農場経営?そんなことより僕は恋が仕事です!

ただのひと

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はじまりの夏

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 今日は私の誕生日パーティー。

 沢山の人が集まってくれて、みんなただ宴会がしたいだけなんじゃやないかな?と毎年思う。

 そんな中、今年は新顔が二人増えた。
 グロウとノルズくん。
 海の向こう側から来た、二人の青年だ。

 グロウは口は悪いし態度も悪いし、部屋は汚いしで最悪だけど、友達思いで人情溢れる人。
 いつのまにか図書館のマリンと恋人同士になっていたのにはとても驚いたけれども、案外合ってるから良いんだと思う。

 ノルズくんは町外れの農場に引っ越してきた人だ。
 おじいちゃんの農場を立て直すためにやってきた人で、今ではちっちゃな牧場の主でもある。
 ちょっと気弱で、でも優しくて。たまに見せる格好良さもある、不思議な人。
 そして、この人は私の気になる人でもあるのだ。

 決して物に釣られたわけじゃないけれども、毎日私の大好きな温泉卵をプレゼントしてくれる人。すっごく立派な卵を育て上げる、すごい腕の持ち主でもある。

 恋なんて、絶対にしないと思ってた。

 それなのに、あのダンスパーティーの日。
 気づいたら私が踊ると言い出して、混乱させて。
 でも、あの時にお願いしますって叫んでくれたのはすごく嬉しかった。
 はじめての、エスコートされた相手だった。
 けれども本当のエスコートの相手はキョウだから。
 キョウの恋の邪魔をしてはいけないと、あとになって気づいて、取り繕って。

 それなのに、次の日も二人の約束は絶対にやめたくないだなんて、言ってくれて。

 私、期待しても良いのかなって、そう思う。
 そう、思ってしまうのだ。

「オード! 誕生日おっめでとう!」
「キョウ!」

 誕生日プレゼントを持った大親友が、声をかけてきてくれた。
 そうしていつもの貝や珊瑚で作った綺麗な置物をプレゼントしてくれる。

「ノルズくんと、ちゃんと話せた?」
「……キョウってば、お節介焼きだよ」
「それが性分だからねー。特に、大親友にはお世話焼いちゃうよ」
 そんな風にして楽しげに話せたのは、今日はここまでで。
「……ちゃんと戦うって、決めてくれた?」
「……気になる人がいるよって、本人に言った」
「本人に!? え、もう告白!?」
「しー! しー! 声大きすぎ! それにノルズくんは全然気づいてなかったよ」
「ノルズってば……でもそこがノルズらしいか」
 そう言ってくすくす二人で笑って、二人揃って顔を合わす。
「私、負けないよ? オードよりも男心は心得てるつもりだし」
「わ、私だって負けないよ? 多分、少しだけキョウよりもリードできてるし」
「え、なにそれ聞いてない! 何の話!?」
「おしえませーん!」
 そうやって二人でライバル宣言。

 ノルズくんのことは渡さないけど、こうやって二人で一緒にすごすのも楽しいね。

「あ、あの! オードちゃん、これ!」
 そんな風にしていると、後ろから私達のところにやってきたのはグロウとノズルくん。
 ノルズくんの手に握られていたのは花かごで。
 グロウの手には一冊の本が握られている。
「まずは俺からな。ほい、これ。『世界の卵料理』っていうレシピ本。マリンが喜ぶだろうからって」
「それ、選んだのマリンじゃない!」
「いいだろ、別に。買ったのは俺だ。俺からのプレゼントだよ。ほれ、次々」
 そう言ってグロウからどんと背中を押されて前に出てきたのは、ノルズくん。
「こ、これ! 山とかで積んだ花で悪いんだけど、ぷ、プレゼントってことにしてもらえないかな?」
「うわぁ、嬉しい! ありがとう! それにノルズくんからは二個目だもん、すごく嬉しいよ!」
 その発言に、ぴしりとあたりの(主にキョウ方面の)空気が凍る。
 正確には私が凍った。しまった、またやらかした。
「二個目? ちょっとオード、どういうこと?」
「い、いやー……実はちょっと前にも一個貰ったかなーって」
「何よ、何貰ったの!? ていうかなにそれ、ずるい!」
「ず、ずるくないずるくない! だっていつものがたまたま誕生日だっただけ……で……」
 あ、まずい。自分の発言がどんどんまずい方向に行ってる。
「いつものがたまたま……? ちょっとオード、どういうこと!? きちんと話しなさいよ、この大親友に!」

 そうして私達の二人の秘密は公然のものとなり、参加者にはニヤニヤと冷やかされたのでした。
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