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8.カルロス視点:頭の中がロザリー嬢でいっぱいだ
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困った、全く仕事にならん。さっきから報告書に目を通しているのだが、頭の中はロザリー嬢が微笑んでいる…。潤んだような瞳にぽてっとした唇、光の加減で色が変わって見えるピンクゴールドの長い髪に、ついつい目がいってしまう大きな胸の膨らみ…。
「はぁ~。」
「おい、気持ち悪いぞ。この部屋には俺もいるってこと忘れるな。」
「すまん。」
「上手く伝えられたんだろう?」
「デートの約束もした。」
「良かったじゃないか。」
「頭の中がロザリー嬢でいっぱいなんだ、どうしたらいい?」
「知るか!そんなもん。」
「それでデートはどこに行くつもりだ?」
「俺はそういうのに疎いから、ロザリー嬢の行きたいところに行くことになっている。」
「それはお前にしては賢いな。」
「いや俺の考えではない。二人で悩んでいたらロザリー嬢の侍女殿が提案してくれたんだ。」
「なるほどな、それにしてもこの国一番の美少女がお前とな…。麗しのご令嬢と猛獣か、すごい組み合わせだな。」
「おいカルロス、いきなり襲ったりするなよ。」
「もちろんだ、俺は怖がらせたくないし、嫌われたくない。でもな、ロザリー嬢からものすごくいい匂いがしてくるんだ、あれはなんだ?あの匂いを嗅ぐと頭がクラクラしてくるんだ。お前の奥さんからもしてくるのか?」
「その顔で恥ずかしいことを聞くな。」
「顔は関係ないだろうが、あるのかないのか教えろよ!俺は真剣なんだ。」
「・・・俺の奥さんからもするよ。たぶん好きな女性からはするんじゃないか?気をつけろよ。首もとに近づくと急に匂いが強くなって理性を失いかけるぞ。」
「そうか、お前が友で良かったよ。ロンありがとう。お前にも言われたが俺に微笑んでくれる女性なんてこの先たぶん現れない。それに人としても好ましい人なんだ。」
「お前の本気度はよく分かったよ。俺もできる限り協力する。けどな、いまは仕事に集中しろ。仕事のできない男は嫌われるぞ!これは間違いない。いつもマリーに言われるからな。」
「そ、そうか、お前の奥さんが言うなら間違いないな。ロザリー嬢の父上は宰相殿だし、いままで以上に頑張らないとな。」
「嘘は言ってないが、なんだか心が痛くなってきたな。」
「なんか言ったか?」
「いや、大したことじゃない。さぁもう少しだけ頑張ったら飯に行こう。午後からは今年入った騎士見習いを見に行くんだろう?」
「ああ、そのつもりだ。」
食堂で珍しく文官のエリートと言われるジルド殿が話しかけてきた。ジルド殿はこの国一番の美男子と言われているが、容姿だけではなくロザリー嬢と同じように俺にも普通に話しかけてくれるんだが、なんとなく苦手なんだ。いままでは俺の僻みだと思っていたが、なんだろう?この違和感?まぁそうは言っても俺より五つも若いのだが、公爵家だし経費などでは文官の方には色々と世話になってるからな。それに将来は宰相候補だすごいよな。
「カルロス殿、カルロス殿がロザリー嬢とお付き合いするかもしれないと妹から聞いたのだが真実ですか?」
「イザベラ嬢は誰からお聞きになられたのですか?」
「ロザリー嬢だと言うのだが真実は本人に聞いたほうが良いと思ってね。」
「そうですか、本当です。まだ昨日ご挨拶したところですが…。」
「なるほど、立ち入ったことをお聞きした。失礼する。」
「あいつの笑顔は苦手だな。」
「ロン、やめろ、誰が聞いているか分からないぞ。」
「そうだな、でも気をつけろよ。あの顔は嫉妬の顔だ。」
「国一番の美男子が俺に嫉妬?ありえんな。それこそ、選り取り見取りだろう…。」
「お前な、国王陛下がお前にいつも一番最初に声を掛けてるって知らないのか?」
「えっ?」
「あいつはいつも二番目だ。お前の次なのさ。とにかく気をつけろよ。観劇にもあるだろう?麗し姫はこの国一番の美し王子と結ばれるっだけな。あれ、ロザリー嬢とジルドに似た俳優が出てくるらしいぞ。」
「そうなのか…気をつけておく。」
それから俺達は今年入った騎士見習いの稽古をつけながら、俺の頭の中は明後日のデートのことでいっぱいだった。仕事ができない男は嫌われる…。この言葉のおかげでなんとか体面だけは保てた気がする。しかし休憩時間に気になる会話が聞こえてきた。
「俺この間、麗しのご令嬢見ちゃったよ。腰とかめちゃくちゃ細いのに、出るとこ出てすごいんだぜ。」
「まじかよ、俺なんて一度も見たことないな。せっかく王都に来たんだ、一度くらい見たいよな。」
「そのうち護衛で見れるさ、どうせジルド殿と結婚するんだろう。あの方しか釣り合わないだろう?」
「それもそうだな。公爵家同士で、容姿もすべて釣り合うもんな。」
「あーあ、夢でいいから出てきてくれないかな~。」
たわいもない会話だと分かっていても、ロザリー嬢に対しいやらしい目を向ける奴らが許せなかった。俺のロザリー嬢でもないのにな。それにロザリー嬢の気持ちも考えずに勝手に世間が釣り合うだなんだと押しつけることにも腹がたった。休憩後の稽古は明らかに厳しいものとなったため、ロンによって俺は先に帰らされてしまった。
「はぁ~。」
「おい、気持ち悪いぞ。この部屋には俺もいるってこと忘れるな。」
「すまん。」
「上手く伝えられたんだろう?」
「デートの約束もした。」
「良かったじゃないか。」
「頭の中がロザリー嬢でいっぱいなんだ、どうしたらいい?」
「知るか!そんなもん。」
「それでデートはどこに行くつもりだ?」
「俺はそういうのに疎いから、ロザリー嬢の行きたいところに行くことになっている。」
「それはお前にしては賢いな。」
「いや俺の考えではない。二人で悩んでいたらロザリー嬢の侍女殿が提案してくれたんだ。」
「なるほどな、それにしてもこの国一番の美少女がお前とな…。麗しのご令嬢と猛獣か、すごい組み合わせだな。」
「おいカルロス、いきなり襲ったりするなよ。」
「もちろんだ、俺は怖がらせたくないし、嫌われたくない。でもな、ロザリー嬢からものすごくいい匂いがしてくるんだ、あれはなんだ?あの匂いを嗅ぐと頭がクラクラしてくるんだ。お前の奥さんからもしてくるのか?」
「その顔で恥ずかしいことを聞くな。」
「顔は関係ないだろうが、あるのかないのか教えろよ!俺は真剣なんだ。」
「・・・俺の奥さんからもするよ。たぶん好きな女性からはするんじゃないか?気をつけろよ。首もとに近づくと急に匂いが強くなって理性を失いかけるぞ。」
「そうか、お前が友で良かったよ。ロンありがとう。お前にも言われたが俺に微笑んでくれる女性なんてこの先たぶん現れない。それに人としても好ましい人なんだ。」
「お前の本気度はよく分かったよ。俺もできる限り協力する。けどな、いまは仕事に集中しろ。仕事のできない男は嫌われるぞ!これは間違いない。いつもマリーに言われるからな。」
「そ、そうか、お前の奥さんが言うなら間違いないな。ロザリー嬢の父上は宰相殿だし、いままで以上に頑張らないとな。」
「嘘は言ってないが、なんだか心が痛くなってきたな。」
「なんか言ったか?」
「いや、大したことじゃない。さぁもう少しだけ頑張ったら飯に行こう。午後からは今年入った騎士見習いを見に行くんだろう?」
「ああ、そのつもりだ。」
食堂で珍しく文官のエリートと言われるジルド殿が話しかけてきた。ジルド殿はこの国一番の美男子と言われているが、容姿だけではなくロザリー嬢と同じように俺にも普通に話しかけてくれるんだが、なんとなく苦手なんだ。いままでは俺の僻みだと思っていたが、なんだろう?この違和感?まぁそうは言っても俺より五つも若いのだが、公爵家だし経費などでは文官の方には色々と世話になってるからな。それに将来は宰相候補だすごいよな。
「カルロス殿、カルロス殿がロザリー嬢とお付き合いするかもしれないと妹から聞いたのだが真実ですか?」
「イザベラ嬢は誰からお聞きになられたのですか?」
「ロザリー嬢だと言うのだが真実は本人に聞いたほうが良いと思ってね。」
「そうですか、本当です。まだ昨日ご挨拶したところですが…。」
「なるほど、立ち入ったことをお聞きした。失礼する。」
「あいつの笑顔は苦手だな。」
「ロン、やめろ、誰が聞いているか分からないぞ。」
「そうだな、でも気をつけろよ。あの顔は嫉妬の顔だ。」
「国一番の美男子が俺に嫉妬?ありえんな。それこそ、選り取り見取りだろう…。」
「お前な、国王陛下がお前にいつも一番最初に声を掛けてるって知らないのか?」
「えっ?」
「あいつはいつも二番目だ。お前の次なのさ。とにかく気をつけろよ。観劇にもあるだろう?麗し姫はこの国一番の美し王子と結ばれるっだけな。あれ、ロザリー嬢とジルドに似た俳優が出てくるらしいぞ。」
「そうなのか…気をつけておく。」
それから俺達は今年入った騎士見習いの稽古をつけながら、俺の頭の中は明後日のデートのことでいっぱいだった。仕事ができない男は嫌われる…。この言葉のおかげでなんとか体面だけは保てた気がする。しかし休憩時間に気になる会話が聞こえてきた。
「俺この間、麗しのご令嬢見ちゃったよ。腰とかめちゃくちゃ細いのに、出るとこ出てすごいんだぜ。」
「まじかよ、俺なんて一度も見たことないな。せっかく王都に来たんだ、一度くらい見たいよな。」
「そのうち護衛で見れるさ、どうせジルド殿と結婚するんだろう。あの方しか釣り合わないだろう?」
「それもそうだな。公爵家同士で、容姿もすべて釣り合うもんな。」
「あーあ、夢でいいから出てきてくれないかな~。」
たわいもない会話だと分かっていても、ロザリー嬢に対しいやらしい目を向ける奴らが許せなかった。俺のロザリー嬢でもないのにな。それにロザリー嬢の気持ちも考えずに勝手に世間が釣り合うだなんだと押しつけることにも腹がたった。休憩後の稽古は明らかに厳しいものとなったため、ロンによって俺は先に帰らされてしまった。
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