麗しの勘違い令嬢と不器用で猛獣のような騎士団長様の純愛物語?!

miyoko

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5.お出迎えの準備は大変です

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「お嬢様起きてください。おはようございます。」
「おはよう。エマ起こしてくれてありがとう。」
「さぁ湯浴みに行きましょうね。」
「えっ、湯浴み?」
「そうですよ、お嬢様は昨日パーティーから帰られて、私に一生懸命その麗しい表情でお話されながら寝落ちされてしまったのですよ。」
「うっ、その言い方はどうかと思うけど、寝落ちしたのは思い出したわ。令嬢として恥ずかしいわ。」
「いいのですよ、朝からお嬢様の湯浴みができるのは、エマには至福の喜びですから。」
「…。エマは私に優しすぎるわ。でも外が暗いように思うのだけど気のせいかしら?」
「この時間でないと間に合わないのです。さぁ、お嬢様起きましょう。眠ければ湯浴み中に寝てください。」
「そうなのね。それは申し訳ないから頑張って起きているわ。」
それからなんと三時間のフルコースの湯浴みをされて、結局途中から寝てしまったの。

エマの本気度を見た気がするわ。私も頑張らなくっちゃね。湯浴みが終わって食事に向かうとまだ八時だったわ。それからゆっくり朝食を食べようとしたら、
「お嬢様、今日だけは少しだけお急ぎくださいね。」
と言われてじっと見られていたら食べれなくなって…結局フルーツだけにしたわ。エマにはお利口さんですねって褒められたけど、私はもう十八歳よ。結婚できる年齢よ。この国の女性は十五歳から結婚できるんですからね。そしてほとんどの女性が十八から二十歳までにするのよね。だけど沢山食べなくて良かったかもしれないわ。さっきからコルセットをぎゅうぎゅうと容赦なく締めあげられて苦しくて苦しくて大変なの。

「エ、エマ、もう少しお手柔らかにお願いできないかしら?」
「お嬢様、今日が勝負なのですよ!せめてもう少し前にお嬢様が今日のことをお伝えしてくださっていたらこんなに大変なことにはならなかったはずです。」
「そうだったわね。前日の夜に言った私が悪かったわ。厨房の皆さんにもあとで謝らないといけないわね。庭師のドリーさんにも謝らないと…。」
「それはいいのです、皆、喜んでやっているのですから、ただお嬢様にも頑張ってもらわないといけません。」

「分かったわ。エマ、お願いするわ。」
「もちろんです。さぁここからはその道のプロを呼んでおります。」
「その道のプロ?」
「まずは衣装からですよ。」
これは大変なことをお願いしてしまった気がするわ。それから私はカルロス様の真っ赤な髪色のドレスに、カルロス様の瞳の色によく似た紫色のネックレスを付けて、長い髪はヘアリストさんにより絶妙な緩さで巻かれ、メイクに関しては、付けているかどうかわからない感じなのに、たしかに大人っぽく仕上がっているわ…流石プロだわ。
これで終わりかと思ったら、フットケアとハンドケアを挟んでネイリストさんが来て爪が真っ赤に…。これはやりすぎではないかしら?誰に聞いても麗しいとか、美しいとか、まさに国宝としか言ってくれないから諦めたわ。

すべてが終わったのは正午の鐘が鳴った頃で私のお腹は空いてるのにコルセットのせいで空いていないような微妙な状態でお父様にもこの格好を見て欲しかったから、オレンジジュースだけ飲みに食堂に行ったわ。
「お父様、どうですか?」
どうしましょう。お父様が固まってしまったわ。やはり、やり過ぎだったんだわ。
「お父様やはり派手過ぎましたか?」
「ロザリー何を言っているんだい?素晴らしいよ!まるでマリアがいるみたいだ。」
「お母様が…。」
たしかに私の容姿は瞳の色以外はお母様にそっくりと言われているけど、お母様はピンク色の瞳でとても綺麗だったわ。
「お綺麗だったお母様に似ているなんて言われたら自信が持てましたわ。お父様ありがとうございました。」
「ああ、誰にも見せたくないくらいだ。本当に綺麗だよ。」

それからお父様と私はいままでなんとなく話せなくなっていた懐かしいお母様のお話をして、お父様とお母様の馴れ初めまで聞かせていただいたわ。お父様と国王陛下が幼馴染で、小さい頃からお父様の後ろをよくついてきたお母様に五歳の時にいきなり大きくなったら結婚して欲しいと言われたんだとか、びっくりしたのは前国王陛下でお父様に王宮に来ないように命じたんだけど、お母様が食事を食べなくなり根負けした前国王陛下がお父様にお願いして王宮に通うようになって一件落着したらしいわ。あのお綺麗だったお母様がなかなかやるわね。
「ロザリー、でもね、お父様の方が本当はずっと前からお母様のことが好きだったんだよ。だってお父様は生まれたばかりのお母様を見て一目惚れしていたんだからね。結局マリアに伝えることはできなかったけどね。」
「お父様それは伝えなくて良かったと思いますわ。私とお父様の秘密にしておきましょう。流石に赤ちゃんは早すぎますもの。」
「そうかい。マリアに言わなくて良かったよ。」
お父様が微笑んでくださったわ。
私も負けてはいられないわ。頑張るわよ。

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