麗しの勘違い令嬢と不器用で猛獣のような騎士団長様の純愛物語?!

miyoko

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1.前世を思い出しました

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この国の宰相であるお父様とパーティー会場に向かう馬車の中、私は突然前世の記憶を思い出したわ。いまはこの国一番の美少女と言われる私は、前世では平凡すぎるOLだったの。顔も普通、体系はややぽっちゃり、背もそこそこ、運動は苦手、勉強も得意ではない、だからと言って馬鹿でもない。もともと目立たないから存在を消す必要のないOL。そんな私が唯一楽しみにしていたのが筋肉を愛でること。ボディビルほどじゃなくてもいいの。工事現場のお兄様の砂袋を軽々と運ぶ腕を見て、にやにやしながら頭の中では私もひょいっと持ち上げて欲しいわと思っているような女の子。せっかく、美少女に生まれ変わったのだから、私の理想の男性と結婚したいけど、そもそも私の周りには筋肉質の男性がほとんどいない気がする。唯一ドストライクの理想の方がいるにはいるけど…カルロス様は女性嫌いだというし、絶対に筋肉質の理想の結婚相手を見つけるわよ。そんなことを考えていたらお父様に呼ばれていることに気が付かなくて心配させてしまったわ。
「ロザリーどうしたんだい?体の調子が悪いんじゃないのかい?」
「いえ、少し考え事をしておりまして…お父様、お父様は近衛騎士団長のカルロス様とはお知合いですか?」
「近衛騎士団長のカルロス?もちろんよく知っているが、彼がどうかしたのかい?」

そうよね、いままで一度も男性に興味を持たずに、お父様が持ってきてくださる釣書にも全く興味がなかったのに急に男性の名前が出てきたらびっくりするわよね。
「お父様、実は私の好みの男性がカルロス様なのです。でも、話によりますとカルロス様は女性嫌いだと聞いたことがあります。ですからカルロス様に誰か紹介していただけないかと思いまして。」
「なんだって、ロザリーの好みがよりによってあの猛獣だって。」
「お父様そんな悲しい言い方おやめください。」
「ロザリーごめんよ。そんな悲しい顔をしないでおくれ、お父様が悪かったよ。そうだね、人の好みは様々だ、それに彼はまじめでいい青年だよ。」
「そうですか。それにしても、なぜ女性嫌いになられたのでしょう?」
「それは、たぶん、その、彼の容姿のせいではないだろうか…。」
「えっ?容姿?」
「ロザリーの好みの男性はこの国では一般的に怖がられているだろう。」
「なんてことでしょう。それが原因だなんて。」
「ロザリー、頼むから悲しまないでおくれ、お前のうるんだ瞳を見ると、お前の亡くなったお母様が泣いているようで胸が苦しくなるんだよ。」
「お父様、心配させてごめんなさい。私はびっくりしただけなのですが、五歳の時に亡くなられたお母様のことはいまでも思い出すと涙が出てきます。あんなに優しいお母様が礼拝堂の帰りに誘拐犯に殺されるなんて…。私はどんな時でも私を守ってくださる頼れる男性と結婚したいのです。」

「そうだったんだね。ロザリーの気持ちは分かったよ。お父様はロザリーを全力で応援すると誓うよ。」
「お父様やっぱり大好きです。」
あらら、ものすごく真っ赤になってしまったわ。お父様はとてもハンサムでオモテになるんだけど細身なのが残念ね。
「分かっているよ。ロザリーは私の可愛い娘だからね。どおりで、いままで私の用意した釣書に見向きもしなかったはずだね。カルロス君と比べたら、みんな細くて弱そうに見えるからね。」
「ええ、お父様、絵姿を見ただけで、がっかりですわ。近衛騎士団の方々の絵姿もあったように思いますがどの方もすらっとされていたように思います。」
「そうだろうね。私の知る限りではカルロス君のような男性はいないから、ロザリーが気に入る男性を国中探してみよう。」
「お父様、そこまではちょっとお待ちください。まずはカルロス様に親族の方に屈強な体躯の男性がいないか聞いてみますので。」
「カルロス君と話すのかい?」
「もちろんです、お父様。お父様もいつもおしゃっているではありませんか?大切なことはこの目で確かめることと。」
「そうだね。では、今日のパーティーで、話せるようにしてあげよう。必ず国王陛下の後ろに彼はいるからね。ロザリーの為にちょっと借りてきてあげるよ。」
「頼りにしています。でも不敬にならない範囲でお願いしますね。」
「ああ、大丈夫だよ。あのタヌキは私がいなければ身内すら守れないんだからね。」
「・・・・。」
すでに不敬だと思ったけれど、お父様はこの国の宰相様、そしてお母様は国王陛下の妹君だったから、たぶんとても仲がよろしいんでしょうね。お母様が誘拐されたのは王宮の近くの礼拝堂。犯人は国王陛下に対して、恨みを持つ者のだったと聞いているわ。そしてその時お父様は国王陛下の指示のもと隣国に行っていたらしいの。お父様はお母様を連れて行かなかったことをいまでも後悔しているの。だからお母様が亡くなられてからは私はお父様の行くところには、ほとんどついて行っているわ。もちろんお仕事のお部屋には入らないけど、隣の部屋で侍女のエマといつも過ごしてきたわ。だからお友達はクレアくらいかしら?いつも声をかけてきては、嫌味ばかり言ってくるイザベラっていう変わった子もいるけど、あの子はお友達ではないわよね?


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