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119.学園祭です(アーサーと花火を見ました)

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お兄様とのデートのあと、私たちは食堂でネクスさんのお手伝い兼、味見役をして夕方まで大忙しだったわ。だってお話もそこそこに皆さん食べるわ食べるわ…。花より団子だったかしら?まさにそんな感じだったわね。

鐘が鳴り響き、花火が十分後にあげられる時間になってやっと皆さんも食堂から庭園に出て行かれたわ。あー疲れた。料理が美味しすぎるのも問題ね。ルーサ様とネクスさんとお兄様はここで休憩する方がいいと言われて私とアーサーだけが外に行ったのだけど人だらけね。アーサーが、
「マリー空中散歩しようか?」
ってよく分からないことを言い出して、
「よく分からないけど楽しそうね。お願いするわ。」
って頼んだら体がふわって浮かんでそんなに高くはないけど人の頭の上を歩いて行く感じで、スカートの中が見えないか心配したら、
「認識誤認の魔法をかけてあるから安心して。」って言われたわ。そうよね、自分の頭のすぐ上を歩かれるのは嫌よね…。

それからすぐに花火が上がって、黄色に赤にピンクに青に緑、色とりどりの花が夜空に咲いて綺麗だったわ。あの消えていく瞬間も儚いけど綺麗なのよね。アーサーが、
「ねぇ、マリー、結婚式は卒園してすぐにやるんじゃなくて、マルクのお手伝いを一年やってからにしない?マリーずっと心配しているでしょ?それに、母上の体調もまだ万全じゃないしね。どうだろう?できれば結婚届だけは先に出したいんだけど?だめかな?」
「アーサーありがとう。私もそう思っていたの。色々な人を呼びたくてもサーシャのことが終わってすぐだし、その後のお仕事もしばらくはあるでしょうから、ルナやルーサ様たちも呼びづらいなって思っていたの。私も結婚届は出したいけど、式は遅らせましょう。まだ、ドレスも見始めたばかりで、なにも決めていないし、場所もまだ確定はしていないから丁度いいわよね。お父様もいまはまだサーシャのことで忙しそうだし、お父様とお母様にも伝えましょう。」

「マリーが賛成してくれて良かったよ。でも届を出したら僕の奥さんだからね。僕はもっと、マリーに執着するよ。もう公爵邸のなかでは離さないからね。膝枕も沢山して欲しいし、食べさせ合いっこもしたいし、毎日くっついて寝たいし、やりたいことがいっぱいだよ。ああ、いまから楽しみで顔がにやけちゃうよ。お風呂も一緒に入ろうね。」
「お。お風呂…。」
ぷしゅーって頭の上から聞こえた気がしたわ。
「マリーは十歳になったら突然一緒に入ってくれなくなったじゃない?僕は淋しかったんだよ。」
アーサー…私は恥ずかしかったのよ。
「匂いも一日一回はもう嫌だし、全部マリーのことは僕が知っておきたいんだ。」
どうしましょう…。大好きなアーサーがおかしな方向に成長してしまったような気がするわ。花火が段々目に入らなくなってきたわ。

「アーサーのこと大好きよ。私ももちろんずっと一緒にいたいけど、恥ずかしいから少しずつ増やしていってね。」
「うん、分かったよ。少しずつ増やすと約束するよ。マリーは照れ屋さんだものね。」
良かったわ。アーサーが約束してくれて、そうしないと心臓がもたないもの。
「でもマリー、気持ちを伝えるのはいいよね?」
「えっ?もちろん、私も伝えたいし、いいわよ。」
「良かった。あのねマリー、君の髪が揺れる度に信じられない程いい香りがするんだよ。いつの頃からかそれはもういい香りで、香水の香りじゃないんだよ。マリーの香りなの。それを嗅ぐと僕はマリーを抱きしめたくなってそれを抑えるのに必死で、もし他の男の子にもばれて、マリーが襲われたらどうしようかと真剣に悩んだんだよ。それからしばらくしたら、君が微笑むと周りがきらきらと光輝くようになって、あまりの美しさに、僕の心臓は何度も止まりかけたよ。それから……」

「アーサーもう分かったから、止まって、もう十分よ。今度は私にも言わせて。」
とてもじゃないけど私の心臓がもたないわよ。
「アーサーに抱きしめられると、アーサーからも安心する匂いがするのよ、私が大好きな匂いよ。それに、アーサーは鍛えているから体ががっしりしていてカッコいいなっていつも思っているわ。デビュタントの日にアーサーのことをうっとり見ていたご令嬢が多すぎてめちゃくちゃ冷や冷やしたのよ。後日学園で私のアーサーですからねって実は言っちゃったの、ごめんなさい…。」
「そんなやきもち焼いてくれていたの嬉しいよ。。実は僕もマリーに近づこうとしている男の子からこっそり、認識魔法でマリーを隠したり色々やってたんだ、ごめんね。」
「それはなんとなく分かっていたわ。みんなが私が消えるって言っていたのが聞こえていたから…。」

「ふふふ、マリーもうすぐ最後の花火が上がるよ。一緒に何か願い事しない?」
「いいわね。私はもう決まっているけど、アーサーはどう?」
「たぶん一緒だよね。せーので言おうか。」
「ええ、いいわよ。」
「「せーの!ずっと一緒にいられますように。」」
やっぱりこれしかないわよね。すぐに最後の花火が上がって、私たちは微笑みながら手を繋いでこの願いを言ったわ。

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