農場経営?そんなことより僕は恋が仕事です!

ただのひと

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はじめての秋

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 しんと静まり返った部屋の仲、僕は一人で困惑していた。

 だって規格外品って言うから、持ってきただけなのに。
「……あのね、ノルズくん」
「う、うん?」
「それ、普通のバタタールの二倍くらいの大きさが……」
「そうそう、だから規格外品なんだ。結構出来ちゃって困ってるから、料金はいらないよ?」
「そ、そういう問題でもなくて……」
「こ、こんなのはじめてみたー! すごいね、ノルズ! あんたって本当にすごい!」
「え? え?」
 普通に育てたらこんなのばっかりで納品数ギリギリになちゃてかなり困ってるんだけど、なぜか褒められた。
 嬉しいけれどもちょっと複雑である。
「ど、どうせでかいから大味なんだろ? おい、オード! ちょっとこれ蒸してきてみてくれよ」
「良いけど……」

 そうして三十分くらいして、蒸かし芋が登場する。
「あっま……ほっくほく……」
「品質も最高じゃん! やっぱノルズ! 私が見込んだんだけあるよー!」
「ノルズくんすごいね! こんな大きいお芋蒸したの初めてでドキドキしたけど、こんなに美味しいとは思わなかったよ」
「な、なんか照れるなぁ……。で、どうかな? これならいっぱいあるからいくらでもあげられるけど?」
「い、いくらでも? う、うーん……お芋だけになっても困っちゃうし、これなら二個くらいあれば……」
「そっかー。まあ規格外品だし仕方ないよね」
「いや、そういう意味じゃないよ、ノルズくん」
 そんな風に会話をしているとドンッとテーブルを叩く音が室内に響き渡る。
 何事かとそちらをみれば、ノースがしたり顔でこちらを見ていた。
「お前、これがたくさんあるって言ったな?」
「え、うん。たくさんあるよ」
「よし、じゃあキョウ。お前に料理に参加する権限をやろう」
「え、本当!? やったー!」
「ただしだ!」
 そういうと机に身を乗り出して、ニヤニヤとした顔でノースは言う。

「こいつと二人で焼き芋係だ」
「へ?」
「え?」
 僕とオードちゃんの間抜けな声が重なった。
 いや、だって焼き芋係って……ていうかなんで僕まで係にされてるの!?
「いいだろ、オード。それともお前の彼氏とキョウを二人にさせるのは不安か?」
「そ、そんなことはないけど……」
 いえ、僕は不安です。だってキョウちゃん焚き火をキャンプファイヤーくらいにしちゃいそうなんだもの。
 ちなみにキョウちゃんは料理係って辺りからもう話は聞いてない。ごめん、お願いだから聞いて欲しい。
「で、でもノルズくんには牧場の仕事があるし!」
「そっちはこうやって午前中で片付くくらいなんだろ? だったら仕込みも何も要らない焼き芋くらいすぐ出来るだろうさ。どうだ、キョウ? 意義はあるか?」
「異議なーし!」
「い、異議と言われてもなんとも……」
 収穫祭自体が初めてだし、僕にとってはわからないことだらけだ。
 こんな時にグロウがいてくれたら助けを求められるんだろうけれど、グロウもいない。
 だったら、あと頼るべきなのは……。

 ちらりとオードちゃんを見れば、どうやら迷ってる様子だった。
 正直、キョウちゃんが参加できるなら参加させてあげたい気持ちもあるんだろう。でも僕に気を使って、異議なしとは言えない、と。
「い、異議なーし!」
 オードちゃんの気持ちを汲み取って、僕は大声を上げる。
 オードちゃんが困ってるんなら、僕が助ける。それ以上に大事なことなんてないんだから!
「でも、ノルズくん……」
「異議なし! だから多数決で決定だよ、オードちゃん。それでいいんだよね、ノースくん?」
「ふーん……少しは分かるやつじゃねーか。よし、じゃあその案で決定で。キョウ、お前はノルズの野郎が来るまで当日は待機だからな」
「ういー!」
 そう言ってビシッと敬礼を決めると、キョウちゃんはルンルン気分で部屋を出ていく。
 その姿を見て少しほっこりしていると、隣から袖を引っ張られた。

「……本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。焼き芋くらい、作り方は知ってるし」
「そうじゃなくて、その……身体、無理しない?」
「してないしてない。大丈夫、これが終わったら約束もあるしね」
「……うん」
 それでも心配なのか、じっとこちらを見てくるから。
 思わず、あれ? これここでキスでもしていいの? とか思ってしまう。
 ノースが居るからら違うに決まってるんだけど。
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