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36.令嬢二人と猛獣のデート
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きっかり九時にビハンド伯爵家の前に馬車が着いた。中から着飾ったアン嬢とマイヤー嬢が顔を出した。
「カルロス様、今日はよろしくお願いいたしますわ。」
アン嬢にそう言われて俺は馬車に乗り込んだ。するとアン嬢とマイヤー嬢が、
「「カルロス様、私の横にお座りください。」」
と同時に言われてしまった。一瞬慌てたが、
「私は大きいので一人で座っては駄目かね?」
とあくまでも自然に言ってみたつもりだったが、マイヤー嬢に
「お先にアン嬢のお隣にどうぞ。次は私の隣でお願いします。」
と言われてしまった。アン嬢にも
「マイヤー嬢ありがとう。」
と言われ、会話が成立してしまった。仕方ない、アン嬢の隣に座るか…。
「では、アン嬢、失礼する。」
そう言っていつものようにただ座っただけなのに、
「キャ~、素敵、ミシッて言いましたわよ。カルロス様、腕に触れてもいいですか?」
「構わないが、怖くはないのか?」
「もちろんですわ、この腕でキャッチしてくださったんですもの。ロザリー嬢のお気持ちが分かりますわ。」
そう言って俺の腕をベタベタと触ってきた。ちっともドキドキしないな?ロザリーのようにいい匂いもしない、ただ香水臭いだけだな…。そんなことを、考えているとロザリーと行ったカフェに着いた。
「ここですわ。さぁ行きましょう。」
アン嬢に言われて、一応俺が先に降りて二人のエスコートをした。二人は満足そうだったが俺は既にクタクタで、甘いものが食べたくなっていた。
アン嬢はモンブランを、マイヤー嬢はチョコのパフェを頼んでいた。俺はこの間ロザリーが食べていたイチゴのパフェにした。
「まぁ、カルロス様は甘いものがお好きなのですね。そんなところも素敵です。」
マイヤー嬢にそう言われて、俺は思わず照れてしまった。そんな自分に若干うんざりしながら、周りを見渡すと、俺に怯えているご令嬢たちが視界に入ってきた。普段ならショックを受けるところだが、今日の俺は安心してしまった。この反応だ、ご令嬢の俺に対する反応はこうでないとな、などと思っている自分に少し可笑しくなった。
それからしばらくしてデザートがきたので、食べ始めた。美味い、でもこの間ほどではないな、やっぱりロザリーと一緒に食べたかったな…。そんなことを考えながら食べていると、アン嬢が、
「カルロス様の一口はとても大きいのですね。」
と目をキラキラと輝かせながら言ってきた。
「よく言われます。私は食べるのが、早いですが気にせずにゆっくり食べてください。待つのは嫌いではないので安心してください。」
心底思って言った言葉だったがこれがご令嬢が感動するような言葉だとは知らなかった…。
「「どこまでもお優しいのですね…。」」
そう二人に言われてしまった…。それからアン嬢に、
「カルロス様、もしも、ロザリー嬢に会う前に昨日のことがあったら私たちにもチャンスはあったと思われますか?」
正直、自分もそれを考えていた。どうなのかと、でもすぐに結論は出た。
「お二人はロザリーが私の胸に飛び降りる時に、ロザリーが私に微笑みかけていたのを見ていたのではないですか?」
「たしかに見ていましたわ。でもそれがどうしたと言うのですか?」
「多分ですが、それでお二人は私のことを好いてくださったのだと思ったのです。」
「・・・でもそれはきっかけに過ぎないのではないですか?」
「そうですね、マイヤー嬢の言う通りです。でもそのきっかけすら、私は今まで作り出すことが出来なかったのです。全てはロザリーのお陰なのです。」
「そうですわね。ふふふ、もしもなんてことお話しするだけ時間の無駄ですわね。カルロス様、今日はありがとうございました。実は私たちはロザリー嬢を守る会の会員でもあるのですよ。」
「そんな会があるのですか?」
「ええ、ロザリー嬢本人は知りませんが、会長はクレア嬢ですよ。侍女のエマ殿のお墨付きですわ。」
「・・・そうだったのですね。」
「ええ、今回の件でクレア嬢にはお叱りを受けるかもしれませんがデート出来て良かったですわ。カルロス様のことは諦めます。」
アン嬢がそう言ってくれた。良かった…。
「私も、カルロス様のことは諦めますわ。たしかにクレア嬢にはお叱りを受けそうですけど、私も、カルロス様とデートが出来て良かったですわ。帰りの馬車では、私に腕を触らせてくださいね。」
マイヤー嬢にも諦めると言ってもらえた。本当に良かった…これでめでたしめでたしの筈だったが、女性が二人寄ると怖いものが無くなるのであろうか?このあと馬車の中で俺は大事なところ以外全て触られたような気がする…。ロザリー、これは不可抗力なのだ、信じてくれ…。俺は二人に触られながらずっと心の中でロザリーに謝っていた。
「カルロス様、今日はよろしくお願いいたしますわ。」
アン嬢にそう言われて俺は馬車に乗り込んだ。するとアン嬢とマイヤー嬢が、
「「カルロス様、私の横にお座りください。」」
と同時に言われてしまった。一瞬慌てたが、
「私は大きいので一人で座っては駄目かね?」
とあくまでも自然に言ってみたつもりだったが、マイヤー嬢に
「お先にアン嬢のお隣にどうぞ。次は私の隣でお願いします。」
と言われてしまった。アン嬢にも
「マイヤー嬢ありがとう。」
と言われ、会話が成立してしまった。仕方ない、アン嬢の隣に座るか…。
「では、アン嬢、失礼する。」
そう言っていつものようにただ座っただけなのに、
「キャ~、素敵、ミシッて言いましたわよ。カルロス様、腕に触れてもいいですか?」
「構わないが、怖くはないのか?」
「もちろんですわ、この腕でキャッチしてくださったんですもの。ロザリー嬢のお気持ちが分かりますわ。」
そう言って俺の腕をベタベタと触ってきた。ちっともドキドキしないな?ロザリーのようにいい匂いもしない、ただ香水臭いだけだな…。そんなことを、考えているとロザリーと行ったカフェに着いた。
「ここですわ。さぁ行きましょう。」
アン嬢に言われて、一応俺が先に降りて二人のエスコートをした。二人は満足そうだったが俺は既にクタクタで、甘いものが食べたくなっていた。
アン嬢はモンブランを、マイヤー嬢はチョコのパフェを頼んでいた。俺はこの間ロザリーが食べていたイチゴのパフェにした。
「まぁ、カルロス様は甘いものがお好きなのですね。そんなところも素敵です。」
マイヤー嬢にそう言われて、俺は思わず照れてしまった。そんな自分に若干うんざりしながら、周りを見渡すと、俺に怯えているご令嬢たちが視界に入ってきた。普段ならショックを受けるところだが、今日の俺は安心してしまった。この反応だ、ご令嬢の俺に対する反応はこうでないとな、などと思っている自分に少し可笑しくなった。
それからしばらくしてデザートがきたので、食べ始めた。美味い、でもこの間ほどではないな、やっぱりロザリーと一緒に食べたかったな…。そんなことを考えながら食べていると、アン嬢が、
「カルロス様の一口はとても大きいのですね。」
と目をキラキラと輝かせながら言ってきた。
「よく言われます。私は食べるのが、早いですが気にせずにゆっくり食べてください。待つのは嫌いではないので安心してください。」
心底思って言った言葉だったがこれがご令嬢が感動するような言葉だとは知らなかった…。
「「どこまでもお優しいのですね…。」」
そう二人に言われてしまった…。それからアン嬢に、
「カルロス様、もしも、ロザリー嬢に会う前に昨日のことがあったら私たちにもチャンスはあったと思われますか?」
正直、自分もそれを考えていた。どうなのかと、でもすぐに結論は出た。
「お二人はロザリーが私の胸に飛び降りる時に、ロザリーが私に微笑みかけていたのを見ていたのではないですか?」
「たしかに見ていましたわ。でもそれがどうしたと言うのですか?」
「多分ですが、それでお二人は私のことを好いてくださったのだと思ったのです。」
「・・・でもそれはきっかけに過ぎないのではないですか?」
「そうですね、マイヤー嬢の言う通りです。でもそのきっかけすら、私は今まで作り出すことが出来なかったのです。全てはロザリーのお陰なのです。」
「そうですわね。ふふふ、もしもなんてことお話しするだけ時間の無駄ですわね。カルロス様、今日はありがとうございました。実は私たちはロザリー嬢を守る会の会員でもあるのですよ。」
「そんな会があるのですか?」
「ええ、ロザリー嬢本人は知りませんが、会長はクレア嬢ですよ。侍女のエマ殿のお墨付きですわ。」
「・・・そうだったのですね。」
「ええ、今回の件でクレア嬢にはお叱りを受けるかもしれませんがデート出来て良かったですわ。カルロス様のことは諦めます。」
アン嬢がそう言ってくれた。良かった…。
「私も、カルロス様のことは諦めますわ。たしかにクレア嬢にはお叱りを受けそうですけど、私も、カルロス様とデートが出来て良かったですわ。帰りの馬車では、私に腕を触らせてくださいね。」
マイヤー嬢にも諦めると言ってもらえた。本当に良かった…これでめでたしめでたしの筈だったが、女性が二人寄ると怖いものが無くなるのであろうか?このあと馬車の中で俺は大事なところ以外全て触られたような気がする…。ロザリー、これは不可抗力なのだ、信じてくれ…。俺は二人に触られながらずっと心の中でロザリーに謝っていた。
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