麗しの勘違い令嬢と不器用で猛獣のような騎士団長様の純愛物語?!

miyoko

文字の大きさ
7 / 41

7.カルロス様のお話を聞きました

しおりを挟む
いま、カルロス様が座ったら、三人掛けのソファーがミシって言ったわよ。その鍛えられたお体、素敵です…。
「ロザリー嬢、先に誤解だけ解きたいのだが、私の話を少し聞いてくれるだろうか?」
「もちろんですわ。」
「ありがとう。私はこのように、目つきが鋭く、髪も真っ赤で、子供の頃からかなり大きくてね、同じ年頃のご令嬢やご令息からも怖がられていたんだ。大きくなるにつれて、なぜか筋肉も人一倍ついてしまって、気付いたら、十六になる頃には、猛獣という呼び名がついていた。それからは、私がそばを通るだけで、悲鳴や、気絶する女性が増えてね。私はこれ以上私の容姿で女性に怯えられるのが怖くて、女性に近づかないようにしていたんだ。ところが二年前、国王陛下がちっとも結婚しない私に対して、女性が嫌いなわけではないなら早く結婚するようにと言われてね。私のことを怖がらないご令嬢なんていないと諦めていたし、その頃は王宮で毎日のように私のそばで倒れる女性も多くてね、いまはだいぶ王宮の女性も私の姿に馴れてくれたようだが本気で女性が嫌いになりかけていたのもあるんだよ。私が一体何をしたっていうんだと思ってね。それで、女性は嫌いだと言ってしまったんだよ。別に本当に嫌いなわけでは無いのに騎士としてあるまじき発言だったよ。」
私は聞いていてとてもつらくなってきて、涙を零してしまったわ。
「カルロス様は全く悪くはありませんわ。カルロス様の鋭い目は野性的で素敵だと思いますわ。逞しい筋肉も素敵ですわ。どんな悪い人からも守ってもらえそうで私はそんな方と結婚したいです。カルロス様もご存じかとは思いますが、私のお母様は私が五歳の時に誘拐犯に殺されました。護衛の方もいましたが、破落戸に勝てなかったそうです。その頃、カルロス様がいてくださったら、きっとお母様はいまでも生きていますわ。」

「ああ、そうだね。一度だけお会いしたことがあるんだよ。あれは私が騎士団に入る一年前だった。丁度、騎士見習いに通い始めるために王宮に父上と向かった日でね、美しい女性が父上に話しかけ、そのあと私にも笑顔で話しかけてくださったんだ。その時に宰相様の奥様だと父上から教えてもらったんだよ。ロザリー嬢と同じように私を見ても少しも驚かずに優しく微笑んでくださったんだ。それなのに、その数時間後に亡くなられたと聞いた時は、騎士になったら自分は必ず弱い女性を守ると心に誓ったんだ…。」
「そうだったんですね。お母様とお会いしていたのですね。お母様は誰にでもお優しい方でした。」
「そうだね。。私に微笑んでくれるくらいだからね。話を戻したいんだが、今回の話だが、他の誰かを紹介しないといけないだろうか?私ではだめだろうか?」

「へっ?」
びっくりし過ぎて、変な声がでてしまったわ。誰かを紹介してもらえるものだと思っていたから、でも話の流れからしたら、もしかして…。
「ええっと、私が間違っていなければ、カルロス様自ら、私とお付き合いしてくださるということで合っていますでしょうか?」
「ああ、合っている。もしよければ、お付き合いしていただけないだろうか?ロザリー嬢とは歳も離れているし、実はクッキーを焼いたり、花を愛でるのが好きな男だ。幻滅したと言われたら、もちろん他の者を全力で探すと約束する。」
「私のような小娘でよろしいのですか?」
「ロザリー嬢がいい。私の目をきちんと見て話をしてくれて、いま話しただけでも人柄は十分に分かる。どうだろう?私にチャンスをくれないだろうか?」
「チャンスだなんて、ばちが当たりますわ。もちろんこちらこそ、お願いいたしますわ。エマ、どこにいるの?夢みたいなことがおきたのよ。」
「お嬢様、扉のところでエマも聞いておりましたよ。良かったですね。マリア様が引き合わせてくださったのかもしれませんね。」
「お母様が…。」

いつの間にかお父様もいらっしゃって頷いてくださったわ。お父様はそのまま国王陛下に呼ばれてお仕事に向かわれてしまったけど、私はカルロス様とカルロス様が作ったクッキーをいただいたわ。それが本当に可愛らしくて美味しいクッキーで、
「なんて可愛いらしいクッキーなのかしら。花に星に猫にハート型に…食べるのがもったいないくらいですね。」
「そう言って、もらえると嬉しいよ。チョコチップにチョコマーブルにアーモンドにココアパウダーに色々な種類にしてみたから食べてみてくれると嬉しい。」
「ありがとうございます。カッコいいだけじゃなくて、お菓子も作れるなんてカルロス様がモテない理由がさっぱり分かりませんが、私にとってはラッキーでしたわ。」

結局すべて美味しかったし、カルロス様と次回デートのお約束までしたわ。幸せ…。一つだけ残念だったのはカルロス様の筋肉に触れられなかったこと。触りたかったわ…あの大胸筋に、上腕二頭筋にもぶら下がりたかったわ…。筋肉ってやっぱり最高だわ。筋肉万歳。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】ヤンデレ乙女ゲームの転生ヒロインは、囮を差し出して攻略対象を回避する。はずが、隣国の王子様にばれてしまいました(詰み)

瀬里@SMARTOON8/31公開予定
恋愛
 ヤンデレだらけの乙女ゲームに転生してしまったヒロイン、アシュリー。周りには、攻略対象のヤンデレ達が勢ぞろい。  しかし、彼女は、実現したい夢のために、何としても攻略対象を回避したいのだ。  そこで彼女は、ヤンデレ攻略対象を回避する妙案を思いつく。  それは、「ヒロイン養成講座」で攻略対象好みの囮(私のコピー)を養成して、ヤンデレたちに差し出すこと。(もちろん希望者)  しかし、そこへ隣国からきた第五王子様にこの活動がばれてしまった!!  王子は、黙っている代償に、アシュリーに恋人契約を要求してきて!?  全14話です+番外編4話

脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。

石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。 ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。 そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。 真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

助けた騎士団になつかれました。

藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。 しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。 一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。 ☆本編完結しました。ありがとうございました!☆ 番外編①~2020.03.11 終了

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

処理中です...