麗しの勘違い令嬢と不器用で猛獣のような騎士団長様の純愛物語?!

miyoko

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26おばあ様はおじい様のことが大好きで、私より筋肉が好きかもしれません

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「いらっしゃい。待っていたわ。どうぞ入って。」
「失礼します。」
こ、これはたしかに、おじい様の思い出がいっぱいだわ。というか、おじい様がいっぱい…。あとは可愛いらしい小物がいっぱいね…。人形だけではなかったのね。こんなに沢山の肖像画初めて見たわ。でも瞳の色が少し薄いだけで、本当にカール様にそっくりだわ。
「びっくりさせちゃったかしら?」
「はい、一瞬カール様が沢山いるようでびっくりしました。」
「よく似ているでしょう。」
「ええ、本当に。」
「でもね、筋肉ではカルディオの方がまだ勝っているのよ。」
「それは本当ですか?ええそうよ。間違いないわ。私がカルディオの筋肉を間違いるわけがないもの。なんならそこのお人形が着ている近衛騎士団の時の制服の上着をそのシャツの上からでも着てみるといいわ。」
私は期待の眼差しでカール様を見たわ。
「ロザリーが着て欲しいなら着るが、なんだか近衛騎士団の入団テストより緊張するな。」
カール様は着ていたベストを脱いで、上着を着てくれたの。
「まぁ、本当ですわ。二の腕のところに少し余裕がありますわ。おじい様の筋肉はさぞかし素晴らしかったのでしょうね」
「うっ、筋肉で誰かに負けるなんて、信じられない。ロザリー、頼むからうっとりした顔で祖父の肖像画を見るのはやめてくれ。」

「カルロスそれは仕方のないことよ。あなたのおじい様の筋肉はもはや、芸術品なのですからね。」
「ええ、おばあ様のいう通りですわ。おじい様の筋肉は芸術品ですわ。もしや、このお人形さんはそこも精巧に作られていたりしますか?」
「もちろんよ。この上半身を見てあげて。」
「きゃー。」
おばあ様がもの凄い速さで服を脱がせるものだから思わず悲鳴をあげてしまったわ。
「おばあ様、ロザリーに何を見せようとしているのですか、おやめください。」
「そう?絶対に見たいと思ったのだけど…。」
「・・・とても見たいですわ…。でもおじい様に悪い気がしますし、なんだか浮気をするような気持になりますので見るのも触れるのもカール様だけにしますわ。」
「ロザリー…。」
「まぁ、カルロスは幸せものね。分かったわ。もう服を着せたから大丈夫よ。カルロス、いい加減ロザリーちゃんの目を隠すのはお辞めなさい。」
「分かりました。」
「ところでロザリーちゃんはどこの筋肉が一番好きなの?」
「一番ですか?うーん、逞しい腕でしょうか?あっ、でも分厚い胸板も好きです。」

「そうなのね、私はカルディオのお尻の筋肉が一番好きだわ。あんなにプリっと引き締まったお尻はないと思うのよ。」
そう言って、おばあ様がうっとりと優しくお人形のお尻を撫でるものだから、なんだか私は恥ずかしくなってきて、顔がゆでだこみたいに真っ赤になってしまったわ。
「おばあ様、その手つきはおやめてください。見ているこちらが恥ずかしくなります。」
良かったわ、カール様も同じ気持ちだったのね。
「そんなことを言われても、カルディオが生きていた時は毎日撫でていたのよ。淋しいわ。」
「毎日撫でていた…。」
私の顔からはボンって音がした気がするわ。もう刺激が強すぎて無理って思うのに聞きたいって思ってしまう私もいて、どうしましょう。エマがいてくれたら何かアドバイスをくれるのに。
「ロザリーちゃんは、毎日カルロスの胸板や腕に頬ずりしたくないの?」
「したいです。」
しまったわ、思わず即答してしまった。恥ずかしくてカール様の方を見れないわね。
「でも、カール様がお嫌でしたら、絶対にしませんので安心してくださいね。」
「嫌ではないが、おばあ様の前で話すのはとても恥ずかしいな。」
「私もですわ。」
それからは、おじい様の数々の武勇伝をお聞きして、頭の中ではカルロス様に置き換えて想像していたから思わずうっとりと聞き入っていたの。あっという間に時間は過ぎてしまって、
「ロザリー、そろそろ、君を送って行かないといけない時間だよ。」

「もうそんな、時間なのですね。おばあ様、素敵なお話を沢山聞かせて頂いてありがとうございました。特に王宮で誘拐されそうになった時に二階からおばあ様が飛び降りて、下でおじい様がキャッチしてくれたくだりはしびれましたわ。」
「そうでしょう。その時が、まさに私がカルディオと結婚すると決めた瞬間なのよ。でもね、この時の様子を見ていた何人かのご令嬢がカルディオに求婚しようとして、もの凄く焦ったわ。」
「まぁ、それは心臓に悪いですね。」
「その中には私よりも美しくて可愛らしいご令嬢も見えたから本当に気が気ではなかったわ。急に、私のカルディオにベタベタと触ろうとするのですもの。いままで、猛獣扱いしていたのに、急に素敵って言いだしたのよ。」
「カール様に他のご令嬢が触ろうとしたら、きっと嫉妬してしまいますわ。」
「そうでしょう。でもね、カルディオったら、触られても嫌だって言わなかったのよ。それが許せなくて、一か月、カルディオとは口を聞かなかったわ。」
「一か月もですか?私は寂しくて話しかけてしまいそうです。」
「そうね、ロザリーちゃんは優しいものね。」
「おばあ様いい加減にしてください。本当にロザリーを送って行かないと…。」
「そうね、カルロスごめんなさい。ついつい楽しくって、ロザリーちゃんまたお話しましょうね。」
「はい、おばあ様。」
私も、もう少しお話を聞きたかったけれど、日が暮れる前に帰るとエマと約束したからそろそろ帰らないとね。


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