農場経営?そんなことより僕は恋が仕事です!

ただのひと

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はじめての秋

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「よう! 親父さんとの話し合いは上手く言ったか?」

 そう言ってニヤニヤとしながら僕とオードちゃんを牧場で待っていたのは、もちろん言うまでもなくグロウだった。

「上手く言ったっていうか……無理矢理まとめてきた」
「ほぉ……。そのあたりは男同士であとからじっくり聞かせてもらおうか?」
 自由にやれって言われたよって言えばいいの? グロウの期待しているようなことはなんにもなかったよ?

「ま、とにかく今日は新築祝いだ! さあ、俺様の作った家で飲めや歌えやで騒ごうぜ!」
「一応僕の家なんだけど……」
「まあまあ、固いこと言うなって。ほら、他のメンツももう揃ってるぜ?」
 そう言って開け放たれた扉の向こうに居るのはキョウちゃんとマリンさん。
 五人で新築祝いをしようという話になったのは花火大会の前日だから、昨日いつの間にか帰ってしまっていたキョウちゃんもそこにいた。

「じゃあ乾杯と行こうか。ほれ、お前が音頭を取れよ」
「え、えぇ!? ぼ、僕こういうの苦手なんだけど……」
「いいからいいから」
「うわうわ、押さないでよ!」
 木箱で一段高くしている即席壇上にグロウは僕を追いやると、ヒューヒューと囃し立て始める。
 仕方がないのでとりあえずジュースの入ったグラスを掲げて、
「新築祝い、ありがとう! かんぱーい!」
「それだけかよー!」
 グロウの茶々が入ったけれども、かんぱーいと皆でグラスを合わせて一口。
 それは僕の作った自家製のしそジュースで、さっぱりとしたのどごしが自慢の一品だ。

 さあじゃあ食べるかと各々が皿を準備し始めた時に、はっと思い出してオードちゃんのもとに近づく。
 オードちゃんも緊張していたらしく、硬い表情で僕の隣におとなしく寄り添ってくれた。
「そ、その前にみんなに報告があるんだけど!」
 そう言えば三人の視線は料理からこちらに向き、じっと六つの目が僕らを見つめ始める。
 それにごくりとつばを飲み込んでから、僕は覚悟を決めて口を開いた。

「ぼ、僕とオードちゃん、付き合うことになりました!」
 ギュッと目を瞑って大声でそう宣言するも、反応はなく。
「あ、あれ?」
 オードちゃんも少しばかり驚いたのか、目を見張っている。
「な、なんで反応なし?」
 思わずそう聞けば、皆口々に言うのである。

「知ってたわ」
「知ってた」
「知ってました」

 ちなみに上からキョウちゃん、グロウ、マリンさんである。

「な、なんでー!?」
 さすがにこれには驚いてそう声を上げると、皆シラけた目になってこちらをじーっと見つめてくる。

「なんでって……なぁ?」
「花火の上がる前に大声で好きだー!なんて聞こえたら、誰だって気づくわよ」
「素敵な告白でしたよね」
 ほのぼのと、あるいは呆れと共にそう皆言う。

 え、待って。
 それってつまり、海岸中に聞こえてたってわけで?
 僕の声を知ってる人は、僕が大声で告白したのを知ってるってわけでぇ!?

「う、うわあぁ!」
「ノ、ノルズくん落ち着こう? ね?」

 寄り添ってくれるオードちゃん以外は皆思い思いに食事を楽しんでくれている。
 良いんだけど、良いんだけど!
 僕の緊張した気持ちと、純情を返して欲しい。切に。
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