24 / 50
第8章 冬のはじめ頃に
第24話 百合をお泊りに誘ってみた
しおりを挟む
少し肌寒く、見上げれば曇り空の11月。
百合も何やら考え込んでいる。
「あ、あのさ。さっきは悪かった」
向き直って頭を下げる。
「修ちゃんが謝ることじゃないよ。私の方こそ……」
「登校控えてたわけだし。やっぱり俺のほうが」
原因は先程の朝の一件だ。
どうにも雰囲気が盛り上がって。
しかもベッドの上で抱きしめ合いながらキス。
恥ずかしいやら申し訳ないやら嬉しいやら。
「とにかく。ああいうのは、時間があるときに、な?」
「うん。やっぱり朝は良くなかったよね」
百合も思い出しているんだろう。
はにかみながらもニヤニヤしている。
これだけなら問題はないのだ。
いや、多少問題だけど、時と場所を考えようというだけ。
あの時盛り上がった雰囲気を引きずってるのが最大の問題。
「えーと、あのさ。いや……」
このお誘いをするのはどうにも躊躇がある。
もちろん、無理な誘いではないけど露骨過ぎる。
「な、なに?」
首を少し俺の方を向けて。
落ち着かない様子で問いかけてくる。
「えーと。他意はないからな?別にさ」
どうにも歯切れが悪くなってしまう。
それもそのはず。こういうのは朝言うことじゃない。
「うーんと。先に私から言って、いい?」
ああ。これ、同じ事を考えてるパターンだ。
「ああ。言ってみてくれ」
「今日……修ちゃんとこお泊り行っていい?」
「……」
やっぱりか。俺も言おうか迷っていた言葉。
学校ではなんとか我慢するとして。
今日は一夜を共に過ごしたい気持ちなのだ。
それもこれも朝の一件が悪い。
「あ、その。おばさんの許可がないと無理だよね」
「ちょっと聞いてみる」
母さんに対してメッセージを出す。
【今日、百合をうちに泊めて大丈夫?】
今朝のあの一件を見ているのだ。
きっと、これだけで伝わるだろう。
【朝の続きでもしたくなったの?】
そして、我が母もまたいやらしい返事を。
【当たらずと言えども遠からずだな】
当たっちゃってるんだけど。
【別に来客用の部屋あるからいけるけど】
母さんの回答にほっと一息。
【百合ちゃんとこのご両親の許可もとっときなさいよ?】
そりゃそうなるか。
【それは当然。でも、こう。いいのか?】
我ながらなんとも曖昧な言葉だ。
【孫ができちゃうかもしれないって?】
遠回しに夜エッチするだろと言われてる。
【いや、孫は出来ないと思うけど】
そこの一線は守るつもりだ。
【それは残念。とにかく、ご両親の許可さえあればOKよ】
【助かる】
母さんとのやり取りを終えて顔を上げると。
「駄目……だった?」
少し心配そうな顔の百合。
「全然大丈夫。百合の両親さえ許可するならだって」
理解があり過ぎるのもいいのか悪いのか。
「じゃあ、私も聞いてみる。たぶん大丈夫だろうけど」
今度は百合の方が何やらタップして打ち込んでいる。
おばさんなら喜んで許可しそうだよなあ。
おじさんも百合には甘いから。
「大丈夫だって。お泊まり遠慮してたでしょ?て言われちゃった」
「そこは戸惑いあったよな」
付き合ってから一度だけホテルで外泊はしたことがある。
ただ、よく見知っているとはいえ彼女を自宅に泊める。
もしくは彼女の家に泊まるというのは非常に言いづらい。
親にしてみればどうにも微妙な気持ちになるだろう。
「でも、良かったかも。今夜はお別れしたくなかったし」
なんとも男殺しな。
「同じく。学校では抑えるにしてもな」
これまで何度も夜を一緒に過ごしたいと思ったことはあった。
ただ、お互いの家に遊びに行くより微妙にハードルが高かったのだ。
「あ。エッチなこととか無理にはしないからな」
宣言する事が意識してる証なのに。何を言ってるんだか。
「別に。私は抱かれたいと思ってるよ?」
「……」
そこで「エッチ」だの何だの否定してくれればいいのに。
百合は無駄に素直なんだから。
「といっても、雰囲気が盛り上がってならともかく……」
何とも言い訳めいていると感じる。
「ストレートに言って欲しいな。わかってるでしょ?」
確かにそうだよな。
愛情を囁くことは出来ても未だにこっちは照れが来る。
「じゃあ、そういうのも込みで。泊まりに来てくれるか?」
朝から何を話しているんだろうと自嘲する。
「うん。お泊りは色々気合い入れるから♪」
そしてようやくいつもの調子を取り戻したらしい百合。
「気合いって何だよ。気合いって」
言いつつもどういう方向か想像がつくのだけど。
「たとえば、パジャマとか?」
こいつは誘惑でもする気か。
「……百合に任せる」
逃げてみる。
「一応、そういうネグリジェも買ってあるんだけど」
「百合さんや。いつの間に?」
「以前のお泊りの時に色々考えたんだよ?」
「そりゃそうか」
それじゃあ、うーん。
「何持ってるか知らんけど。あんまりお色気ださない方向で」
「ちょっと可愛い系の服を脱がすの好きだもんね?」
「だー。もう、桃色の話やめようぜ」
頭を振って強引に想像するのを止める。
「別に思ったまま言ってくれていいんだよ?」
「だからなんでお前はそういうことを……」
「修ちゃんの好みの格好したいのは当たり前じゃない?」
「じゃあ。水玉模様のがあっただろ?それで」
「了解です!」
ふう。
「一応言っておくけどな。エロ関係の事あんまり言わないのは」
「大事にしたいからだよね。わかってる」
「……」
「でも、私はもっと求められた方が嬉しいよ?」
「わかったよ。あとは放課後相談な」
考えてみると初体験以来、百合とエッチな事をするのは月に二回程度。
がっつき過ぎないようにというのもあった。
ただ、百合はもっと求めて欲しいという気持ちはあるんだろう。
「ネット記事に影響され過ぎてるのかもな、俺」
「がっつくと嫌われるみたいな?」
「それもだけど。性欲って男と女は違うだろ?」
「男の子になったことはないけど、そうなのかな」
「百合が男の娘だったら困るわ!」
「私は修ちゃんが女の娘になったら面白いけど」
何を想像したのかやけに楽しそうだ。
「とにかく、キスまでは良くても、それ以上はブレーキかかるんだよ」
我ながら何とも妙にプラトニックなところがある。
「わかってる。今夜は色々お話しよ?久しぶりに昔の事とか」
「昔っていうと、中学の頃?」
「それもだけど。小学校の頃とか。色々思い出あったでしょ」
「いいな、それ。授業の間に色々思い出してみるか」
「うんうん。私もちょっと思い出してみる」
あー、そういえば小学校の頃なら。
親がデジカメで撮った電子データとかあるはず。
その辺も見せてもらえばいいか。
「しかし……お泊りが常習化してきたら、半同棲になりそうだよな」
「そ、そだね」
「受験の前は程々にしような。それで落ちるとか笑えない」
「うん。程々にしよう?」
いつもより強く腕を組みながら登校路をゆったりと歩いたのだった。
寒いはずなのに、身体全体がどうにも熱い。
百合も何やら考え込んでいる。
「あ、あのさ。さっきは悪かった」
向き直って頭を下げる。
「修ちゃんが謝ることじゃないよ。私の方こそ……」
「登校控えてたわけだし。やっぱり俺のほうが」
原因は先程の朝の一件だ。
どうにも雰囲気が盛り上がって。
しかもベッドの上で抱きしめ合いながらキス。
恥ずかしいやら申し訳ないやら嬉しいやら。
「とにかく。ああいうのは、時間があるときに、な?」
「うん。やっぱり朝は良くなかったよね」
百合も思い出しているんだろう。
はにかみながらもニヤニヤしている。
これだけなら問題はないのだ。
いや、多少問題だけど、時と場所を考えようというだけ。
あの時盛り上がった雰囲気を引きずってるのが最大の問題。
「えーと、あのさ。いや……」
このお誘いをするのはどうにも躊躇がある。
もちろん、無理な誘いではないけど露骨過ぎる。
「な、なに?」
首を少し俺の方を向けて。
落ち着かない様子で問いかけてくる。
「えーと。他意はないからな?別にさ」
どうにも歯切れが悪くなってしまう。
それもそのはず。こういうのは朝言うことじゃない。
「うーんと。先に私から言って、いい?」
ああ。これ、同じ事を考えてるパターンだ。
「ああ。言ってみてくれ」
「今日……修ちゃんとこお泊り行っていい?」
「……」
やっぱりか。俺も言おうか迷っていた言葉。
学校ではなんとか我慢するとして。
今日は一夜を共に過ごしたい気持ちなのだ。
それもこれも朝の一件が悪い。
「あ、その。おばさんの許可がないと無理だよね」
「ちょっと聞いてみる」
母さんに対してメッセージを出す。
【今日、百合をうちに泊めて大丈夫?】
今朝のあの一件を見ているのだ。
きっと、これだけで伝わるだろう。
【朝の続きでもしたくなったの?】
そして、我が母もまたいやらしい返事を。
【当たらずと言えども遠からずだな】
当たっちゃってるんだけど。
【別に来客用の部屋あるからいけるけど】
母さんの回答にほっと一息。
【百合ちゃんとこのご両親の許可もとっときなさいよ?】
そりゃそうなるか。
【それは当然。でも、こう。いいのか?】
我ながらなんとも曖昧な言葉だ。
【孫ができちゃうかもしれないって?】
遠回しに夜エッチするだろと言われてる。
【いや、孫は出来ないと思うけど】
そこの一線は守るつもりだ。
【それは残念。とにかく、ご両親の許可さえあればOKよ】
【助かる】
母さんとのやり取りを終えて顔を上げると。
「駄目……だった?」
少し心配そうな顔の百合。
「全然大丈夫。百合の両親さえ許可するならだって」
理解があり過ぎるのもいいのか悪いのか。
「じゃあ、私も聞いてみる。たぶん大丈夫だろうけど」
今度は百合の方が何やらタップして打ち込んでいる。
おばさんなら喜んで許可しそうだよなあ。
おじさんも百合には甘いから。
「大丈夫だって。お泊まり遠慮してたでしょ?て言われちゃった」
「そこは戸惑いあったよな」
付き合ってから一度だけホテルで外泊はしたことがある。
ただ、よく見知っているとはいえ彼女を自宅に泊める。
もしくは彼女の家に泊まるというのは非常に言いづらい。
親にしてみればどうにも微妙な気持ちになるだろう。
「でも、良かったかも。今夜はお別れしたくなかったし」
なんとも男殺しな。
「同じく。学校では抑えるにしてもな」
これまで何度も夜を一緒に過ごしたいと思ったことはあった。
ただ、お互いの家に遊びに行くより微妙にハードルが高かったのだ。
「あ。エッチなこととか無理にはしないからな」
宣言する事が意識してる証なのに。何を言ってるんだか。
「別に。私は抱かれたいと思ってるよ?」
「……」
そこで「エッチ」だの何だの否定してくれればいいのに。
百合は無駄に素直なんだから。
「といっても、雰囲気が盛り上がってならともかく……」
何とも言い訳めいていると感じる。
「ストレートに言って欲しいな。わかってるでしょ?」
確かにそうだよな。
愛情を囁くことは出来ても未だにこっちは照れが来る。
「じゃあ、そういうのも込みで。泊まりに来てくれるか?」
朝から何を話しているんだろうと自嘲する。
「うん。お泊りは色々気合い入れるから♪」
そしてようやくいつもの調子を取り戻したらしい百合。
「気合いって何だよ。気合いって」
言いつつもどういう方向か想像がつくのだけど。
「たとえば、パジャマとか?」
こいつは誘惑でもする気か。
「……百合に任せる」
逃げてみる。
「一応、そういうネグリジェも買ってあるんだけど」
「百合さんや。いつの間に?」
「以前のお泊りの時に色々考えたんだよ?」
「そりゃそうか」
それじゃあ、うーん。
「何持ってるか知らんけど。あんまりお色気ださない方向で」
「ちょっと可愛い系の服を脱がすの好きだもんね?」
「だー。もう、桃色の話やめようぜ」
頭を振って強引に想像するのを止める。
「別に思ったまま言ってくれていいんだよ?」
「だからなんでお前はそういうことを……」
「修ちゃんの好みの格好したいのは当たり前じゃない?」
「じゃあ。水玉模様のがあっただろ?それで」
「了解です!」
ふう。
「一応言っておくけどな。エロ関係の事あんまり言わないのは」
「大事にしたいからだよね。わかってる」
「……」
「でも、私はもっと求められた方が嬉しいよ?」
「わかったよ。あとは放課後相談な」
考えてみると初体験以来、百合とエッチな事をするのは月に二回程度。
がっつき過ぎないようにというのもあった。
ただ、百合はもっと求めて欲しいという気持ちはあるんだろう。
「ネット記事に影響され過ぎてるのかもな、俺」
「がっつくと嫌われるみたいな?」
「それもだけど。性欲って男と女は違うだろ?」
「男の子になったことはないけど、そうなのかな」
「百合が男の娘だったら困るわ!」
「私は修ちゃんが女の娘になったら面白いけど」
何を想像したのかやけに楽しそうだ。
「とにかく、キスまでは良くても、それ以上はブレーキかかるんだよ」
我ながら何とも妙にプラトニックなところがある。
「わかってる。今夜は色々お話しよ?久しぶりに昔の事とか」
「昔っていうと、中学の頃?」
「それもだけど。小学校の頃とか。色々思い出あったでしょ」
「いいな、それ。授業の間に色々思い出してみるか」
「うんうん。私もちょっと思い出してみる」
あー、そういえば小学校の頃なら。
親がデジカメで撮った電子データとかあるはず。
その辺も見せてもらえばいいか。
「しかし……お泊りが常習化してきたら、半同棲になりそうだよな」
「そ、そだね」
「受験の前は程々にしような。それで落ちるとか笑えない」
「うん。程々にしよう?」
いつもより強く腕を組みながら登校路をゆったりと歩いたのだった。
寒いはずなのに、身体全体がどうにも熱い。
0
あなたにおすすめの小説
かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。
幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。
久野真一
青春
羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。
そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。
彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―
「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。
幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、
ある意味ラブレターのような代物で―
彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。
全三話構成です。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話
頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。
綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。
だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。
中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。
とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。
高嶺の花。
そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。
だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。
しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。
それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。
他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。
存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。
両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。
拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。
そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。
それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。
イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。
付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる