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35.俺がデートに誘われるなんて!
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「ロン、俺は生きているよな?」
「当たり前だろう。なに訳が分からないこと言っているんだ。今日も、お前の馬鹿力が大活躍だったじゃないか。」
「そうなんだが、馬車の中でご令嬢二人にデートを申し込まれた…。」
「はぁ~、それはたしかに生きているか心配になるわな。最近のお前は人生で初めての連続だな…。」
「断るわけにもいかず、ロザリーを愛していると伝えたにも関わらず、それでもいいと言い出したんだぞ。結局明日二人のご令嬢と同時にデートすることになってしまった。」
「ロザリー嬢は大丈夫なのか?」
「泣きそうだった…。」
「お前は馬鹿か、早くロザリー嬢のところに行け、自分の気持ちをしっかり伝えてくるんだ。」
「俺の気持ちは伝わっていると思う。」
「それがいけないんだよ。俺もそれで何度も失敗した。とにかくキチンと伝えて来い。今なら宰相殿の執務室にまだ居るはずだ。待っててやるから行って来い。」
「分かった。伝えてくる。いつも悪いなロン。」
俺は急いでロザリーのところに行った。
「ロザリー、ちょっと良いだろうか?」
宰相殿に了承を得てロザリーがいる部屋に声を掛けた。
「えっ?カール様?どうぞ。」
俺が入って行くと気をつかって侍女殿とガゼルが出て行ってくれた。
「ロザリー、私はロザリーだけを愛すると誓う。さっきのロザリーの泣きそうな顔が頭から離れなくてだな、不安になってしまったのだ。ロンに相談したら気持ちを伝えて来いと言われて来てしまったのだがロザリーが好きだ。嫌わないでくれ。」
「カール様、私がカール様のことを嫌いになるなんてありえませんわ!私こそカール様の妻になるのに心構えが足りませんでしたわ。カール様は皆様を助けるのがお仕事です。一目惚れされても仕方がありませんわ。そのたびに嫉妬していてはみっともないということに気付きましたの。カール様の妻になる試練だと思って耐えてみせますわ。その代わり、あとでうんと褒めてくださいませね。」
「ああ、ロザリー、どうしよう…抱きしめたい。」
「私も抱きしめて欲しいです。二階から飛び降りた時…本当はキスして欲しかったのに我慢したのです。褒めてくださいませ…。」
「ああ、私も同じ気持ちだった。私を信じて飛び込んで来てくれてありがとう。」
そう言って、カール様は私の頭を撫でて優しくキスをして抱きしめてくださったわ。嬉しい…。
それからカール様はまだ仕事だからと言って帰って行かれたわ。ロン様のこと、ヘッポコなんて思ってごめんなさい。私は心の中で謝りまったの。
「ロン、お前のお陰でスッキリした。これで安心して仕事が出来る。」
「そうか、ロザリー嬢はなんて言ってたんだ?」
「俺の妻になる試練だと思って頑張ってくれるらしい…。」
「なんだそれは?」
「お前の妻になる試練だと?それなら誰かに恨まれるとかだろうが、それもお前ほど強いと仕返しが怖くて近寄らないと思うがな。」
「俺もそう思ったが、あのキラキラした瞳で言われてみろ、否定なんて絶対に出来ないぞ。それにあれは多分、侍女殿のお考えだ、ロザリーがあのようなことを思いつくとは思えん。」
「なるほど、それもそうだな。今後、要人の中には女性もいるから今から慣れてもらおうと思っているのかもしれないな。そんな必要はないだろうが…ロザリー嬢の侍女殿には本当に頭が下がるな。まぁ、とりあえず今日は早く帰れ。明日はご令嬢二人とデートだぞ。ビハンド伯爵家に帰ってしっかり用意しておけよ。そうしないと、伯爵家と婚約者のロザリー嬢が恥をかくことになるからな。」
「そういうものなのか!ロン、悪いが今日はこれで帰る。後は頼んだ。」
「ああ、明日は頑張れよ。」
俺は今度、ロンにもクッキーを焼いてやろうと思った。ビハンド伯爵家に帰って家族に話すと、案の定というか、なんというか、まぁこうなるわな。誰か何か話してくれ…。
「すまないカルロス、これはお前が見た夢の話ではないのだな?」
「父上、夢の話だったらこんなにも、悩んだりはしない…。」
「カルロス、ご令嬢をキャッチしてしまったのね…。」
「はい、おばあ様。」
「私の時もそうでした。カルディオがご令嬢にモテてしまって、辛かったわ…。でもロザリーちゃんは偉いわね。私なんて一ヶ月は口を聞かなかったわ。」
「兄上、とりあえず、明日の準備は侍従のルシルにまた頼んでおきます。ご令嬢の対応に関しては、一度に二人もお相手したことが無いので分かりませんが平等に紳士として対応するしかないのではないでしょうか。」
「そうだな、やれる自信は全く無いが、やるしかないのだな…、失礼がないように頑張ってみよう。ロザリーが馬鹿にされるのも、伯爵家が馬鹿にされるのも嫌だからな。」
俺はその夜、初めて一睡も出来なかった。
「当たり前だろう。なに訳が分からないこと言っているんだ。今日も、お前の馬鹿力が大活躍だったじゃないか。」
「そうなんだが、馬車の中でご令嬢二人にデートを申し込まれた…。」
「はぁ~、それはたしかに生きているか心配になるわな。最近のお前は人生で初めての連続だな…。」
「断るわけにもいかず、ロザリーを愛していると伝えたにも関わらず、それでもいいと言い出したんだぞ。結局明日二人のご令嬢と同時にデートすることになってしまった。」
「ロザリー嬢は大丈夫なのか?」
「泣きそうだった…。」
「お前は馬鹿か、早くロザリー嬢のところに行け、自分の気持ちをしっかり伝えてくるんだ。」
「俺の気持ちは伝わっていると思う。」
「それがいけないんだよ。俺もそれで何度も失敗した。とにかくキチンと伝えて来い。今なら宰相殿の執務室にまだ居るはずだ。待っててやるから行って来い。」
「分かった。伝えてくる。いつも悪いなロン。」
俺は急いでロザリーのところに行った。
「ロザリー、ちょっと良いだろうか?」
宰相殿に了承を得てロザリーがいる部屋に声を掛けた。
「えっ?カール様?どうぞ。」
俺が入って行くと気をつかって侍女殿とガゼルが出て行ってくれた。
「ロザリー、私はロザリーだけを愛すると誓う。さっきのロザリーの泣きそうな顔が頭から離れなくてだな、不安になってしまったのだ。ロンに相談したら気持ちを伝えて来いと言われて来てしまったのだがロザリーが好きだ。嫌わないでくれ。」
「カール様、私がカール様のことを嫌いになるなんてありえませんわ!私こそカール様の妻になるのに心構えが足りませんでしたわ。カール様は皆様を助けるのがお仕事です。一目惚れされても仕方がありませんわ。そのたびに嫉妬していてはみっともないということに気付きましたの。カール様の妻になる試練だと思って耐えてみせますわ。その代わり、あとでうんと褒めてくださいませね。」
「ああ、ロザリー、どうしよう…抱きしめたい。」
「私も抱きしめて欲しいです。二階から飛び降りた時…本当はキスして欲しかったのに我慢したのです。褒めてくださいませ…。」
「ああ、私も同じ気持ちだった。私を信じて飛び込んで来てくれてありがとう。」
そう言って、カール様は私の頭を撫でて優しくキスをして抱きしめてくださったわ。嬉しい…。
それからカール様はまだ仕事だからと言って帰って行かれたわ。ロン様のこと、ヘッポコなんて思ってごめんなさい。私は心の中で謝りまったの。
「ロン、お前のお陰でスッキリした。これで安心して仕事が出来る。」
「そうか、ロザリー嬢はなんて言ってたんだ?」
「俺の妻になる試練だと思って頑張ってくれるらしい…。」
「なんだそれは?」
「お前の妻になる試練だと?それなら誰かに恨まれるとかだろうが、それもお前ほど強いと仕返しが怖くて近寄らないと思うがな。」
「俺もそう思ったが、あのキラキラした瞳で言われてみろ、否定なんて絶対に出来ないぞ。それにあれは多分、侍女殿のお考えだ、ロザリーがあのようなことを思いつくとは思えん。」
「なるほど、それもそうだな。今後、要人の中には女性もいるから今から慣れてもらおうと思っているのかもしれないな。そんな必要はないだろうが…ロザリー嬢の侍女殿には本当に頭が下がるな。まぁ、とりあえず今日は早く帰れ。明日はご令嬢二人とデートだぞ。ビハンド伯爵家に帰ってしっかり用意しておけよ。そうしないと、伯爵家と婚約者のロザリー嬢が恥をかくことになるからな。」
「そういうものなのか!ロン、悪いが今日はこれで帰る。後は頼んだ。」
「ああ、明日は頑張れよ。」
俺は今度、ロンにもクッキーを焼いてやろうと思った。ビハンド伯爵家に帰って家族に話すと、案の定というか、なんというか、まぁこうなるわな。誰か何か話してくれ…。
「すまないカルロス、これはお前が見た夢の話ではないのだな?」
「父上、夢の話だったらこんなにも、悩んだりはしない…。」
「カルロス、ご令嬢をキャッチしてしまったのね…。」
「はい、おばあ様。」
「私の時もそうでした。カルディオがご令嬢にモテてしまって、辛かったわ…。でもロザリーちゃんは偉いわね。私なんて一ヶ月は口を聞かなかったわ。」
「兄上、とりあえず、明日の準備は侍従のルシルにまた頼んでおきます。ご令嬢の対応に関しては、一度に二人もお相手したことが無いので分かりませんが平等に紳士として対応するしかないのではないでしょうか。」
「そうだな、やれる自信は全く無いが、やるしかないのだな…、失礼がないように頑張ってみよう。ロザリーが馬鹿にされるのも、伯爵家が馬鹿にされるのも嫌だからな。」
俺はその夜、初めて一睡も出来なかった。
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