんとするから」
「うん……でも、今日はいっぱい甘えさせて?」
「それくらいならいくらでも」
再び定位置となった俺の腕の中に収まる百合。
どうやら機嫌は治ったらしい。
ほっと一息だ。
「なんていうか、お前、可愛いよな」
申し訳ない気持ちも受け止めてくれる彼女への愛しさが増していく。
その後、数時間の間、髪を撫でたり膝枕したりをしたのだった。
おかげでお部屋デートが終わる頃にはすっかりご機嫌だった。
しかし、このままじゃ駄目だよな。
その夜、俺はと言えば。
『初体験 注意点』
『初体験 やり方』
色々な検索キーワードでひっそりと勉強をしていた。
百合が理解あるのはいいけど、俺自身が情けない。
(百合の奴はどう思ってるんだろ)
今頃は寝る準備を終えているだろうか。
がっかりしているかもしれないな。
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