麗しの勘違い令嬢と不器用で猛獣のような騎士団長様の純愛物語?!

miyoko

文字の大きさ
23 / 41

23.ビハンド伯爵家に行きます

しおりを挟む
誘拐事件のせいでドレスのお礼のハンカチは作れなかったけど、カール様がロザリーが来てくれるだけで我が家では鉱山を掘り当てたような盛り上がりだからびっくりしないでくれると嬉しい…と言われたわ?どういうこと?カール様のエスコートで馬車から降りるとカール様のご家族様から使用人の方まで総勢六十人くらい?もっとかしら?の方々がずらりと並んでみえてびっくりしたわ。本当にどういうことかしら?まだ式は挙げていませんけど?
「ロザリーすまない。皆、私のことを心配してくれていてだな。なんとしてもロザリーを嫁にと変なスイッチが入ってしまっているわけだ。」
「それは私にとってはチャンスですね。カール様、私も皆様に気に入ってもらえるように頑張りますね。」
「いや、ロザリーは頑張らなくてもいつも通りで大丈夫だ。昨日の事件のことも我が家の者は知っている。だから、無理しないでおくれ。」

「ありがとうございます。カール様。」
私がカール様に微笑むとなぜか、そこら中から色っぽいため息が聞こえてきたわ。どういうことかしら?私が困惑していると、カール様が、
「我が家の者を紹介しよう。まずは私の父上であるルランド、隣が母上のデーテ、それから祖母のルミエール、弟のエディ、それから……。」
長ーい紹介のあとに、
「こちらは、俺の婚約者のハイゼル公爵家のロザリー嬢だ。」
って紹介してくださったわ。婚約者…。何回聞いてもいい響きだわ。私がうっとりしていると、おばあ様のルミエール様が、
「そのドレスを着てくれたのね。よく似合っているわ。ロザリーちゃん、カルロスのことよろしくね。」
と言ってくださって嬉しかったわ。私もカール様に相応しいと思って頂けるように、
「ルミエール様、素敵なドレスをありがとうございます。カルロス様にふさわしい婚約者になれるように努力しますので、ご指導の程よろしくお願いします。」
って、ドキドキしたけど婚約者らしい返事をしたわ。

「まぁなんて可愛らしいお嬢さんなんでしょう。カルロス、あなた本当に良かったわね。」
「ああ、本当に可愛らしいんだ…。」
「兄上、その顔はみっともないから辞めてくれ…。」
よく分からないけど皆さん笑顔だからこの返事で良かったみたい。するとカール様のお母様が、
「カルロス、そろそろ中庭にロザリーちゃんを連れて言ってあげたらどうかしら?ずっと緊張しているみたいで可愛そうだわ。」
って言ってくださったの。なんて優しい方なんでしょう。感動だわ。
「ああ、そうだな、ロザリー嬢昼食の時間まで少し二人で、中庭を見ないか?」
「是非、見たいですわ。」
私は嬉しくなって思わずカール様の腕にしがみついてしまったの。淑女としてはしたなかったかしら。そう思って焦ったのだけど、カール様のお父様が、
「カルロスの体に自ら触れてくれたぞ。私は夢を見ているのか?ロザリー嬢は女神なのか?」
って仰りながら涙を流されて…、
「あなた泣かないの!ロザリーちゃんがびっくりしてるじゃないの。ロザリーちゃん、これは嬉し泣きだから心配しないでね。嫌だ、使用人のみんなまで…、カルロス、早く行きなさい。また昼食で会いしましょうね。」
「はい、楽しみにしております。」
そこら中からすすり泣く声が聞こえてきて、心配になってきてしまったわ。でもカール様が、
「我が家の者はちょっと涙腺が弱いんだ…。嬉し泣きだから許してやってくれ。」
って言われたから、嬉し泣きなら良いわよね?

ビハンド伯爵家の中庭は可愛らしい感じのお庭だったわ。カール様のお母様も、おばあ様も可愛らしいお花が好きで、エディ様と昨年結婚されたセリーヌさんも可愛らしいお花が好きなのでこのような中庭になっているのだとか。
「カール様、とても心が落ち着きます。」
「ああ、私もこの空間が大好きなんだ。」
コスモスやゼラニウム、カンパニュラなど可愛らしいお花がいっぱいだわ。我が家のバラやユリの大輪の花も素敵だけどなんだかとてもホッとして素敵。
「こちらの温室は面白いぞ。」
温室が面白い?なにか珍しい花でもあるのかしら?
「まぁ、ここだけ春の野原のようですね。」
「そうだろう。これは祖母と祖父の思い出の温室らしい。さぁ、座ろう。」
温室の中は、シロツメクサ(クローバー)だけで、小高い丘のような作りになっていたの。カール様はピクニック用のシートを引いてくださったわ。
「ここの温室は家族以外絶対に入らない。とても自慢出来る温室ではないからね。でもここには沢山の思い出があるんだ。小さい頃は私やエディの遊び場だったからね。雨でも冬でも関係ないから真夏以外は遊んでいたよ。」
「そうなのですね。私、シロツメクサで、エマに花冠を作ってもらったことがありますわ。その時に私も教えてもらって、まだ覚えているかしら?」
「一緒に作るかい?」
「カール様も作ってくださるんですか?」
「ああ、私も覚えているか自信がないが一緒に作ってみよう。」
それから、私とカール様で思い出しながら素敵な花冠を作ることができたの。そのあと、四葉のクローバーを探したり、とても楽しかったわ。そこへカール様のおばあ様がみえて、
「そろそろ、食事の準備が出来たからいらっしゃい。まぁ、素敵な花冠ね。」
「二人で思い出しながら作ったんです。」
「これを私にくれないかしら?」
「えっ?これをですか?これで良ければ私は構いませんが、カール様よろしいですか?」
「ああ、もちろんだよ。」
「二人ともありがとう。あの人も喜ぶわ。」
そう言ってカール様のおばあ様は優しく微笑んでみえたわ。あの人ってたぶんカール様のおじい様よね。カール様の生まれる少し前に亡くなられたのよね。いまでもおばあ様はおじい様のことが大好きなんだわ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】ヤンデレ乙女ゲームの転生ヒロインは、囮を差し出して攻略対象を回避する。はずが、隣国の王子様にばれてしまいました(詰み)

瀬里@SMARTOON8/31公開予定
恋愛
 ヤンデレだらけの乙女ゲームに転生してしまったヒロイン、アシュリー。周りには、攻略対象のヤンデレ達が勢ぞろい。  しかし、彼女は、実現したい夢のために、何としても攻略対象を回避したいのだ。  そこで彼女は、ヤンデレ攻略対象を回避する妙案を思いつく。  それは、「ヒロイン養成講座」で攻略対象好みの囮(私のコピー)を養成して、ヤンデレたちに差し出すこと。(もちろん希望者)  しかし、そこへ隣国からきた第五王子様にこの活動がばれてしまった!!  王子は、黙っている代償に、アシュリーに恋人契約を要求してきて!?  全14話です+番外編4話

脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。

石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。 ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。 そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。 真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

助けた騎士団になつかれました。

藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。 しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。 一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。 ☆本編完結しました。ありがとうございました!☆ 番外編①~2020.03.11 終了

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

処理中です...