麗しの勘違い令嬢と不器用で猛獣のような騎士団長様の純愛物語?!

miyoko

文字の大きさ
35 / 41

35.俺がデートに誘われるなんて!

しおりを挟む
「ロン、俺は生きているよな?」
「当たり前だろう。なに訳が分からないこと言っているんだ。今日も、お前の馬鹿力が大活躍だったじゃないか。」
「そうなんだが、馬車の中でご令嬢二人にデートを申し込まれた…。」
「はぁ~、それはたしかに生きているか心配になるわな。最近のお前は人生で初めての連続だな…。」
「断るわけにもいかず、ロザリーを愛していると伝えたにも関わらず、それでもいいと言い出したんだぞ。結局明日二人のご令嬢と同時にデートすることになってしまった。」
「ロザリー嬢は大丈夫なのか?」
「泣きそうだった…。」
「お前は馬鹿か、早くロザリー嬢のところに行け、自分の気持ちをしっかり伝えてくるんだ。」

「俺の気持ちは伝わっていると思う。」
「それがいけないんだよ。俺もそれで何度も失敗した。とにかくキチンと伝えて来い。今なら宰相殿の執務室にまだ居るはずだ。待っててやるから行って来い。」
「分かった。伝えてくる。いつも悪いなロン。」
俺は急いでロザリーのところに行った。
「ロザリー、ちょっと良いだろうか?」
宰相殿に了承を得てロザリーがいる部屋に声を掛けた。
「えっ?カール様?どうぞ。」
俺が入って行くと気をつかって侍女殿とガゼルが出て行ってくれた。
「ロザリー、私はロザリーだけを愛すると誓う。さっきのロザリーの泣きそうな顔が頭から離れなくてだな、不安になってしまったのだ。ロンに相談したら気持ちを伝えて来いと言われて来てしまったのだがロザリーが好きだ。嫌わないでくれ。」

「カール様、私がカール様のことを嫌いになるなんてありえませんわ!私こそカール様の妻になるのに心構えが足りませんでしたわ。カール様は皆様を助けるのがお仕事です。一目惚れされても仕方がありませんわ。そのたびに嫉妬していてはみっともないということに気付きましたの。カール様の妻になる試練だと思って耐えてみせますわ。その代わり、あとでうんと褒めてくださいませね。」
「ああ、ロザリー、どうしよう…抱きしめたい。」
「私も抱きしめて欲しいです。二階から飛び降りた時…本当はキスして欲しかったのに我慢したのです。褒めてくださいませ…。」
「ああ、私も同じ気持ちだった。私を信じて飛び込んで来てくれてありがとう。」
そう言って、カール様は私の頭を撫でて優しくキスをして抱きしめてくださったわ。嬉しい…。
それからカール様はまだ仕事だからと言って帰って行かれたわ。ロン様のこと、ヘッポコなんて思ってごめんなさい。私は心の中で謝りまったの。

「ロン、お前のお陰でスッキリした。これで安心して仕事が出来る。」
「そうか、ロザリー嬢はなんて言ってたんだ?」
「俺の妻になる試練だと思って頑張ってくれるらしい…。」
「なんだそれは?」
「お前の妻になる試練だと?それなら誰かに恨まれるとかだろうが、それもお前ほど強いと仕返しが怖くて近寄らないと思うがな。」
「俺もそう思ったが、あのキラキラした瞳で言われてみろ、否定なんて絶対に出来ないぞ。それにあれは多分、侍女殿のお考えだ、ロザリーがあのようなことを思いつくとは思えん。」
「なるほど、それもそうだな。今後、要人の中には女性もいるから今から慣れてもらおうと思っているのかもしれないな。そんな必要はないだろうが…ロザリー嬢の侍女殿には本当に頭が下がるな。まぁ、とりあえず今日は早く帰れ。明日はご令嬢二人とデートだぞ。ビハンド伯爵家に帰ってしっかり用意しておけよ。そうしないと、伯爵家と婚約者のロザリー嬢が恥をかくことになるからな。」

「そういうものなのか!ロン、悪いが今日はこれで帰る。後は頼んだ。」
「ああ、明日は頑張れよ。」
俺は今度、ロンにもクッキーを焼いてやろうと思った。ビハンド伯爵家に帰って家族に話すと、案の定というか、なんというか、まぁこうなるわな。誰か何か話してくれ…。
「すまないカルロス、これはお前が見た夢の話ではないのだな?」
「父上、夢の話だったらこんなにも、悩んだりはしない…。」
「カルロス、ご令嬢をキャッチしてしまったのね…。」
「はい、おばあ様。」
「私の時もそうでした。カルディオがご令嬢にモテてしまって、辛かったわ…。でもロザリーちゃんは偉いわね。私なんて一ヶ月は口を聞かなかったわ。」

「兄上、とりあえず、明日の準備は侍従のルシルにまた頼んでおきます。ご令嬢の対応に関しては、一度に二人もお相手したことが無いので分かりませんが平等に紳士として対応するしかないのではないでしょうか。」
「そうだな、やれる自信は全く無いが、やるしかないのだな…、失礼がないように頑張ってみよう。ロザリーが馬鹿にされるのも、伯爵家が馬鹿にされるのも嫌だからな。」
俺はその夜、初めて一睡も出来なかった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】ヤンデレ乙女ゲームの転生ヒロインは、囮を差し出して攻略対象を回避する。はずが、隣国の王子様にばれてしまいました(詰み)

瀬里@SMARTOON8/31公開予定
恋愛
 ヤンデレだらけの乙女ゲームに転生してしまったヒロイン、アシュリー。周りには、攻略対象のヤンデレ達が勢ぞろい。  しかし、彼女は、実現したい夢のために、何としても攻略対象を回避したいのだ。  そこで彼女は、ヤンデレ攻略対象を回避する妙案を思いつく。  それは、「ヒロイン養成講座」で攻略対象好みの囮(私のコピー)を養成して、ヤンデレたちに差し出すこと。(もちろん希望者)  しかし、そこへ隣国からきた第五王子様にこの活動がばれてしまった!!  王子は、黙っている代償に、アシュリーに恋人契約を要求してきて!?  全14話です+番外編4話

脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。

石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。 ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。 そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。 真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

助けた騎士団になつかれました。

藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。 しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。 一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。 ☆本編完結しました。ありがとうございました!☆ 番外編①~2020.03.11 終了

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

処理中です...