5 / 41
5.お出迎えの準備は大変です
しおりを挟む
「お嬢様起きてください。おはようございます。」
「おはよう。エマ起こしてくれてありがとう。」
「さぁ湯浴みに行きましょうね。」
「えっ、湯浴み?」
「そうですよ、お嬢様は昨日パーティーから帰られて、私に一生懸命その麗しい表情でお話されながら寝落ちされてしまったのですよ。」
「うっ、その言い方はどうかと思うけど、寝落ちしたのは思い出したわ。令嬢として恥ずかしいわ。」
「いいのですよ、朝からお嬢様の湯浴みができるのは、エマには至福の喜びですから。」
「…。エマは私に優しすぎるわ。でも外が暗いように思うのだけど気のせいかしら?」
「この時間でないと間に合わないのです。さぁ、お嬢様起きましょう。眠ければ湯浴み中に寝てください。」
「そうなのね。それは申し訳ないから頑張って起きているわ。」
それからなんと三時間のフルコースの湯浴みをされて、結局途中から寝てしまったの。
エマの本気度を見た気がするわ。私も頑張らなくっちゃね。湯浴みが終わって食事に向かうとまだ八時だったわ。それからゆっくり朝食を食べようとしたら、
「お嬢様、今日だけは少しだけお急ぎくださいね。」
と言われてじっと見られていたら食べれなくなって…結局フルーツだけにしたわ。エマにはお利口さんですねって褒められたけど、私はもう十八歳よ。結婚できる年齢よ。この国の女性は十五歳から結婚できるんですからね。そしてほとんどの女性が十八から二十歳までにするのよね。だけど沢山食べなくて良かったかもしれないわ。さっきからコルセットをぎゅうぎゅうと容赦なく締めあげられて苦しくて苦しくて大変なの。
「エ、エマ、もう少しお手柔らかにお願いできないかしら?」
「お嬢様、今日が勝負なのですよ!せめてもう少し前にお嬢様が今日のことをお伝えしてくださっていたらこんなに大変なことにはならなかったはずです。」
「そうだったわね。前日の夜に言った私が悪かったわ。厨房の皆さんにもあとで謝らないといけないわね。庭師のドリーさんにも謝らないと…。」
「それはいいのです、皆、喜んでやっているのですから、ただお嬢様にも頑張ってもらわないといけません。」
「分かったわ。エマ、お願いするわ。」
「もちろんです。さぁここからはその道のプロを呼んでおります。」
「その道のプロ?」
「まずは衣装からですよ。」
これは大変なことをお願いしてしまった気がするわ。それから私はカルロス様の真っ赤な髪色のドレスに、カルロス様の瞳の色によく似た紫色のネックレスを付けて、長い髪はヘアリストさんにより絶妙な緩さで巻かれ、メイクに関しては、付けているかどうかわからない感じなのに、たしかに大人っぽく仕上がっているわ…流石プロだわ。
これで終わりかと思ったら、フットケアとハンドケアを挟んでネイリストさんが来て爪が真っ赤に…。これはやりすぎではないかしら?誰に聞いても麗しいとか、美しいとか、まさに国宝としか言ってくれないから諦めたわ。
すべてが終わったのは正午の鐘が鳴った頃で私のお腹は空いてるのにコルセットのせいで空いていないような微妙な状態でお父様にもこの格好を見て欲しかったから、オレンジジュースだけ飲みに食堂に行ったわ。
「お父様、どうですか?」
どうしましょう。お父様が固まってしまったわ。やはり、やり過ぎだったんだわ。
「お父様やはり派手過ぎましたか?」
「ロザリー何を言っているんだい?素晴らしいよ!まるでマリアがいるみたいだ。」
「お母様が…。」
たしかに私の容姿は瞳の色以外はお母様にそっくりと言われているけど、お母様はピンク色の瞳でとても綺麗だったわ。
「お綺麗だったお母様に似ているなんて言われたら自信が持てましたわ。お父様ありがとうございました。」
「ああ、誰にも見せたくないくらいだ。本当に綺麗だよ。」
それからお父様と私はいままでなんとなく話せなくなっていた懐かしいお母様のお話をして、お父様とお母様の馴れ初めまで聞かせていただいたわ。お父様と国王陛下が幼馴染で、小さい頃からお父様の後ろをよくついてきたお母様に五歳の時にいきなり大きくなったら結婚して欲しいと言われたんだとか、びっくりしたのは前国王陛下でお父様に王宮に来ないように命じたんだけど、お母様が食事を食べなくなり根負けした前国王陛下がお父様にお願いして王宮に通うようになって一件落着したらしいわ。あのお綺麗だったお母様がなかなかやるわね。
「ロザリー、でもね、お父様の方が本当はずっと前からお母様のことが好きだったんだよ。だってお父様は生まれたばかりのお母様を見て一目惚れしていたんだからね。結局マリアに伝えることはできなかったけどね。」
「お父様それは伝えなくて良かったと思いますわ。私とお父様の秘密にしておきましょう。流石に赤ちゃんは早すぎますもの。」
「そうかい。マリアに言わなくて良かったよ。」
お父様が微笑んでくださったわ。
私も負けてはいられないわ。頑張るわよ。
「おはよう。エマ起こしてくれてありがとう。」
「さぁ湯浴みに行きましょうね。」
「えっ、湯浴み?」
「そうですよ、お嬢様は昨日パーティーから帰られて、私に一生懸命その麗しい表情でお話されながら寝落ちされてしまったのですよ。」
「うっ、その言い方はどうかと思うけど、寝落ちしたのは思い出したわ。令嬢として恥ずかしいわ。」
「いいのですよ、朝からお嬢様の湯浴みができるのは、エマには至福の喜びですから。」
「…。エマは私に優しすぎるわ。でも外が暗いように思うのだけど気のせいかしら?」
「この時間でないと間に合わないのです。さぁ、お嬢様起きましょう。眠ければ湯浴み中に寝てください。」
「そうなのね。それは申し訳ないから頑張って起きているわ。」
それからなんと三時間のフルコースの湯浴みをされて、結局途中から寝てしまったの。
エマの本気度を見た気がするわ。私も頑張らなくっちゃね。湯浴みが終わって食事に向かうとまだ八時だったわ。それからゆっくり朝食を食べようとしたら、
「お嬢様、今日だけは少しだけお急ぎくださいね。」
と言われてじっと見られていたら食べれなくなって…結局フルーツだけにしたわ。エマにはお利口さんですねって褒められたけど、私はもう十八歳よ。結婚できる年齢よ。この国の女性は十五歳から結婚できるんですからね。そしてほとんどの女性が十八から二十歳までにするのよね。だけど沢山食べなくて良かったかもしれないわ。さっきからコルセットをぎゅうぎゅうと容赦なく締めあげられて苦しくて苦しくて大変なの。
「エ、エマ、もう少しお手柔らかにお願いできないかしら?」
「お嬢様、今日が勝負なのですよ!せめてもう少し前にお嬢様が今日のことをお伝えしてくださっていたらこんなに大変なことにはならなかったはずです。」
「そうだったわね。前日の夜に言った私が悪かったわ。厨房の皆さんにもあとで謝らないといけないわね。庭師のドリーさんにも謝らないと…。」
「それはいいのです、皆、喜んでやっているのですから、ただお嬢様にも頑張ってもらわないといけません。」
「分かったわ。エマ、お願いするわ。」
「もちろんです。さぁここからはその道のプロを呼んでおります。」
「その道のプロ?」
「まずは衣装からですよ。」
これは大変なことをお願いしてしまった気がするわ。それから私はカルロス様の真っ赤な髪色のドレスに、カルロス様の瞳の色によく似た紫色のネックレスを付けて、長い髪はヘアリストさんにより絶妙な緩さで巻かれ、メイクに関しては、付けているかどうかわからない感じなのに、たしかに大人っぽく仕上がっているわ…流石プロだわ。
これで終わりかと思ったら、フットケアとハンドケアを挟んでネイリストさんが来て爪が真っ赤に…。これはやりすぎではないかしら?誰に聞いても麗しいとか、美しいとか、まさに国宝としか言ってくれないから諦めたわ。
すべてが終わったのは正午の鐘が鳴った頃で私のお腹は空いてるのにコルセットのせいで空いていないような微妙な状態でお父様にもこの格好を見て欲しかったから、オレンジジュースだけ飲みに食堂に行ったわ。
「お父様、どうですか?」
どうしましょう。お父様が固まってしまったわ。やはり、やり過ぎだったんだわ。
「お父様やはり派手過ぎましたか?」
「ロザリー何を言っているんだい?素晴らしいよ!まるでマリアがいるみたいだ。」
「お母様が…。」
たしかに私の容姿は瞳の色以外はお母様にそっくりと言われているけど、お母様はピンク色の瞳でとても綺麗だったわ。
「お綺麗だったお母様に似ているなんて言われたら自信が持てましたわ。お父様ありがとうございました。」
「ああ、誰にも見せたくないくらいだ。本当に綺麗だよ。」
それからお父様と私はいままでなんとなく話せなくなっていた懐かしいお母様のお話をして、お父様とお母様の馴れ初めまで聞かせていただいたわ。お父様と国王陛下が幼馴染で、小さい頃からお父様の後ろをよくついてきたお母様に五歳の時にいきなり大きくなったら結婚して欲しいと言われたんだとか、びっくりしたのは前国王陛下でお父様に王宮に来ないように命じたんだけど、お母様が食事を食べなくなり根負けした前国王陛下がお父様にお願いして王宮に通うようになって一件落着したらしいわ。あのお綺麗だったお母様がなかなかやるわね。
「ロザリー、でもね、お父様の方が本当はずっと前からお母様のことが好きだったんだよ。だってお父様は生まれたばかりのお母様を見て一目惚れしていたんだからね。結局マリアに伝えることはできなかったけどね。」
「お父様それは伝えなくて良かったと思いますわ。私とお父様の秘密にしておきましょう。流石に赤ちゃんは早すぎますもの。」
「そうかい。マリアに言わなくて良かったよ。」
お父様が微笑んでくださったわ。
私も負けてはいられないわ。頑張るわよ。
5
あなたにおすすめの小説
【完結】ヤンデレ乙女ゲームの転生ヒロインは、囮を差し出して攻略対象を回避する。はずが、隣国の王子様にばれてしまいました(詰み)
瀬里@SMARTOON8/31公開予定
恋愛
ヤンデレだらけの乙女ゲームに転生してしまったヒロイン、アシュリー。周りには、攻略対象のヤンデレ達が勢ぞろい。
しかし、彼女は、実現したい夢のために、何としても攻略対象を回避したいのだ。
そこで彼女は、ヤンデレ攻略対象を回避する妙案を思いつく。
それは、「ヒロイン養成講座」で攻略対象好みの囮(私のコピー)を養成して、ヤンデレたちに差し出すこと。(もちろん希望者)
しかし、そこへ隣国からきた第五王子様にこの活動がばれてしまった!!
王子は、黙っている代償に、アシュリーに恋人契約を要求してきて!?
全14話です+番外編4話
脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。
石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。
ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。
そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。
真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
助けた騎士団になつかれました。
藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。
しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。
一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。
☆本編完結しました。ありがとうございました!☆
番外編①~2020.03.11 終了
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる