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12.カルロス視点:幸せから一転ピンチへ

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ロザリー嬢が可愛い。とにかく可愛い。やることなすことすべてが可愛い。お揃いの物まで買うことができた。俺の腕についている組み紐はロザリー嬢が着けてくれたものだ。ロザリー嬢のいい匂いまでする気がする。
「カルロス聞いておるのか?」
しまった、国王陛下が何か言っていたらしい…。
「申し訳ありません…。」
「まぁ良い、今日は初めてのデートだったのにすまなかったな。しかし今回パーシュ国の動きが怪しい。ここ三百年戦争は起きておらんが、第ニ王子が第一王子を暗殺したと聞いた。第二王子は血の気の多い気狂い王子として有名だ。内戦だけで済むはずがない。すぐに第一騎士団を国境付近に送ったが、統率ができているかどうかも怪しいものだ。なんせ、誰も戦争を経験していないからな。すまないが、三年前まで騎士団にも顔を出していたカルロスに見に行ってもらいたい。」
「承知しました。すぐに行きましょう。城内のことはロンが居ればなんとでもなります。彼は優秀です。私が一人で行った方が早いので一人で行ってまいります。ただ、宰相様に言伝をお願いできますか?」
「なんだ、言ってみろ。」
「実はロザリー嬢と三日後に会う約束をしたのですが、この状況、後日また連絡するとお伝えください。」
「分かった必ず伝える。本当に済まない。お前には早く嫁を取れと言っておきながら。必ず無事に帰って来るんだぞ。」

「はい、承知いたしました。行ってまいります。」
俺は第一騎士団の心配をしながらひたすら夜になるまで必死で馬を走らせた。暗くなるまでには目的の小屋までなんとか行くことができた。俺は馬に食事と水を与え、自分も小屋に入り、騎士食を食べながら、暖炉の前で腕にある組み紐を見ながら今日会ったロゼリー嬢のことを思い出していた。俺の瞳の色の紫のドレスだったな。俺のものだって言われているようで体の中からゾクゾクするような興奮があった。組み紐を付けてもらった時のあの一生懸命な顔も、とても可愛らしかった。俺がロザリー嬢の腕に付けた時は首筋からいい匂いがしてきて…ロンのいう通りだったな、あれは危険だ。理性が吹き飛ぶかと思ったぞ。ロンはあんな匂いにいつも耐えているのか尊敬するな。でも本当にいいのだろうか?俺のような猛獣と呼ばれる男と結婚して彼女は幸せになれるのだろうか?そう言えば自分の容姿が心配なら人の何倍も愛してあげればよいのだと祖母が言っていたな。あとは長生きしなさいだったな。こんなとこで死んでたまるか、やっとできた彼女だぞ。早く片付けて帰らないとな。人一倍愛する自信ならある。どちらにしたって絶対にロザリー嬢は誰にも渡したくない。だったら、悩んだって仕方ないな。ロザリー嬢は俺が雑貨屋に入るのも喜んでくれたし、一つのテーブルで食べることも怖がらずに嬉しそうにしてくれた。こんな女性は初めてだ。おまけに俺の心配までしてくれて、衝立の高さを変えるように言ってくれたり、どこまで優しい女性なんだろう。明日は夜が明けたらすぐに出発しないといけないから、今日はすぐに寝ないといけないな。こんなところで寝るのに幸せでぐっすり寝れそうだ。これも全部ロザリー嬢のおかげだな。

次の日の朝、俺は朝早くから馬で走り続け、昼前には国境付近の砦に着いた。そこからパシュー国までは目と鼻の先。かなりひどい状況だな。パシュー国は火の海となっており、すでに王宮は壊滅しているように見える。面積だけで言えば、我が国の方が二倍の面積があるが、我が国は産業で成り立ってきている国である。それに対してパシュー国は軍事国家だ。三百年間、隣国で戦争が無かっただけで、パシュー国は武器を売って生活してきた国だ。それだけに敵に回したくはない国である。しかしだからこそ、いままでのパシュー国の王は戦争の悲惨さも知っており、絶対に武器は売っても自ら戦争はしないと言っていたのに…。第二皇子の馬鹿垂れが、どうしてくれよう。砦の向こうには大きな川が流れているのですんなりとこちらに来ることはできないし、ここしか我が国への入り口は無いのだからここを守り切ればいいのだけど大きな船でドカンと大砲を撃ち込まれたらひとたまりもない。しかし、我が軍は陸からの侵入に備えての練習ばかりしてきた現実がある。なぜなら、三百年前の最後の戦争がいずれもパシュー国以外の隣国であったためだ。いまのように大きな大砲があったわけでもなく、パシュー国は脅威ではなかった。迂闊だったな…。後悔していても仕方がない、剣で何かできるわけもない。何か大砲に変わるものを考えないといけないな。あの状況から考えて数日後と行ったところだろうか。早く手を考えないと、俺は急いで皆を集め作戦会議を開いた。それと同時に状況の説明も含め、一人だけ王国に向かわせた。至急良い案が欲しいと手紙を添えて…。大好きなロザリー嬢の住むこの国を俺は絶対に守ってみせる。


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