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第12章 新婚旅行
第44話 新婚旅行(1)~出発~
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なんだかんだ日々を過ごしている内にいよいよ新婚旅行当日。
「じゃあ、行って来ます!お土産、期待しててね!」
「写真とか色々撮って来ますから」
旅の装いで玄関で義理の両親に挨拶。
「はーい。ゆっくり楽しんで来なさいねー」
「海外に行くのも貴重な経験だから、楽しんで来なさい」
そんな感じで見送られていよいよ自宅を出発。
「なんか、百合がキャリーバッグ引いてる姿は新鮮だな」
外はたいがい暑いので俺はカジュアルTシャツにデニムというラフな格好。
百合は白いTシャツに花柄のプリーツスカート。
「どう?似合う?」
くるりんとその場でターンしてみる百合はテンションが高い。
今日のために色々考えていたんだろうなと思うと微笑ましい。
「似合う似合う。よしよし」
普段は気ままな百合がなんだか子犬っぽく見えて髪の毛をわさわさと撫でてみる。
「ワン!」
子犬のフリだろうか。ノリがいい。
「お手」
手のひらを百合の前に差し出してみれば、
「ん」
握りこぶしを置いてくれる。
少しあざといけどいつもと違う可愛さがある。
百合なりに色々考えたんだろうか。
「というわけでご褒美、ご褒美」
ほんとにテンションが高い。しかし、ご褒美と言われても……。
そういうことか。
恋人繋ぎにすると、
「ふふー。よくわかったね?」
猫っぽい悪戯めいた瞳を向けて来る百合が可愛い。
「手の甲を見てたからな」
夫婦となって数か月。微妙な仕草から求めてることがわかるようにもなってきた。
「前もだけど修ちゃんには色々筒抜けだね」
少しだけ照れくさそうだけど、悪い気はしてないらしい。
「百合もなんだかんだで色々見てくれてるだろ」
なんとなく疲れてるなーという様子が見るやマッサージをしてくれたり。
こないだから以前よりもテキパキと行動してる感がある。
たぶんだけど、お義母さんに相談したらしい内容が関係してるんだろう。
「修ちゃんが頑張ってくれてるから、それくらいお嫁さんとして当然だよ」
なんて言いつつ、誉めて誉めてオーラが出ている。
「ま、それなら俺だって旦那として当然のことをしているだけだ」
テンション高いなと言いつつ俺自身のテンションが高い。
電車で最寄りの快速停車駅まで移動して、一路成田空港へ。
余談だけど成田空港はNRTと表記するらしい。
「どんどんキャリーバッグ持ってる人増えてきたね。海外旅行に行くのかな?」
「出張とかの人もいるんだろうけどな。カップルとか夫婦っぽい人も多いよな」
成田空港行きの快速列車だからか、スーツケースやキャリーバッグを持っている人をよく見る。一人の人はどうかわからないけど、子ども連れや男女一組のカップルあるいは夫婦はたぶん俺たちと同じような目的だろう。
「修ちゃん、私たちの関係は何?」
なんて考えていたら、じっと目を見つめて問いかけてきた。
なるほど、そういうことか。
「そりゃ夫婦で……親友でもあるかな」
言いつつ置かれた手をそっと握りしめる。
「満点」
言いつつ笑顔で肩を預けてくれる。可愛すぎる。
まだ飛行機に乗ってすらいないのにテンション上がりまくりだ。
周りのお客さんに白い目で見られてないよな。
と思ったけど、どちらかというと微笑ましい目で見られている気がする。
(若いっていいよねえ)
なんて声が聞こえてきそうなくらい。
幸い空調が効いていてクソ暑い夏だけど電車は快適。
しばらく、そんな陽気なムードの中いちゃついたのだった。
◇◇◇◇
「うわー。おっきい!」
「でか過ぎて迷いそうだ」
海外行きの発着場に到着した俺たちはその巨大さに感嘆の溜め息を漏らしていた。
「えーと、チェックインは……と」
確かデルタ航空という会社のカウンターだったはず。
しかし、ちょっと広すぎて迷う。
意を決してスタッフのお姉さんに聞いてみる。
「あのー、すいません。デルタ航空でチェックインをしたいんですが……」
「ああ。デルタ航空なら、あちらですよ」
遠くに見える「ΔDELTA」というロゴを指さされて納得。
「ありがとうございました」
「旅行、楽しんで来てくださいね」
にこやかにお辞儀をして去っていくお姉さん。
可愛いというより美人さんという感じだけど、さすがプロ。
「丁寧な人だな……」
と感想を漏らしていると、
「ふーん。修ちゃんはああいうお姉さんが好み?」
不機嫌そうな視線で見つめる百合に気づいてしまう。
えーと。
「いや。もちろん純粋にプロとして凄いなーって思っただけだぞ?」
加えて美人さんだなと思ったことは伏せておく。
「修ちゃんの視線がそれだけとは思えないんだけど?」
やはりどうも不機嫌な感じがする。
しかし、以前にこんな嫉妬をしてきたことがあっただろうか?
でも、百合が主張してくる以上は仕方がない。
「もちろん、美人さんだなーとは思ったけど俺は百合一筋だぞ」
「やっぱり美人だと思ってたんだ……」
「あーいえばこーいう」
こういう嫉妬のされ方は初めてで不覚にも可愛いと思ってしまう。
まさか。
「機嫌治して欲しい?」
やっぱりか。
「せっかくの新婚旅行で不機嫌になられたら困る」
「じゃあね。あそこの売店でソフトクリーム買って?」
ここまで来てさすがに百合の狙いに気づいた。
「いつの間にそんな妙な手練手管覚えたんだよ」
以前の百合はこんな真似はしなかったはず。
「それは私もちょっと色々勉強したからねー」
ふっふーんと誇らしげな百合だけどすぐに種明かしする辺り、遊びたかったのか。
「はいはい。可愛い可愛い」
「心が籠ってないー」
結局のところ。
嫉妬してみせて男心をくすぐるというやり口を試してみたかっただけらしい。
「修ちゃんの感想は?」
マイクを持つ仕草で顔に握りこぶしが近づけられる。
調子に乗ってるなーと思うけど、ぐっと来たのは事実で。
「認めるのは癪だけど……新鮮で可愛かった」
百合なりに新婚旅行にスパイスを加えようとしてくれているわけで。
それも含めて可愛らしい。
「じゃあ、これからもしてほしい?」
「あまり頻繁にやられるとびっくりするから。たまになら」
「了解!たまに、ね」
じゃれ合いを経てなんとか空港の無人カウンターでチェックイン。
百合ご所望のぶどうソフトクリームを買って搭乗口最寄りの座席で飛行機を待つ。
「長旅になりそうだね」
「飛行機で夜を超すとか初めてだよな。果たして寝られるか」
「それも旅行の醍醐味だよ」
「ま、そうか」
結局、シンガポール経由でのロンドン行きの便でかかる時間は合計20時間程。
シンガポールの空港での待ち時間が少々長いのがネックだ。
でも、百合も言うようにそれも旅行の醍醐味かもしれない。
ロンドンに行ったらあれをしようこれをしようと話している間に時間は過ぎ。
いよいよエコノミー席で登場する組が案内される。
「ファーストクラスって凄いよね。一度乗ってみたいなー」
「滅茶苦茶高いだろ」
値段を調べたところ今回の場合100万超え。
交通費にそれだけ出すなんて本当の大金持ちにならないと辛いだろう。
「社会人になってからコツコツ貯めたらいつか行けるよ」
というのに、百合は楽観的だ。
「そんなにファーストクラス乗りたいのか?」
「ううん。でも、ファーストクラスってワクワクするから」
持ち前の好奇心の高さは相変わらずか。
仕方ない。いつかそんな体験が出来るようにまたコツコツお金を貯めておこう。
そうしたら、きっと喜んでくれるだろうから。
座席に座っていると救命胴衣やらなにやら色々な説明が流れる。
幸いなことに、機内でもインターネットが使えるらしい。
「これなら機内でも退屈しなさそうだ」
エコノミー席というのは実際に乗ってみると想像以上に窮屈だ。
Webサイトのアドバイス通り色々暇つぶしは持ち込んだものの少し不安だった。
でも、インターネットが使えるならなんとかなりそうだ。
「あんまり修ちゃんとおしゃべりも無理そうだし」
周りを見渡すと総じて乗客は皆静かだ。
あんまり雑談をするのもきっと迷惑になるだろう。
静かにネットで動画を見たりするのがベストか。
そして、いよいよ飛行機が滑走路を走り出す。
「わあ……!いよいよ走り出したね!」
窓際席の百合は外を見てはしゃぎ気味だ。
俺が窓際の席じゃないのが少し残念だけど百合が喜ぶならいいか。
なんて思っていたら、百合の手が絡められる。
一瞬、こちらをちらっと向いたと思ったら、
(飛行機の旅、楽しもうね)
笑顔でつぶやく声が耳元に聞こえたのだった。
こうして現地で三泊四日。
飛行機を含めると五泊六日の旅が始まった。
「じゃあ、行って来ます!お土産、期待しててね!」
「写真とか色々撮って来ますから」
旅の装いで玄関で義理の両親に挨拶。
「はーい。ゆっくり楽しんで来なさいねー」
「海外に行くのも貴重な経験だから、楽しんで来なさい」
そんな感じで見送られていよいよ自宅を出発。
「なんか、百合がキャリーバッグ引いてる姿は新鮮だな」
外はたいがい暑いので俺はカジュアルTシャツにデニムというラフな格好。
百合は白いTシャツに花柄のプリーツスカート。
「どう?似合う?」
くるりんとその場でターンしてみる百合はテンションが高い。
今日のために色々考えていたんだろうなと思うと微笑ましい。
「似合う似合う。よしよし」
普段は気ままな百合がなんだか子犬っぽく見えて髪の毛をわさわさと撫でてみる。
「ワン!」
子犬のフリだろうか。ノリがいい。
「お手」
手のひらを百合の前に差し出してみれば、
「ん」
握りこぶしを置いてくれる。
少しあざといけどいつもと違う可愛さがある。
百合なりに色々考えたんだろうか。
「というわけでご褒美、ご褒美」
ほんとにテンションが高い。しかし、ご褒美と言われても……。
そういうことか。
恋人繋ぎにすると、
「ふふー。よくわかったね?」
猫っぽい悪戯めいた瞳を向けて来る百合が可愛い。
「手の甲を見てたからな」
夫婦となって数か月。微妙な仕草から求めてることがわかるようにもなってきた。
「前もだけど修ちゃんには色々筒抜けだね」
少しだけ照れくさそうだけど、悪い気はしてないらしい。
「百合もなんだかんだで色々見てくれてるだろ」
なんとなく疲れてるなーという様子が見るやマッサージをしてくれたり。
こないだから以前よりもテキパキと行動してる感がある。
たぶんだけど、お義母さんに相談したらしい内容が関係してるんだろう。
「修ちゃんが頑張ってくれてるから、それくらいお嫁さんとして当然だよ」
なんて言いつつ、誉めて誉めてオーラが出ている。
「ま、それなら俺だって旦那として当然のことをしているだけだ」
テンション高いなと言いつつ俺自身のテンションが高い。
電車で最寄りの快速停車駅まで移動して、一路成田空港へ。
余談だけど成田空港はNRTと表記するらしい。
「どんどんキャリーバッグ持ってる人増えてきたね。海外旅行に行くのかな?」
「出張とかの人もいるんだろうけどな。カップルとか夫婦っぽい人も多いよな」
成田空港行きの快速列車だからか、スーツケースやキャリーバッグを持っている人をよく見る。一人の人はどうかわからないけど、子ども連れや男女一組のカップルあるいは夫婦はたぶん俺たちと同じような目的だろう。
「修ちゃん、私たちの関係は何?」
なんて考えていたら、じっと目を見つめて問いかけてきた。
なるほど、そういうことか。
「そりゃ夫婦で……親友でもあるかな」
言いつつ置かれた手をそっと握りしめる。
「満点」
言いつつ笑顔で肩を預けてくれる。可愛すぎる。
まだ飛行機に乗ってすらいないのにテンション上がりまくりだ。
周りのお客さんに白い目で見られてないよな。
と思ったけど、どちらかというと微笑ましい目で見られている気がする。
(若いっていいよねえ)
なんて声が聞こえてきそうなくらい。
幸い空調が効いていてクソ暑い夏だけど電車は快適。
しばらく、そんな陽気なムードの中いちゃついたのだった。
◇◇◇◇
「うわー。おっきい!」
「でか過ぎて迷いそうだ」
海外行きの発着場に到着した俺たちはその巨大さに感嘆の溜め息を漏らしていた。
「えーと、チェックインは……と」
確かデルタ航空という会社のカウンターだったはず。
しかし、ちょっと広すぎて迷う。
意を決してスタッフのお姉さんに聞いてみる。
「あのー、すいません。デルタ航空でチェックインをしたいんですが……」
「ああ。デルタ航空なら、あちらですよ」
遠くに見える「ΔDELTA」というロゴを指さされて納得。
「ありがとうございました」
「旅行、楽しんで来てくださいね」
にこやかにお辞儀をして去っていくお姉さん。
可愛いというより美人さんという感じだけど、さすがプロ。
「丁寧な人だな……」
と感想を漏らしていると、
「ふーん。修ちゃんはああいうお姉さんが好み?」
不機嫌そうな視線で見つめる百合に気づいてしまう。
えーと。
「いや。もちろん純粋にプロとして凄いなーって思っただけだぞ?」
加えて美人さんだなと思ったことは伏せておく。
「修ちゃんの視線がそれだけとは思えないんだけど?」
やはりどうも不機嫌な感じがする。
しかし、以前にこんな嫉妬をしてきたことがあっただろうか?
でも、百合が主張してくる以上は仕方がない。
「もちろん、美人さんだなーとは思ったけど俺は百合一筋だぞ」
「やっぱり美人だと思ってたんだ……」
「あーいえばこーいう」
こういう嫉妬のされ方は初めてで不覚にも可愛いと思ってしまう。
まさか。
「機嫌治して欲しい?」
やっぱりか。
「せっかくの新婚旅行で不機嫌になられたら困る」
「じゃあね。あそこの売店でソフトクリーム買って?」
ここまで来てさすがに百合の狙いに気づいた。
「いつの間にそんな妙な手練手管覚えたんだよ」
以前の百合はこんな真似はしなかったはず。
「それは私もちょっと色々勉強したからねー」
ふっふーんと誇らしげな百合だけどすぐに種明かしする辺り、遊びたかったのか。
「はいはい。可愛い可愛い」
「心が籠ってないー」
結局のところ。
嫉妬してみせて男心をくすぐるというやり口を試してみたかっただけらしい。
「修ちゃんの感想は?」
マイクを持つ仕草で顔に握りこぶしが近づけられる。
調子に乗ってるなーと思うけど、ぐっと来たのは事実で。
「認めるのは癪だけど……新鮮で可愛かった」
百合なりに新婚旅行にスパイスを加えようとしてくれているわけで。
それも含めて可愛らしい。
「じゃあ、これからもしてほしい?」
「あまり頻繁にやられるとびっくりするから。たまになら」
「了解!たまに、ね」
じゃれ合いを経てなんとか空港の無人カウンターでチェックイン。
百合ご所望のぶどうソフトクリームを買って搭乗口最寄りの座席で飛行機を待つ。
「長旅になりそうだね」
「飛行機で夜を超すとか初めてだよな。果たして寝られるか」
「それも旅行の醍醐味だよ」
「ま、そうか」
結局、シンガポール経由でのロンドン行きの便でかかる時間は合計20時間程。
シンガポールの空港での待ち時間が少々長いのがネックだ。
でも、百合も言うようにそれも旅行の醍醐味かもしれない。
ロンドンに行ったらあれをしようこれをしようと話している間に時間は過ぎ。
いよいよエコノミー席で登場する組が案内される。
「ファーストクラスって凄いよね。一度乗ってみたいなー」
「滅茶苦茶高いだろ」
値段を調べたところ今回の場合100万超え。
交通費にそれだけ出すなんて本当の大金持ちにならないと辛いだろう。
「社会人になってからコツコツ貯めたらいつか行けるよ」
というのに、百合は楽観的だ。
「そんなにファーストクラス乗りたいのか?」
「ううん。でも、ファーストクラスってワクワクするから」
持ち前の好奇心の高さは相変わらずか。
仕方ない。いつかそんな体験が出来るようにまたコツコツお金を貯めておこう。
そうしたら、きっと喜んでくれるだろうから。
座席に座っていると救命胴衣やらなにやら色々な説明が流れる。
幸いなことに、機内でもインターネットが使えるらしい。
「これなら機内でも退屈しなさそうだ」
エコノミー席というのは実際に乗ってみると想像以上に窮屈だ。
Webサイトのアドバイス通り色々暇つぶしは持ち込んだものの少し不安だった。
でも、インターネットが使えるならなんとかなりそうだ。
「あんまり修ちゃんとおしゃべりも無理そうだし」
周りを見渡すと総じて乗客は皆静かだ。
あんまり雑談をするのもきっと迷惑になるだろう。
静かにネットで動画を見たりするのがベストか。
そして、いよいよ飛行機が滑走路を走り出す。
「わあ……!いよいよ走り出したね!」
窓際席の百合は外を見てはしゃぎ気味だ。
俺が窓際の席じゃないのが少し残念だけど百合が喜ぶならいいか。
なんて思っていたら、百合の手が絡められる。
一瞬、こちらをちらっと向いたと思ったら、
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