1 / 41
1.前世を思い出しました
しおりを挟む
この国の宰相であるお父様とパーティー会場に向かう馬車の中、私は突然前世の記憶を思い出したわ。いまはこの国一番の美少女と言われる私は、前世では平凡すぎるOLだったの。顔も普通、体系はややぽっちゃり、背もそこそこ、運動は苦手、勉強も得意ではない、だからと言って馬鹿でもない。もともと目立たないから存在を消す必要のないOL。そんな私が唯一楽しみにしていたのが筋肉を愛でること。ボディビルほどじゃなくてもいいの。工事現場のお兄様の砂袋を軽々と運ぶ腕を見て、にやにやしながら頭の中では私もひょいっと持ち上げて欲しいわと思っているような女の子。せっかく、美少女に生まれ変わったのだから、私の理想の男性と結婚したいけど、そもそも私の周りには筋肉質の男性がほとんどいない気がする。唯一ドストライクの理想の方がいるにはいるけど…カルロス様は女性嫌いだというし、絶対に筋肉質の理想の結婚相手を見つけるわよ。そんなことを考えていたらお父様に呼ばれていることに気が付かなくて心配させてしまったわ。
「ロザリーどうしたんだい?体の調子が悪いんじゃないのかい?」
「いえ、少し考え事をしておりまして…お父様、お父様は近衛騎士団長のカルロス様とはお知合いですか?」
「近衛騎士団長のカルロス?もちろんよく知っているが、彼がどうかしたのかい?」
そうよね、いままで一度も男性に興味を持たずに、お父様が持ってきてくださる釣書にも全く興味がなかったのに急に男性の名前が出てきたらびっくりするわよね。
「お父様、実は私の好みの男性がカルロス様なのです。でも、話によりますとカルロス様は女性嫌いだと聞いたことがあります。ですからカルロス様に誰か紹介していただけないかと思いまして。」
「なんだって、ロザリーの好みがよりによってあの猛獣だって。」
「お父様そんな悲しい言い方おやめください。」
「ロザリーごめんよ。そんな悲しい顔をしないでおくれ、お父様が悪かったよ。そうだね、人の好みは様々だ、それに彼はまじめでいい青年だよ。」
「そうですか。それにしても、なぜ女性嫌いになられたのでしょう?」
「それは、たぶん、その、彼の容姿のせいではないだろうか…。」
「えっ?容姿?」
「ロザリーの好みの男性はこの国では一般的に怖がられているだろう。」
「なんてことでしょう。それが原因だなんて。」
「ロザリー、頼むから悲しまないでおくれ、お前のうるんだ瞳を見ると、お前の亡くなったお母様が泣いているようで胸が苦しくなるんだよ。」
「お父様、心配させてごめんなさい。私はびっくりしただけなのですが、五歳の時に亡くなられたお母様のことはいまでも思い出すと涙が出てきます。あんなに優しいお母様が礼拝堂の帰りに誘拐犯に殺されるなんて…。私はどんな時でも私を守ってくださる頼れる男性と結婚したいのです。」
「そうだったんだね。ロザリーの気持ちは分かったよ。お父様はロザリーを全力で応援すると誓うよ。」
「お父様やっぱり大好きです。」
あらら、ものすごく真っ赤になってしまったわ。お父様はとてもハンサムでオモテになるんだけど細身なのが残念ね。
「分かっているよ。ロザリーは私の可愛い娘だからね。どおりで、いままで私の用意した釣書に見向きもしなかったはずだね。カルロス君と比べたら、みんな細くて弱そうに見えるからね。」
「ええ、お父様、絵姿を見ただけで、がっかりですわ。近衛騎士団の方々の絵姿もあったように思いますがどの方もすらっとされていたように思います。」
「そうだろうね。私の知る限りではカルロス君のような男性はいないから、ロザリーが気に入る男性を国中探してみよう。」
「お父様、そこまではちょっとお待ちください。まずはカルロス様に親族の方に屈強な体躯の男性がいないか聞いてみますので。」
「カルロス君と話すのかい?」
「もちろんです、お父様。お父様もいつもおしゃっているではありませんか?大切なことはこの目で確かめることと。」
「そうだね。では、今日のパーティーで、話せるようにしてあげよう。必ず国王陛下の後ろに彼はいるからね。ロザリーの為にちょっと借りてきてあげるよ。」
「頼りにしています。でも不敬にならない範囲でお願いしますね。」
「ああ、大丈夫だよ。あのタヌキは私がいなければ身内すら守れないんだからね。」
「・・・・。」
すでに不敬だと思ったけれど、お父様はこの国の宰相様、そしてお母様は国王陛下の妹君だったから、たぶんとても仲がよろしいんでしょうね。お母様が誘拐されたのは王宮の近くの礼拝堂。犯人は国王陛下に対して、恨みを持つ者のだったと聞いているわ。そしてその時お父様は国王陛下の指示のもと隣国に行っていたらしいの。お父様はお母様を連れて行かなかったことをいまでも後悔しているの。だからお母様が亡くなられてからは私はお父様の行くところには、ほとんどついて行っているわ。もちろんお仕事のお部屋には入らないけど、隣の部屋で侍女のエマといつも過ごしてきたわ。だからお友達はクレアくらいかしら?いつも声をかけてきては、嫌味ばかり言ってくるイザベラっていう変わった子もいるけど、あの子はお友達ではないわよね?
「ロザリーどうしたんだい?体の調子が悪いんじゃないのかい?」
「いえ、少し考え事をしておりまして…お父様、お父様は近衛騎士団長のカルロス様とはお知合いですか?」
「近衛騎士団長のカルロス?もちろんよく知っているが、彼がどうかしたのかい?」
そうよね、いままで一度も男性に興味を持たずに、お父様が持ってきてくださる釣書にも全く興味がなかったのに急に男性の名前が出てきたらびっくりするわよね。
「お父様、実は私の好みの男性がカルロス様なのです。でも、話によりますとカルロス様は女性嫌いだと聞いたことがあります。ですからカルロス様に誰か紹介していただけないかと思いまして。」
「なんだって、ロザリーの好みがよりによってあの猛獣だって。」
「お父様そんな悲しい言い方おやめください。」
「ロザリーごめんよ。そんな悲しい顔をしないでおくれ、お父様が悪かったよ。そうだね、人の好みは様々だ、それに彼はまじめでいい青年だよ。」
「そうですか。それにしても、なぜ女性嫌いになられたのでしょう?」
「それは、たぶん、その、彼の容姿のせいではないだろうか…。」
「えっ?容姿?」
「ロザリーの好みの男性はこの国では一般的に怖がられているだろう。」
「なんてことでしょう。それが原因だなんて。」
「ロザリー、頼むから悲しまないでおくれ、お前のうるんだ瞳を見ると、お前の亡くなったお母様が泣いているようで胸が苦しくなるんだよ。」
「お父様、心配させてごめんなさい。私はびっくりしただけなのですが、五歳の時に亡くなられたお母様のことはいまでも思い出すと涙が出てきます。あんなに優しいお母様が礼拝堂の帰りに誘拐犯に殺されるなんて…。私はどんな時でも私を守ってくださる頼れる男性と結婚したいのです。」
「そうだったんだね。ロザリーの気持ちは分かったよ。お父様はロザリーを全力で応援すると誓うよ。」
「お父様やっぱり大好きです。」
あらら、ものすごく真っ赤になってしまったわ。お父様はとてもハンサムでオモテになるんだけど細身なのが残念ね。
「分かっているよ。ロザリーは私の可愛い娘だからね。どおりで、いままで私の用意した釣書に見向きもしなかったはずだね。カルロス君と比べたら、みんな細くて弱そうに見えるからね。」
「ええ、お父様、絵姿を見ただけで、がっかりですわ。近衛騎士団の方々の絵姿もあったように思いますがどの方もすらっとされていたように思います。」
「そうだろうね。私の知る限りではカルロス君のような男性はいないから、ロザリーが気に入る男性を国中探してみよう。」
「お父様、そこまではちょっとお待ちください。まずはカルロス様に親族の方に屈強な体躯の男性がいないか聞いてみますので。」
「カルロス君と話すのかい?」
「もちろんです、お父様。お父様もいつもおしゃっているではありませんか?大切なことはこの目で確かめることと。」
「そうだね。では、今日のパーティーで、話せるようにしてあげよう。必ず国王陛下の後ろに彼はいるからね。ロザリーの為にちょっと借りてきてあげるよ。」
「頼りにしています。でも不敬にならない範囲でお願いしますね。」
「ああ、大丈夫だよ。あのタヌキは私がいなければ身内すら守れないんだからね。」
「・・・・。」
すでに不敬だと思ったけれど、お父様はこの国の宰相様、そしてお母様は国王陛下の妹君だったから、たぶんとても仲がよろしいんでしょうね。お母様が誘拐されたのは王宮の近くの礼拝堂。犯人は国王陛下に対して、恨みを持つ者のだったと聞いているわ。そしてその時お父様は国王陛下の指示のもと隣国に行っていたらしいの。お父様はお母様を連れて行かなかったことをいまでも後悔しているの。だからお母様が亡くなられてからは私はお父様の行くところには、ほとんどついて行っているわ。もちろんお仕事のお部屋には入らないけど、隣の部屋で侍女のエマといつも過ごしてきたわ。だからお友達はクレアくらいかしら?いつも声をかけてきては、嫌味ばかり言ってくるイザベラっていう変わった子もいるけど、あの子はお友達ではないわよね?
8
あなたにおすすめの小説
【完結】ヤンデレ乙女ゲームの転生ヒロインは、囮を差し出して攻略対象を回避する。はずが、隣国の王子様にばれてしまいました(詰み)
瀬里@SMARTOON8/31公開予定
恋愛
ヤンデレだらけの乙女ゲームに転生してしまったヒロイン、アシュリー。周りには、攻略対象のヤンデレ達が勢ぞろい。
しかし、彼女は、実現したい夢のために、何としても攻略対象を回避したいのだ。
そこで彼女は、ヤンデレ攻略対象を回避する妙案を思いつく。
それは、「ヒロイン養成講座」で攻略対象好みの囮(私のコピー)を養成して、ヤンデレたちに差し出すこと。(もちろん希望者)
しかし、そこへ隣国からきた第五王子様にこの活動がばれてしまった!!
王子は、黙っている代償に、アシュリーに恋人契約を要求してきて!?
全14話です+番外編4話
脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。
石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。
ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。
そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。
真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
助けた騎士団になつかれました。
藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。
しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。
一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。
☆本編完結しました。ありがとうございました!☆
番外編①~2020.03.11 終了
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる